BtoBクレームで、カスハラ化を防ぐ謝罪の仕方を具体的に解説
| この記事は【謝罪の仕方】について解説しています。 |
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| ▶【BtoBカスハラそのものへの対策】をお知りになりたい方は、下記のコラムをご参照下さい。 |
「とりあえず謝ってこい」
取引先からクレームが入ったとき、社内でこう言われた経験はないでしょうか?そして、「とりあえず」謝って、その場は治まったと思っていたら、数日後に、先方から届いた文書にはこう書かれていました。
「先日、貴社が非を認められた件につきまして、対応方針をご提示ください」
謝罪はしましたが、責任を認めたつもりはありませんでした。
一方で、何も謝らずに「調査中です」とだけ答え続けても、「誠意が感じられない」と怒られ、クレームがカスハラの火種となってしまいます。
謝れば責任を認めたことになりますが、謝らなければ火に油を注ぐことになってしまいます。
この板挟みが、企業間取引(BtoB)のクレーム・カスタマーハラスメント(カスハラ)対応を難しくしている理由の一つです。
特に中小企業では、専任の部署がなく、判断の基準も文書になっていないため、謝罪についての判断が担当者一人に委ねられがちです。
そこで本コラムでは、一般消費者向け(BtoC)の窓口対応との違いを踏まえながら、BtoBクレームで謝罪する際の、カスハラ化を防ぐためのポイントを具体的に解説します。

BtoBクレームで、カスハラ化を防ぐ謝罪の仕方を具体的に解説
結論|BtoBクレームへの謝罪で決める3つのこと
結論からお伝えします。
企業間取引での謝罪は、謝るか謝らないかという二択ではありません。
次の3つを分けて決める作業です。
| 決めること | 判断の軸 | 決めていないと起きること |
| 何に対して謝るか | 心情に対してか、事実に対してか、法的な責任に対してか | 調査前に責任を認めた形になり、賠償や無償対応の根拠にされることがある |
| 誰が謝るか | 担当者か、部門長か、役員か | 役職が足りず「誠意がない」と言われるか、逆に出しすぎて撤回できなくなる |
| どのように文書に残すか | 自社の責任範囲と、それに対しどのように対応するか | 認めたつもりの無い事実を後から持ち出されて、契約外の要求を受け入れざるを得なくなる |
これらが決まっていなければ、例えば、何に対してなぜ謝罪するのかが曖昧なまま謝罪した結果、「とりあえず謝っておけば良いだろう」という姿勢だと受け取られてしまい、クレームがカスハラに発展するといったことになりかねません。
しかし、例え、調査や社内検討の結果がまだ出ていなかったとしても、ごまかさずに、分かる範囲で真摯に謝罪することはできます。
具体的には、「お待たせして申し訳ありません。現時点で分かっているのは●●の事実だけですが、引き続き確認のうえ、分かり次第速やかに対応をご連絡します」など、対象が曖昧にならないようにしながら謝罪しましょう。
なぜBtoBのクレームでは、謝罪が難しくなるのか
同じ「謝る」という行為でも、相手がBtoC(一般消費者)かBtoB(企業)かで、その後に起きることはまったく違います。
消費者向けの対応マニュアルをそのまま法人取引に持ち込んでしまい、事故が起きる企業が少なくありません。
ここを整理しておかないと、消費者向けの対応マニュアルをそのまま法人取引に持ち込んでしまい、事故が起きます。
BtoBクレームでは、謝罪相手が一人ではない
BtoCクレームであれば、目の前の一人に伝われば終わります。
しかし、BtoBクレームでは、そうはいきません。
担当者から、その上司、責任者へと、必ず情報が共有されていきます。
そして、気を付けなければいけないことは、口頭だけのやり取りでは、伝言ゲームで共有される過程で少しずつ加工されていく、ということです。
そのため、口頭で伝える内容と、文書に残す内容を一致させておく必要があります。
一致していれば、意図と違った解釈をされたとしても、軋轢を起こさずに訂正することができます。
BtoBクレームでは、謝罪がそのまま文書として残る
BtoCの謝罪であれば、書面で謝罪することはほとんどありません。
しかし、BtoBの謝罪はほとんどの場合、口頭だけでなく文書となります。
またその内容も、単なる謝罪だけでなく、経緯報告や是正措置報告となり、半永久的に相手の元に残ることになります。
そのため、「その場を収めるために謝った」は通用しません。
実際、筆者の支援先でも、新たに異動して来たマネージャーが着任早々、取引先の担当者から「御社では2年前にこう認めていますね」と謝罪文を提示され、理不尽な要求を突きつけられたという例がありました。
BtoBの取引では、謝罪が次の取引条件に跳ね返る
BtoCのクレームであれば、要求は返金や交換に収まることが多くなります。
しかし、BtoBのクレームでは、要求の形が変わります。
例えば、値引き、無償対応、次回発注時の条件変更、取引継続の可否など、いずれも金額が大きく、しかも一度決まると前例になります。
「非を認められたのですから、相応の対応をお願いします」と言われ、一度受入れてしまえば、次に同じ状況が起きたときにも「前回はこの条件で対応いただきました」と言われることになり、それがスタンダードになります。
BtoCの場合、多くの場合は一過性の取引なので、一度の対応が次に持ち越されることはまずありません。
しかし、BtoBでは、多くの場合は継続的な取引であることに加え、取引額も大きいため、譲歩が次の交渉の前提になることには注意が必要です。
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クレームへの対応方針が曖昧な会社で起きるトラブルの例
クレームへの対応方針が曖昧な場合に生じるトラブルの例を、筆者が以前勤めていたコールセンターの例でご紹介します。
あるキャンペーン事務局で納期が遅れてクレームになってしまったとき、先方から強く責められた自社の担当者がつい、早く収めたい一心で、つい、「次回は特別に対応させていただきますので、、、」と言ってしまったことがあります。
その時点での意図は、次回は納期に余裕を持たせるということでした。
ところが、先方から共有された議事録には、「次回、特別対応を約束」と記載されていました。
不安はありましたが、「特別に対応」と言ってしまったのは事実であり、今更撤回はできません。
そしてその議事録が、半年後の年末キャンペーンで、「前回、特別対応をお約束いただいていますので」として無理な増員要請をするときに使われることになりました。
もちろん、担当者は抗弁しましたが、議事録を持ち出された時点で後の祭りであり、結果として、キャンペーン中の増員分コストを自社で持ち出すことになってしまいました。
まさに、安易な一言で自分の首を絞めることになった典型例です。
ですが、もしこの時、何に対し、誰が謝罪し、どのように文書に残すかを予め整理できていたら、このような事態を回避できていたかもしれません。
2026年10月から、取引先からの言動もカスタマーハラスメント(カスハラ)の対象になる
謝罪の判断は、相手の言動が正当なクレームなのか、カスタマーハラスメント(カスハラ)なのかによっても変わります。
そしてこの区別には、2026年10月1日から、法律上の根拠ができました。
これまでは「うちの方針として」と言うしかありませんでした。
しかし、これからは、制度上そう扱われていると説明できます。
そして、カスハラ行為に対しては、企業は従業員を守る義務があることも定められました。
「顧客等」には取引の相手方が含まれる
労働施策総合推進法等の一部を改正する法律により、2026年10月1日から、カスタマーハラスメント(カスハラ)対策が事業主の雇用管理上の措置義務となります。
対象は、労働者を雇用しているすべての事業主です。
厚生労働省が示している指針では、対象となる行為者を「顧客等」と定義しています。
そしてこの「顧客等」には、一般消費者だけでなく、取引の相手方が含まれます。
つまり、発注元の担当者からの威圧的な言動や理不尽な要求も、法律上のカスタマーハラスメント(カスハラ)に当たり得るということです。
一般消費者と直接の接点がないBtoB企業であっても、この義務は無関係ではありません。
正当なクレームとカスハラを分ける2つの軸
労働施策総合推進法の内容を、謝罪の判断に使える形に整理すると、次のようになります。
| 見る点 | 正当なクレームに近い | カスハラに近い |
| 要求の中身 | 契約や仕様の範囲内で、こちらに落ち度がある可能性がある | 契約に含まれない、または落ち度と無関係な要求 |
| 伝え方 | 事実を示し、対応を求めている | 人格の否定、長時間の拘束、繰り返しの呼び出し、土下座などの要求 |
ここで重要なのは、この2つが独立しているという点です。
要求の中身が正当であっても、伝え方が度を越していればカスハラになります。
逆に、伝え方が丁寧でも、契約範囲外の要求であれば応じる義務はありません。
なお、カスハラの定義や具体的な内容については、別のコラムで詳しく解説しています。
落ち度への対応と、言動への対応は切り離す
実務で多いのが、こちらに落ち度がある一方、相手の伝え方が常軌を逸している、といった状況です。
このとき、自分たちに落ち度があるからという理由で、相手の言動をすべて受け入れてしまう企業が少なくありません。
しかし、この判断は自社の従業員を守れなくなります。
ポイントは、「それはそれ、これはこれ」です。
自社に落ち度があるなら、それは真摯に認め、謝罪を含めた対応をすべきです。
しかし、落ち度があったとしても担当者への人格攻撃をして良い理由にはなりません。
カスハラや不当要求に対しては、明確にお断りしましょう。
クレームへの第一報への3つの謝罪
取引先からのクレームに対し、第一報の時点で適切に謝罪できるかどうかは、その後にカスハラへと発展させるかどうかに大きく影響します。
以下のような謝罪の仕方を共有することで、担当者が適切に吸収できるようにしましょう。
1つ目|心情への謝罪
相手が怒っている、気分を害している、その心情に対して、以下のように謝罪します。
- ご不快な思いをさせてしまい、申し訳ございません
- 大変ご気分を害されているとのこと、お詫び申し上げます
- 配慮が十分に行き届かず、失礼いたしました
注意点は、原因や責任の有無には触れないことです。
原因や責任の有無は、ちゃんと確認や調査をしなければ分かりません。
しかし、第一報の段階ではまだ確認や調査は済んでいないはずなので、そこには触れず、お客様の心情に対してだけフォーカスします。
2つ目|事実そのものへの謝罪
その時点で確認できた事実に関して、以下のように簡潔に謝罪します。
- 10分もお待たせしたとのことで、申し訳ありません
- 商品を間違えて渡したとのこと、お詫び申し上げます
時折、会社の方針が決まるまで事実関係に対する謝罪をすべきではないとして、心情への謝罪のみ勧める向きもあるようですが、明確に確認できた事実に対して頑なに謝罪を拒んでいたら、かえってトラブルを大きくしてしまいます。
ポイントは、火が大きくなる前に、謝ってすませてしまうことです。
簡潔に謝罪をし、それでも相手が責任を問うて来る場合には、「社内で検討後に回答します」としましょう。
3つ目|確認や調査でお待たせする事への謝罪
事実関係とお客様の要望を把握したら、社内確認や調査に着手します。
このとき、即答できるなら良いのですが、時間がかかってしまう場合には、以下のように真摯に謝罪をしましょう。
- 原因調査に着手しておりますが、お待たせして申し訳ありません
- 社内で検討しておりますので、お時間をいただいて申し訳ありません
この時点では、詳細な内容までお伝えする必要はありません。
むしろ、社内でちゃんと確認できていない段階で曖昧なことを伝えてしまう方が、お客様に対して失礼にあたります。
お待たせすること自体を謝罪し、期限を求められた場合は、「明日の17時までに分かった範囲をご報告いたします」などと目安を伝えるだけで十分です。
場面別|取引先のクレームへの謝罪例
実務でよく起きる場面ごとに、謝罪のポイントを整理します。
原因がまだ分からない段階で、結論を求められた場合
例えば、「原因は何だ、いま答えろ」と迫られるような場合です。
ここで曖昧な推測を口にすると、その推測が確定情報として扱われることになりかねません。
そうならないように、「分かっていること」にフォーカスしましょう。
- いま確認できているのは、納品物がこの状態であったという事実だけです
- なぜそうなったかは、まだ特定できておりません
- 憶測でお答えすると、かえってご迷惑をおかけしますので、確認のうえご報告いたします
こちらに明らかな落ち度がある場合
この場合でも、その場で賠償の話に入ることはお勧めできません。
謝罪と補償の条件は、別の話として扱います。
- 弊社の確認不足によるものでした。
申し訳ございません - 復旧の手順と今後の対応について、あらためてご提示いたします
金額や条件を口にするのは、社内で決裁を取った後です。
担当者がその場で示した条件は、後から社内で覆すことができません。
覆そうとすれば、今度は「言ったことを反故にした」という新しいクレームになるので、注意しましょう。
落ち度がないと分かっている場合
こちらに非がないことが明らかになった場合は、以下のように、心情に謝罪したうえで自社に非が無いことを伝え、事実を提示します。
- ご不便をおかけしましたこと、お詫び申し上げます
- 確認いたしましたところ、原因は弊社側の作業ではございませんでした
- 差し支えなければ、貴社側の手順についてもご確認いただけますでしょうか
なお、事実の提示は、極力書面でも行ってください。
口頭だけで伝えると、その場では納得したように見えたとしても、認識相違の可能性を残してしまうことになります。
もし、同じようなクレームが繰り返し起きている場合は、早い段階で専門家へご相談されることをお勧めします。
お近くに信頼できる専門家がいらっしゃらない場合は、当社でも承っておりますので、お気軽にお声がけください。

取引先がクレーマー化する前に、中小企業が整える3つの対策
ここからは、そもそもトラブルを長期化させないための事前対策をお伝えします。
中小企業の場合、専任の部署を置く余裕はないことがほとんどです。
ですから、極力少ない負荷で動かせるように、事前対策も必要最小限に絞ることが重要です。
当社では、3つ程度に絞ることをお勧めしています。
十分で無くても良いので、まずは対策をはじめ、動かしながらより良いものにして行きましょう。
1つ目|トラブルの記録を、関係者に共有できる仕組みを作る
取引先とのやり取りが担当者個人のメールBOXに残っている状態では、例えクレームが起きても誰も状況を把握できません。
そこで、まずは関係者に速やかに情報を共有できるように、専用のチャットチャネルやメーリングリストを作り、それを社内に共有しましょう。
ポイントは、報告や共有のハードルを極力低く設定し、誰でも、どんなことでも、「クレーム・カスハラになるかもしれない」と思った段階ですぐに相談できるようにすることです。
また、相談があればすぐに関係者が善後策を協議し、初期対応を返信するなど、ちゃんとレスポンスしてあげることも重要です。
2つ目|初期対応で使う謝罪の文例を、予め用意しておく
文例が手元にあれば、初期対応が迅速に行えるようになります。
最初に用意するのは、前述の例に則って、以下の3パターンだけでも良いです。
- 心情への謝罪
- 事実そのものへの謝罪
- 調査や確認などでお待たせすることへの謝罪
取引先からクレームと思われる連絡が来た時、まずは上記のような返信をすることで、「ちゃんと対応しようとしている」という姿勢が伝わると、穏便に進む可能性があります。
一方、そういった返信が無ければ、例えちゃんと対応しようとしていたとしても、取引先の不満が募り、クレームとなる可能性があります。
また、対面交渉など口頭のやりとりが多い場合には、上記のような例文を、口語体にしておくことも有効です。
頭では分かっていても、取引先が怒っていると感じた時に、適切な謝罪文を迅速に作り、冷静に伝えることは、簡単ではありません。
そのため、このように初期対応で使う謝罪文を予め作成し、社内関係者から承認を取っておくことで、状況に応じて迅速に使えるように備えておきましょう。
3つ目|定期的に振り返り、戦略を見直すこと
中小企業のクレーム・カスハラへの対策が上手く行かないことの大きな理由の一つとして、行き当たりばったりで戦略の無い対応が繰り返されている、ということが挙げられます。
そのため、クレーム・カスハラへの対策を講じたら、必ず定期的に振り返り、必要に応じて自社の対応方針や戦略の見直しを行いましょう。
なお、見直しは必ずしも、過去のトラブルに対する反省を求めるだけに限りません。
しっかりと対応の記録を残し、いつ、何件、どの取引先から、どのようなクレーム・カスハラがあったかを把握することで、自社の傾向を分析することも可能です。
その結果、例えば「前年同期比で上半期が同じ傾向だったから、下半期も同傾向と想定される。
そのため、年末商戦に向け、昨年のクレームTOP10についての対策を予め講じる」といった戦略が導出できる可能性があります。
また、上記のような戦略が定まることで、その戦略が奏功したのかを振り返ることができるため、検証の精度が高くなって行きます。
謝罪する人の基準を先に決めておく
誰が謝罪するかは、相手の要求ではなく、自社の基準で決めます。
謝罪の原則は、その内容に相応しい人が謝罪することです。
そのため、相手の求めに応じてクレームやカスハラに直接関係していない上層部が謝罪をしても、問題の解決には繋がりませんし、そもそも応じる必要もありません。
そのためBtoCの場合は、対応した本人か、最大でもその一階層上の上司が謝罪すれば十分です。
BtoBの場合は、基本的には相手方の役職に合わせることを原則に、契約書などで定められた体制や権限一覧の範囲で対応します。
ただし、上記のような基準を杓子定規に当てはめると、複雑なトラブルが発生したときなど、本来は早期のエスカレーションや上席者からの謝罪が必要な場面で、対応が遅れてしまう場合があります。
そのため、いざという時に対応に遺漏が生じないように、トラブルの内容やレベルに基づいたエスカレーション基準を予め整理しておくと良いでしょう。
「上を出せ」と言われたときの答え方
根拠や基準が決まれば、答え方も決まります。
例えば、「本件は弊社の規定により、マネージャーが対応する案件と判断しております」「本件はご契約に沿って、責任者である部門長が対応いたします」など、会社の基準として伝えることで、担当者個人が値踏みされる構図を避けられます。
ここで、「私では力不足ですので」などと答えてしまうと、その担当者個人の問題にすり替わってしまいます。
なお、上位者への交代を求められた場面での対応については、別のコラムで詳しく解説しています。
クレームへの謝罪を文書にするときの注意点
BtoBクレームでは、謝罪が口頭だけで終わることはほとんどありません。
報告書、是正処置報告、謝罪文など、名称は変わってもほとんどの場合で文書の提出が求められます。
口頭の謝罪より慎重に扱うべきものですが、同時に、範囲を自分で決められる手段でもあり、口頭より範囲が狭くなるため、実は扱いやすい手段でもあります。
以下、文書を提出する際の注意点について、予め確認しておきましょう。
文書化により、範囲を限定する
口頭の謝罪は、その場の空気で幅が出てしまうことがあります。
しかし、文書は、書いた範囲がすべてです。
そして文書を出すと決めた時点で、口頭での追加の言質を避けられます。
口頭のやり取りで不利な言質を取られそうなときは、「詳細は書面でご報告いたします」と回答することで、リスクの回避が可能です。
また、どうしても口頭でのやり取りが避けられない場合には、予め用意したメモなどの文書を元に交渉し、メモから大きく逸脱しそうな場合は、「改めて社内確認のうえ、書面で報告します」と持ち帰るのも一法です。
「二度と起こしません」など、できない約束は書かない
相手のプレッシャーに負けできない約束を書いてしまうと、次回の逃げ場がなくなってしまいます。
そして、同種の事象が一度でも起きれば、前回の文書が持ち出されて、さらなる譲歩が避けられなくなります。
書くのであれば、「出荷前の二重チェックを9月1日から開始します」など、具体的な手順として書くのがお勧めです。
自社が実施できる内容だけを、実施時期とともに書いておきましょう。
提出前に、必ず社内で1人以上が確認する
担当者が単独で作成した文書を、そのまま送ることは絶対にNGです。
特に、普段から担当者同士でやり取りをしている取引先の場合、クレームの場合でもつい担当者がそのまま返信してしまうことがあります。
油断をしないように、注意して対応しましょう。
特に、謝罪文は後から取引条件の交渉材料として参照されることになるので、慎重な対応が必要です。
ポイントは、「この文書だけを読んだ人が、何を約束されたと理解するか」という点です。
書いた本人には、意図が分かっているぶん、書かれていない部分を無意識に補って読んでしまうため、この読み方ができません。
上長に確認してもらうのは当然ですが、それ以外の相手にも意図した通りに理解してもらえるか、先入観の無い批判的・客観的な目で確認してもらうようにしましょう。
謝罪やお断りの例文集をご用意しました。
ご参考に、ぜひご活用下さい。

よくあるご質問
取引先に謝ったら、責任を認めたことになりますか
「ご不快な思いをさせて申し訳ありません」のように、心情に対する謝罪は、過失を認めたこととは異なるものと考えられます。
一方で、「弊社の過失です」「弊社のミスです」などの言葉は、一般的に、責任を認めたものとして受け止められるので、調査が終わるまでは使わないようにしましょう。
取引先に謝罪文を出すよう求められました。出すべきでしょうか
出すこと自体は、必ずしも不利になるものではありません。
また、BtoBの謝罪は一般的に文書で行うことが多いですが、口頭より範囲が限定されるため、むしろ管理しやすくなる面もあります。
ただし、謝罪文を出す場合は、確認できた事実と実施できる再発防止策に止めるように注意しましょう。
訪問して謝罪するよう求められています
訪問には、その場で即答を迫られる、長時間拘束される、無理な要求をゴリ押しされるといったリスクが伴います。
基本的には訪問はお断りすることを勧めますが、どうしても避けられない場合は、議題、参加者、想定される所要時間を事前に文書で確認してから伺ってください。
訪問謝罪のリスクと事前対策については、別のコラムで詳しく解説しています。
落ち度がないのに謝るのは、おかしくないでしょうか
落ち度がないことと、相手に不便が生じたことは、分けて考えましょう。
お客様がご不便を感じていることや、ご不快に思われていることについては、落ち度の有無と切り離して真摯にお詫びすることで、お怒りが終息する可能性もあります。
心情に対してお詫びしたうえで、言い訳色が濃くならないように注意しながら確認した内容を冷静に伝え、自社に落ち度が無いことを理解してもらいましょう。
相手の言動がひどいのですが、取引先なので我慢するしかないですか
令和8年10月1日から、取引の相手方からの言動も、事業主が措置を講ずべきカスタマーハラスメント(カスハラ)の対象となります。
取引先だからという理由で従業員に我慢を求めることは、会社の安全配慮義務の観点から問題になり得ます。
案件への対応は続けながら、言動については上長や社内のコンプライアンス部門に相談するなど、別の枠組みで扱ってください。
まとめ|クレームへの謝罪は、判断ではなく手順にしてください
BtoBクレームでの謝罪が難しい理由は、担当者の性格や交渉力の問題ではありません。
予め必要な対策が講じられていないからです。
当社では、まずは以下の3つの対策を講じることをお勧めしています。
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- トラブルの記録を、関係者に共有できる仕組みを作る
- 初期対応で使う謝罪の文例を、予め用意しておく
- 定期的に振り返り、戦略を見直すこと
最低限この3つの対策ができれていれば、初期対応は可能です。
そして、適切な初期対応ができれば、クレームがカスハラに発展する可能性は大きく低下します。
とはいえ、自社の取引構造に合わせた適切な対応の仕組みを作るのは、簡単ではありません。
そこで、ここまでお読みになって、自社にも当てはまる部分があると感じられたなら、まずは一度、外部の専門家の視点を入れてみることをお勧めします。
もしお近くに信頼できる専門家がいない場合、当社でも承っておりますので、ぜひお気軽にご相談いただければ幸いです。

まずは資料で確認したいという方は、こちらもあわせてご覧ください。
