クレーム・カスハラで退職する社員|定着率と改善策を具体的に解説
退職の理由を尋ねたとき、たいていの場合、返ってくるのは「一身上の都合です」や「家族の都合です」といった一言で、本当の理由は、なかなか語られません。
クレームやカスハラが原因の場合、日々の業務の積み重ねで「語ったところでどうせ何も変わらない」と、本人から思ってしまっているためです。
経営者は、その社員が半年前からクレームやカスハラへの対応を一人で抱え悩んでいたことを、知る機会さえありません。
そのため、多くの企業では、クレームやカスハラに起因した退職を人事政策上の問題であると認識できていなかったり、その影響を正確に把握できていなかったりします。
そこで本コラムでは、クレームやカスハラによる退職の影響と、負の連鎖についてどうやって断ち切れば良いかを、具体的に解説します。

クレーム・カスハラで退職する社員|定着率と改善策を具体的に解説
結論|辞めるのは対応がつらいからではなく、会社が守らないからです
結論から先にお伝えします。
クレームやカスハラの対応そのものだけが理由で辞める人は、実はそれほど多くありません。
辞めるのは、例えば以下のように、会社が助けてくれなかったときです。
| 起きること | 従業員が受け取る意味 | 会社が打つべき手 |
| 判断を一人で背負わされる | 失敗しても誰も助けてくれない | 判断基準を会社が決め、文書で示す |
| 報告しても動いてくれない、状況が変わらない | どうせ言っても無駄である | 報告を無視しない、必ずリアクションし、的を射て無い時でも誠実にFBする |
| 会社が相手に迎合する | 自分は守られる対象ではない | 取引より従業員を優先する場面を明示する |
この3つは、いずれも会社側の姿勢の問題です。
つまり、離職を防ぐためにやるべきことは、対応スキルの強化ではなく、会社が主体的に対応し、従業員をフォローするための仕組みを作ることです。
クレーム・カスハラが原因の離職は、どのくらい起きているのか
まず、数字を確認します。
数字を見る目的は、単に危機感を持つことではありません。
自社で1人辞めたときのインパクトを、できるだけ具体的に把握しておくためです。
把握できていれば、対策にいくらかけてよいかも決まります。
逆に、数字が曖昧なままだと、対策はいつまでも後回しになります。
企業自身が認識している損害
厚生労働省の令和5年度職場のハラスメントに関する実態調査では、顧客等からの著しい迷惑行為によって被った損害として、企業が次の項目を挙げています。
- 通常業務の遂行への悪影響:63.4%
- 労働者の意欲・エンゲージメントの低下:61.3%
- 労働者の休職・離職:22.6%
著しい迷惑行為による休職・離職の割合は、実に、5社に1社を超えています。
しかし、注目していただきたいのは、エンゲージメントの低下と休職・離職の差です。
意欲が下がっている従業員は6割を超えているのに、離職まで至っているのは2割強。
つまり多くの企業が、エンゲージメントが下がった従業員が辞める手前の状態を抱えて、それを解決できない状態のまま運営しているということです。
この層に手を打てるかどうかが、休職・退職に至るかどうかの分かれ目になります。
休職の発生率は、規模が大きいほど高くなります
厚生労働省の令和4年労働安全衛生調査では、メンタルヘルス不調により連続1か月以上休業した労働者がいた事業所の割合が示されています。
| 従業員数 | 1か月以上休業した人がいた割合 | 退職した人がいた割合 |
| 300人から499人 | 65.3% | 33.2% |
| 100人から299人 | 46.9% | 23.6% |
| 50人から99人 | 23.6% | 9.3% |
| 30人から49人 | 14.1% | 8.7% |
この調査はメンタルヘルス不調全般が対象で、クレーム・カスハラだけが原因ではありません。
また、この調査は「いた割合」なので、従業員数が大きくなるほど母数も大きくなり、「いた割合」も大きくなっています。
そのため、注目すべきなのは従業員数100人以下の中小企業です。
特に、従業員数が30人から49人の企業であっても、メンタルヘルス不調で1ヶ月以上休業した人が14.1%、退職した人が8.7%と、約1割を占めていることは、重い事実ではないでしょうか。
中小企業では、1人抜けた影響が大きくなります
大企業であれば、1人が休退職しても、配置転換で吸収できます。
しかし、従業員30人規模の中小企業では、そうはいきません。
クレーム・カスハラ対応ができる人も、たいていは社内に数人しかいません。
その1人が抜けると、残りの数人に負荷が集中します。
そして、負荷が集中した人が次の休職や退職へと繋がる連鎖が始まることになります。
この連鎖が始まると、止めるための採用が追いつきません。
中途採用で人を入れても、商材の知識、業務の手順、その他の社内の細々としたルールなどを覚え、クレーム・カスハラにも対応ができるようになるまでには、相当な時間がかかります。
そして、育つ前に、また誰かが抜けることになりかねません。
この連鎖に陥った企業は、顧客対応の品質が下がり、それがさらにクレームを増やします。
そのため、この連鎖に入る前に止めることが、最も効果的で、費用の面でも最も安く済みます。
なぜクレーム・カスハラの担当者が辞めるのか|3つのメカニズム
数字の次は、中で何が起きているかを確認します。
ここを理解しないままでは、研修を増やしたり面談を増やしたりといった対策をいくらやっても的外れになりかねないので、注意が必要です。
以下、具体的に見て行きましょう。
メカニズム1|クレーム対応の判断を、個人で背負っている
クレームやカスハラへの対応では、対応そのものだけではなく、判断もそれと同じくらい消耗します。
どこまで応じるか、いつ上司にエスカレーションするのか、この金額は認めてよいのか、といった基準が決まっていない会社では、後で上司に相談するにしても、少なくても初期対応は担当者が何とかするしかありません。
その結果、良かれと思って対応したことが、上司から「安易な約束をしちゃダメだよ」と叱責されたりといったことに繋がることになります。
こういった環境に置かれた人は、必ず消耗します。
相手が悪質なクレーマーであれば、消耗はさらに速く進みます。
正当なクレームであれば、解決すれば終わりますが、要求そのものが目的の不当要求やカスハラの場合には、対応に終わりがありません。
そのため、不当要求やカスハラを判定する基準がないまま、全てのトラブルに属人的に対応するのは不可能です。
逆に、件数が多くても判断基準が明確な職場では、担当者は淡々と処理できます。
そのため、コールセンターのように対応件数が桁違いに多い現場でも、エスカレーションの基準が整っていれば長く働く人がいます。
メカニズム2|報告しても何も変わらない
例えば、担当者が上司に相談したとしても、返ってくるのが「うまくやっておいて」だったり、あるいは嫌そうな顔をされたりしたら、その担当者は次から報告しなくなります。
そして、報告が止まると、見えないので手も打たれなくなり、担当者の中に「この会社は何もしてくれない」という不満が募ることになります。
こういった不満が積み重なると、担当者の退職の意思へと繋がります。
大切なのは、報告に対して必ずレスポンスを返すことです。
その場ですぐに解決できなくても構いません。
「大変だったね」「ちゃんと記録したよ」「来週の会議で対策を話し合うから」といった返事だけでも十分です。
無反応は、確実に従業員の忠誠心を低下させます。
注意点は、無反応は、上司が冷たいから起きるとは限らないことです。
例えば、上司自身も判断基準を持っておらず、答えられないから黙っていたというケースでも、ちゃんとレスポンスを返してあげないと従業員には伝わりません。
メカニズム3|会社がクレーマーに迎合する
例えば、取引先から担当者への苦情が来たとき、会社が事実確認をせずに謝罪させる。
あるいは、担当者の前で相手に同調してみせる。
そういった対応から従業員が受け取るのは、自分は会社に守られる対象ではないというメッセージです。
こういったメッセージは、一度生まれると打ち消すのは極めて困難です。
実際、裁判でも、取引先や利用者に迎合して従業員に謝罪を強要した事案では、会社側の責任が認められています。
また、その一方で、対応の手順を用意し、困難な案件を上位者が引き取る仕組みが実際に動いていた事案では、会社側の責任は否定されています。
特に、令和8年の10月からは、法改正により全ての企業にカスハラ対策を講じることが義務付けられたため、会社が従業員を守ることは従来以上に重要になります。
自社の対応体制に不足がないかを確認したい場合は、チェックリストとしてお使いいただける資料をご用意しています。
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クレーム・カスハラの担当者が辞める前に出る、5つの兆候
担当者の離職は、突然起きるように見えますが、多くの場合では前触れがあります。
クレームやカスハラ自体をゼロにすることはできなくても、兆候の時点で適切にフォローし、対策を講じることができれば、従業員の離職を防げる可能性はあります。
従業員の兆候を見逃さないように注意しましょう。
兆候1|特定の取引先の話題を避けるようになる
以前は普通に報告していた取引先について、話題に出さなくなります。
聞けば答えますが、自分からは言いません。
これは、報告しても意味がないと判断した後の状態です。
兆候2|クレーム・カスハラの報告件数が減る
会社全体の件数が減ったのではなく、特定の担当者からの報告だけが減った場合は要注意です。
案件が減ったのではなく、抱え込みが始まっている可能性があります。
件数は、部署別ではなく担当者別に見て、変化を見逃さないように注意しましょう。
兆候3|遅刻や欠勤が増えるなど、勤怠が乱れる
常習的な遅刻や無断欠勤などが起きる様になれば、要注意です。
また、勤務中に居眠りをしていたり、いかにも集中力を欠く様子が見られる場合も同様です。
いずれも、消耗を自分ではコントロールできなくなっている可能性があるので、直ちにヘルプに入るなど、具体的な対応を検討しましょう。
兆候4|見た目・外見が乱れる
体臭、寝ぐせ、スーツやワイシャツのしわなど、外見の乱れが生じているときは、深刻な状態になっている可能性があります。
経験上、女性の場合は特に、外見の乱れは非常に深刻な精神状態の場合があります。
有給を使わせたり、専門医の診断を勧めたりしながら、必要な対策を講じましょう。
兆候5|社内の会話が減る
同僚との雑談が減り、休憩を一人で取るようになります。
無礼な扱いを受けた人が周囲との接触を避けるようになったり、本人だけでなく、それを見ている同僚のパフォーマンスまで落ちることは、複数の研究で確認されています。
| 兆候 | 見るべき場所 |
| 特定の取引先の話題を避ける | 週次の報告内容の変化 |
| 報告件数が減る | 担当者別のクレーム件数 |
| 遅刻や欠勤が増えるなど、勤怠が乱れる | 勤怠データや日々の勤務態度 |
| 見た目・外見が乱れる | 本人の服装など |
| 社内の会話が減る | 話しかけた時の態度、休憩時間の過ごし方、同僚からの評判 |
もしもこのうち2つ以上が同時に出ていれば、早急に面談を設定しましょう。
もし面談でもその従業員が心を開いてくれなかったり、警戒されていると感じる場合には、その従業員と仲の良い同僚に同席してもらうのも一法です。
その従業員が困っていることに対して、力になりたいと誠実に伝え、心を開いてもらうように心がけましょう。
業種別|クレーム・カスハラ対応者が消耗しやすい場面
自社がどの型に当てはまるかを、先に見ておいてください。
| 業種 | 消耗しやすい場面 | 先に決めておくこと |
| コールセンター・受電業務 | 誰も気付いてくれないまま長時間のハードクレーム対応をするとき | モニタリングやアラートの仕組みと、上位者への引き継ぎ基準 |
| 店舗・接客 | 他の顧客の目がある場所で責められるとき | 別室へ移す判断と、バックヤードへの退避動線 |
| 受託開発・制作 | 修正の往復が終わらないとき | 修正回数の上限と、超えた場合の扱い |
| 常駐・出向 | 相手企業の中で一人で働いているとき | 月1回の自社側との面談、自社メンバーとの接点作り |
| 営業(法人) | 取引を失う不安から報告できないとき | 報告しても評価を下げないという明言 |
このうち最も見えにくいのが、社内の管理職の目が届き難い常駐と法人営業です。
そして、業務の性質そのものに、本人が報告をためらう構造が含まれている点にも注意が必要です。
常駐者には、こちらから聞きにいく
自社の従業員が相手企業の中で働いている場合、日常の様子は見えません。
月1回でよいので、自社側との面談を設定し「先方で、困っていることはありませんか」と訊くようにしましょう。
また、常駐メンバーが困ったことがあれば自分から相談してくれるように、帰属意識を醸成するためのコミュニケーション機会を作ることも有効です。
筆写がオンサイトのコールセンターで勤務していた時には、毎月開催される本社主導の研修が貴重なコミュニケーション機会になり、そこで共有された参加者名簿で事後に個人的に連絡を取ったりしたことで、客先常駐でも有効な社内ネットワークを作ることができました。
法人営業には、報告しても損をしないと明言する
営業担当者が報告をためらう大きな理由として、「自分の報告が発端となって取引が終了になるかもしれない」というものがあります。
つまり、報告することが本人の不利益に直結する構造になっていることが、報告をためらわせる大きな理由になっています。
これを変えるには、「取引先からの不当な要求を報告したことで、評価を下げることはない」と、経営者が明言するしかありません。
そして、実際に報告した案件の取扱いについては、規程などに明記しておきましょう。
中小企業では、経営者が「決める人」を明示する
従業員20人から30人規模では、判断できる人が経営者しかいなくて、経営者が不在のときに現場が止まってしまうことが少なくありません。
こういった状況を防ぐためには、代わりに決める人をあらかじめ指名する権限移譲が有効です。
「私が不在のときは、◯◯が判断する」と決めるだけで、現場は動けるようになります。
そして指名された人には、判断の範囲や基準を数字にするなど、極力具体的に共有しましょう。
具体性がないまま指名すると、その人も判断できません。
決めた内容は、ガイドラインやマニュアルとして共有する
判断基準を口頭で伝えただけでは、皆すぐに忘れてしまい、3か月後には誰も覚えていません。
そうならないように、必ずガイドラインやマニュアルに反映させ、全員に共有しましょう。
また、一度周知しただけでなく、定期的に見直しながら研修をするなどし、アップデートし続けて行くことも重要です。
同じようなクレーム・カスハラが繰り返し起きている場合は、早い段階で専門家へご相談されることをお勧めします。
お近くに信頼できる専門家がいらっしゃらない場合は、当社でも承っておりますので、お気軽にお声がけください。

クレーム・カスハラによる悪影響
対策の優先順位を決めるために、抜けた場合の負担を確認しておきます。
採用にかかる費用
株式会社マイナビの中途採用状況調査では、年間の中途採用費用として、サービス・レジャー業で438.3万円、IT・通信業で998.5万円といった水準が示されています。
やや古い調査になりますが、株式会社リクルートの就職白書2020では、1人あたりの採用コストが示されています。
ここに、新しく入った人が戦力になるまでの教育コストが加わることになります。
一般的に中小企業は、大企業のような大規模な採用活動を行わないので、上記よりは安価になると推定されます。
しかし、その分採用に時間がかかり、業務が止まるなど、目に見え難いコストが発生します。
費用以外の悪影響
退職に伴う欠員補充について、金額として見えるのは直接的な採用コストだけです。
しかし、企業が実際に負担するのは、それだけではありません。
- 取引先との関係や、過去の経緯の記憶
- 蓄積していた対応の勘所
- 残された社員に業務が上乗せされることによる満足度の低下
- 「この会社では長く働けない」という社内の空気
1人の離職は、離職に至る経緯だけでなく、その後の会社の対応も含めて、残っている社員の判断材料になります。
従業員の退職理由がクレームやカスハラへの対応だった場合は特に、残った社員は辞めた人がどう扱われていたかを見ているため、会社の対応が不十分だったと感じたら、自分のときもきっと同じだろうと考えます。
こういった認識は、採用の場面にも及びます。
特に、従業員同士の紹介や地域の口コミで採用しているような中小企業の場合、従業員満足度の低下は採用に深刻な悪影響を与えることになります。
個々の状況に応じた適切な対策のためには、外部からの客観的な視点が不可欠です。
貴社の状況に応じた課題の整理と優先順位付けについて、専門家にご相談を希望の方は、お気軽に下記からご連絡ください。
評価制度が、クレーム・カスハラの抱え込みを生んでいないか
判断基準を整えても離職が止まらない場合、原因は評価制度であることがあります。
基準を作っても、評価が逆を向いていれば現場は評価に従うためです。
こういったズレは、経営者にしか直せません。
判断基準は現場でも作れますが、評価制度の構築は経営の領域だからです。
評価制度が変わらないかぎり、現場の行動も変わらないため、クレームやカスハラへの対応基準と矛盾は無いか、一度確認しておきましょう。
「問題を起こさない人」が評価されていないか
多くの企業では、トラブルの少ない担当者が高く評価されます。
これは、一見、妥当に見えますが、こういった評価軸は、報告しない人を優遇する仕組みでもあります。
人は、掲げられた方針ではなく、評価される基準に沿って行動します。
そのため、報告すれば、問題が起きた担当者として記録に残る反面、黙って処理すれば、何も起きていないことになるという構造がある限り、抱え込みはなくなりません。
報告やエスカレーションをした人が損をしないようにする
判断基準と評価制度を整合させるためには、まず、報告やエスカレーションの件数をマイナス評価の材料に使わないと明言しましょう。
そのうえで、報告や上位者へエスカレーションした案件については、判断そのものを評価対象にします。
「基準に従って正しく報告した」「適切なタイミングでエスカレーションした」といったことを評価するだけで、報告件数や内容は自然と適正化されて行きます。
このようなプロセスの結果、報告件数が増えたとしても、それは本来在るべき姿になっただけであり、自社の課題が明確化されたということに他なりません。
| 評価の軸 | 現場が取る行動 | 経営者から見える状態 |
| クレームの少なさで評価する | 報告せず自分で処理する | 何も起きていないように見える |
| 対応の総件数で評価する | 件数を稼ぐため難案件を避ける | 難しい案件だけが残り、特定の人に集中する |
| 基準どおりに報告やエスカレーションしたかどうかで評価する | 基準に沿って正しく報告やエスカレーションをする | 実態が数字で見えるようになる |
対応部門の在籍期間をモニタリングする
人事的な指標として、クレーム・カスハラ対応を担う部署の担当者の在籍期間を個別にモニタリングしましょう。
個別にモニタリングすることで、様々な傾向が見えてきます。
例えば、筆者が勤務していたコールセンターでは、入社1ヶ月目、3ヶ月目、1年目の退職率が高くなる傾向があり、特に、入社3ヶ月以内にクレームに遭ってしまったオペレーターは8割近くが退職していました。
こういった傾向が見えて来ることで、入社3ヶ月以内のオペレーターには、クレームが起きればすぐに交代できるように管理者の近くに配置したり、退職率が高くなるタイミングで個別面談をするといった対策が可能になります。
また、そういった傾向が急に変わった時には、現場で何か想定外のことが起きていないか、調査するきっかけにもなります。
こういった対応は、毎年集計される全社平均のような情報からは導かれません。
そのため、現場が機動的に対応できるように、自分達でモニタリングしていくことがお勧めです。
よくあるご質問
クレーム・カスハラ対応の研修をすれば、離職は防げますか
一定の効果はありますが、それだけでは足りません。
研修をしたら、それが適切に運用できているか現場でモニタリングし、フォローすることで、従業員が一人で抱え込み追い込まれるのを防ぐことが重要です。
辞めそうな社員に、どう声をかければよいですか
その社員との関係や仕事内容などにより変わるため、「こう言えば良い」という正解はありませんが、まずは「顔色悪いように見えるけど、大丈夫?」などと柔らかく伝え、自分がちゃんと見守っていることを伝えると良いです。
また、声をかけても心を開いてくれない場合は、その社員と仲の良い同僚などに協力を依頼し、代わりに声をかけてもらったりするのも有効です。
令和8年10月の法改正で、何が変わりますか
今までは企業の任意対応でしたが、労働施策総合推進法等が改正されたことにより、令和8年10月1日から、カスタマーハラスメント(カスハラ)対策が全ての事業主に対し雇用管理上の措置義務となります。
対象は労働者を雇用しているすべての事業主であり、従業員数による区別はありません。
そして「顧客等」には、一般消費者だけでなく取引の相手方も含まれます。
つまり、企業間取引(BtoB)しか行っていない企業も対象になります。
法改正ではアルバイトや派遣社員も対象になりますか
アルバイトでも、自社が雇用している労働者であれば対象です。
派遣社員は直接的な雇用関係ではありませんが、派遣先事業主にも一定の義務が及びます。
実務上では、雇用形態によって守る範囲を変えると、社内に不公平感が生まれるため、対応の基準は、雇用形態にかかわらず同じものを適用することをお勧めします。
まとめ|従業員の退職を止められるのは経営者だけです
クレーム・カスハラを理由とした離職は、対応の難しさだけから起きるのではありません。
判断や責任を個人に背負わせる、報告に反応しない、いざというとき相手に迎合するといったことから起きます。
いずれも、現場で簡単に変えられるものではなく、経営者によるリーダーシップが不可欠です。
今回ご紹介した対策は、いずれも、ほとんど費用をかけずに始められます。
とはいえ、複数のトラブルが発生している場合は、自社の実態に合わせて課題の優先順位を決めるだけでも、簡単ではありません。
そのため、ここまでお読みになって、もし自社に当てはまる部分が3つ以上あると感じられたなら、一度、外部の専門家に相談することをお勧めします。
もしお近くに信頼できる専門家がいない場合は、当社でも承っておりますので、お気軽にご相談いただければ幸いです。

まずは資料で確認したいという方は、こちらもあわせてご覧ください。
