クレームやカスハラを「受けやすい人」「受けにくい人」の特徴を専門家が解説
「クレームが特定のスタッフに集中している」
「新人がすぐ辞めてしまう」
「同じようなトラブルが何度も起きる」
これらは、どの業種でも“離職・炎上・売上低下”につながる典型的なサインです。
もし御社でこうした状況が続いているなら、原因は“個人の性格”ではなく、組織側の構造や環境にある可能性が高いです。
個人の問題として扱ってしまうと、根本的な改善にはつながりません。
クレームが特定のスタッフに集中する背景には、企業側の構造的な要因が潜んでいます。
- 外見・態度・話し方などの基準が曖昧
- 教育が属人的で再現性がない
- マニュアルが形骸化している
- 顧客対応の方針が共有されていない
- クレーム初期対応が場当たり的になっている
こうした要因が積み重なることで、組織内に「受けやすい人」が自然と生まれてしまいます。
本記事では、クレーム・カスハラを「受けやすい人」と「受けにくい人」の特徴を整理しながら、
企業としてどのように改善できるのか
どの部分が組織の仕組みで変えられるのか
といったポイントについて、実務経験に基づいて分かりやすく解説します。
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クレームやカスハラを「受けやすい人」「受けにくい人」の特徴を専門家が解説
クレーム対応で差が出る6つの特徴と企業の改善ポイント
クレームやカスハラを受けやすい人と受けにくい人には、明確な傾向があります。
ただし、その多くは“個人の性格”ではなく、企業のルール・教育・マネジメントによって後天的に作られる要素です。
ここでは、クレームを受けにくい人に共通する以下6つの特徴を整理し、あわせて 企業として取り組める改善策 を解説します。

特徴1:外見(第一印象)|清潔感があり、整っている
第一印象は、クレーム発生率に大きく影響します。
しわのない服装、整った髪型、清潔感のある身だしなみは、それだけで「きちんとした人」という印象を与え、クレームを受けにくくします。
反対に、髪が乱れていたり、服装がだらしなかったりすると、「真面目に対応する気があるのか?」と、クレーマーの標的になりやすくなります。
【企業ができる改善策
- 服務規程に「外見基準」を明確に記載する
- 髭・ネイル・髪色などの許容範囲を“理由とセットで”説明する
- ルールを作るだけでなく、責任者が直接「なぜ必要なのか」を伝える
外見の基準は曖昧にすると従業員の解釈がバラつきます。
企業として“見た目の統一基準”を整えることが、クレーム予防の第一歩です。
特徴2:表情|お客様の気持ちに合わせた表情ができる
クレームを受けにくい人は、状況に応じて表情を使い分けられます。
喜びには笑顔、困っているお客様には「哀」の表情で寄り添うなど、感情の方向性を合わせることができる人です。
一方、無表情・不機嫌・無関心な表情は、クレームを誘発しやすくなります。
【企業ができる改善策】
- ロープレで「表情の使い分け」を練習する
- 電話対応では声のトーンで感情を補う方法を教える
- 鏡を使ったセルフチェックを習慣化する
表情は“技術”として習得できます。
トレーニング次第で、誰でも改善が可能です。
特徴3:態度(立ち居振舞い)|テキパキ動き、反応が良い
テキパキと動き、呼びかけにすぐ反応できる人は、クレームを受けにくい傾向があります。
逆に、動きが遅い・おどおどしている・ダラダラしていると、クレーマーの標的になりやすくなります。
【企業ができる改善策】
- リーダーが率先して“やって見せる”ことで空気を変える
- 朝礼・面談などで繰り返し「動きの基準」を伝える
- 小さな成功体験を積ませ、褒めて行動を定着させる
山本五十六の「やって見せ、言って聞かせ、させてみて、褒めてやる」は、現場改善に非常に有効です。
特徴4:業務知識|分かりやすく説明できる
クレームの多くは「誤解」から生まれます。
業務知識が豊富で、専門用語を使わず分かりやすく説明できる人は、誤解を未然に防ぎ、クレームを受けにくくなります。
【企業ができる改善策】
- FAQを従業員自身に作成させ、知識を定着させる
- マルチスキル化で業務全体の理解を深める
- 上司・先輩が日常的にフィードバックする仕組みを作る
知識不足は“個人の問題”ではなく、教育設計の問題です。
企業として仕組み化することで、全員のレベルを底上げできます。
特徴5:声や話し方|ハキハキ・明確・分かりやすい
同じ内容でも、話し方によって印象は大きく変わります。
ハキハキと、明確に、結論から伝えられる人はクレームを受けにくい傾向があります。
反対に、ぼそぼそ・曖昧・早口などは、クレームを誘発しやすくなります。
【企業ができる改善策】
- トークスクリプトを整備し、話し方の型を作る
- ロープレで「声量・スピード・構成」を改善する
- 口癖や話し癖をフィードバックする文化を作る
話し方は“トレーニングで必ず改善できるスキル”です。
特徴6:顧客志向|状況に左右されず、傾聴と提案ができる
クレームを受けにくい人は、相手が怒っていても冷静に傾聴し、事実確認を行い、代替案を提示できます。
「言いなりになる」のではなく、一貫した顧客志向の姿勢を保てる人です。
【企業ができる改善策】
- 顧客対応ガイドラインを作成し、全員で共有する
- マインド教育を継続的に行う
- 現場の判断基準を明確にし、迷わない環境を作る
| 6つの特徴のうち、貴社に当てはまるものはありましたか? 1つでも該当する場合、クレームが増えやすい状態になっている可能性があります。 特に、複数該当する場合は、基本的な対応フローをまとめた『クレーム対応基本方針』などを活用し、早急に対応フローを整えることをお勧めします。 まずは、自社の対応フローに抜けや漏れがないかを確認するところから始めてみてください。 |
クレーム・カスハラが増える企業の典型的な失敗パターン
クレームやカスハラが発生しやすい企業には、いくつか共通する“落とし穴”があります。
これらは決して特殊なケースではなく、多くの企業が無意識のうちに陥ってしまうものです。
以下のパターンに当てはまるほど、クレームが増えやすく、改善が進みにくい組織になってしまいます。
【本項のポイント】
✔ クレームが増える企業には共通の落とし穴がある
✔ 個人の問題にすると改善が止まる
✔ 仕組みの歪みを整えることが最優先
失敗パターン1:クレーム対応を「個人の問題」として片付けてしまう
「またあの人か」
「性格の問題だろう」
「向いていないんじゃないか」
こうした言葉が現場で出ている場合、改善は進みません。
クレームの背景には、外見基準・教育・マニュアル・判断基準など、組織側の要因が必ず存在します。
個人の責任にしてしまうと、根本原因が放置され、同じ問題が繰り返されます。
失敗パターン2:ルールを作って終わりにしてしまう
服務規程やマニュアルを作成しても、
「現場に浸透していない」
「説明されていない」
「更新されていない」
というケースは非常に多いです。
ルールは“作ること”よりも、なぜ必要なのかを伝え、現場で使われる状態にすること が重要です。
失敗パターン3:教育が属人的で、再現性がない
新人教育が「先輩のやり方次第」になっている企業は、クレームが発生しやすい傾向があります。
教える人によって品質がバラつくため、スタッフ間で対応レベルに差が生まれます。
再現性のない教育は、“クレームを受けやすい人”を組織が生み出してしまう構造 です。
失敗パターン4:クレーム初期対応が場当たり的になっている
クレームが起きたとき、
「とりあえず謝る」
「とりあえず上司に回す」
「とりあえず謝罪文を書く」
といった場当たり的な対応は、火に油を注ぐことがあります。
初期対応が統一されていないと、小さな不満が大きなクレームに育つリスク が高まります。
失敗パターン5:顧客対応の方針が組織として明文化されていない
「どこまで対応すべきか」
「どこから断るべきか」
「どのように判断すべきか」
これらが曖昧なままだと、スタッフは迷い、対応がブレます。
その結果、クレームが増えたり、スタッフが疲弊したりします。
顧客対応の方針は、“判断の軸”として明文化し、全員で共有することが不可欠 です。
失敗パターン6:クレームの振り返りが行われていない
クレームが起きても、
「忙しいから」
「仕方ないから」
と振り返りをしない企業は、改善が進みません。
クレームは“改善のヒント”の宝庫です。
振り返りをしないことは、改善の機会を捨てているのと同じです。
| これらの失敗パターンは、“気が付かないうちに”起き、従業員の退職などに繋がります。 そのため、まず取り組むべきは 早期に自社の現状を把握すること です。 カスハラが起きやすい組織の特徴をまとめた『カスハラの起き易さ評価リスト』を無料進呈していますので、いくつ当てはまるか確認してみてください。 |

クレーム改善の実例|企業ごとの課題整理と変化
クレームやカスハラは、「運が悪い」「スタッフの性格が悪い」といった偶然の産物ではありません。
多くの場合、業務設計・教育・ルール運用の“歪み”が積み重なった結果として表面化したものです。
ここでは、実際にあった現場の状況と、その企業ごとに課題を整理し、どのように改善していったのかを紹介します。
どれも特別なことではなく、現状を言語化し、優先順位をつけながら、一つ一つ丁寧に対策しただけであることが、お分かりいただけると思います。
【本項のポイント】
✔ クレームは“偶然”ではなく“構造”で起きる
✔ 課題を可視化し、優先順位をつけるだけで改善できる
✔ 特別な施策よりも“現場の理解と仕組み化”が決め手
事例1:通販コールセンター(民間BtoC)|部署ごとの“分断”がクレームを生んでいた
ある通販コールセンターでは、
- 「広告と内容が違う」
- 配送状況を答えられない
といったクレームが頻発していました。
原因は、販促・コールセンター・配送管理が完全に分断されていたことです。 オペレーターは広告内容や配送状況を知らず、他部署も「コールセンターが何を必要としているか」を理解していませんでした。

どのように課題を整理し、何をしたか
入電ボリュームを分析すると、朝がピークで昼以降は大きく減少していました。
そこで、
- ピーク時:他部署が応援に入り、コールセンター業務を体験
- オフピーク時:オペレーターが他部署へ短期留学し、広告・配送の流れを理解
という マルチスキル化 を実施しました。
なぜこの対策が奏功したのか
オペレーターは「どこを確認すれば良いか」を理解し、回答がスムーズに回答できるようになりました。
また、他部署もコールセンターの重要性を理解し、広告情報の共有やマニュアル整備が自主的に進みました。
その結果として、
- 「分かりません」「確認します」が激減
- ピーク時の取りこぼしも減少
- 顧客満足度が向上
といった成果に繋がり、クレームの件数自体が大きく減少しました。
この事例は、「部門間の分断」という構造的課題を、マルチスキル化という“組織的な取組み”で解消したケースです。
事例2:行政サービスセンター(公的機関)|エスカレーションの“渋滞”がクレームを生んでいた
ある行政サービスの事務処理センターでは、
- 回答に時間がかかる
- 折り返しが遅れる
- その間に事業者の不満が高まる
という悪循環が続き、「いつまで待たせるんだ」「担当者が分かっていない」といったクレームが増えていました。
原因は、判断基準が共有されておらず、同じ質問が何度もエスカレーションされていたことです。 オペレーターは「ミスをしたくない」ため慎重になりすぎ、上長は日々の対応に追われてナレッジ整備が進まない状態でした。

どのように課題を整理し、何をしたか
課題は「判断基準の不在」と特定し、 オペレーター主導でFAQを作成する仕組みを導入しました。
- 業務知識に優れたオペレーターでFAQチームを編成
- 上長は内容チェックと方針統一に専念
現場が主体となり、実態に合った“使えるFAQ”を整備していきました。
なぜこの対策が奏功したのか
現場のオペレーターは、「どんな質問が多いか」「どこで事業者が迷うか」を一番よく知っています。
そのオペレーターの意見を取り入れたことで
- 現場が作ったFAQは実務に即しており、一次回答できる範囲が大幅に拡大
- エスカレーション件数が減り、上長の負担も軽減
- 折り返し時間が短縮され、事業者の不満が減少
といった変化が生まれ、半年後には、クレーム件数が約半分に減少しました。
この事例は、「判断基準の共有不足」という構造的課題を、 FAQ整備という“現場主導の仕組み化”で解消したケースです。
事例3:飲食店(中小サービス業)|「ガイドラインを作って終わり」が現場の混乱を生んでいた
ある中華料理店では、日本人客を増やすために接客ガイドラインを作成し、報酬制度とも連動させていました。 しかし、作っただけで説明も運用もされず、現場に浸透していない状態でした。
その結果、店長の目が届かない店頭には段ボールが山積みになるなど、顧客志向とは真逆の行動が常態化し、 初めて来店した客が段ボールにぶつかって服を汚すなど、クレームにもつながっていました。

どのように課題を整理し、何をしたか
現場を確認すると、
- ガイドラインを「読んでいない/理解していない」
- 経営者から「なぜ必要か」の説明がない
- スタッフが自分の行動と結びつけて考える機会がない
という “腹落ちの欠如” が課題でした。
そこで、
- 店頭を見ながら「お客様からどう見えるか」をスタッフ自身に言語化
- ガイドラインを“具体的な行動”に落とし込むワークを実施
- スタッフ自身が決めた行動を、互いにチェックする仕組みを導入
という 現場主体の改善プロセス を設計しました。
なぜこの対策が奏功したのか
ポイントは、以下の3点です。
- 「やらされるルール」から「自分たちで決めた基準」に変わり、主体性が向上
- 店頭など店長の目が届かない場所も自然に整理されるように
- 「お客様からどう見えるか」という会話が日常的に生まれ、改善提案も増加
結果として、接客品質と店舗空間が料理のクオリティに見合うレベルに向上し、アンケート評価も改善しました。
この事例は、“制度そのもの”ではなく、“現場が主体的に考えるプロセス”を設計したことが成功の決め手となったケースです。
本件は、制度そのものよりも、“現場が主体的に考えるプロセス”を設計したこと が、改善の決め手になった事例だと思います。
まとめ|クレーム対策は“課題の可視化”が出発点
クレームの原因は、表面上の出来事とは別のところにあることが多いです。
例えば、
- 外見の乱れ → 服務規程が曖昧
- 説明が不十分 → 教育が属人的
- 態度が悪いと言われる → 判断基準が共有されていない
- クレームが長引く → 初期対応の統一がない
といったように、“個人の問題”に見えるものが、実は“組織の仕組みの問題” であるケースがほとんどです。
クレームやカスハラは、決して現場任せにして良い問題ではありません。
外見・態度・話し方といった個人の特徴に見えるものも、実際には 企業の仕組み・教育・判断基準の設計によって生まれる後天的な課題 です。
そして、こうした課題は放置すると、従業員の離職や顧客満足度の低下など、企業全体に悪影響を及ぼす可能性もあります。
もしこの記事を読みながら、「うちも似た状況かもしれない」「当てはまるところがあった」と感じられた場合は、ぜひ一度、状況をお聞かせください。
放置期間が長くなるほど、現場の疲弊や離職リスクは高まってしまいます。
| 無料相談では、貴社の状況に合わせて“課題の整理”を一緒に行うこと を目指しています。 客観的な視点から、「本当に向き合うべき課題」を明確にすることが可能です。 |
