過剰要求へのカウンタートーク3選とその伝え方 | クレーム・カスハラ対策
接客業では、時折、「ちょっとくらい良いでしょ」「そのくらい融通利かせてよ」などと、対価以上の過剰サービス(過剰要求、特別対応、個別対応などと呼ばれる場合もあり)を求められる場合があります。
そういったお客様に対して、ルールだからとお断りすると、感情的な反応を示されることもすくなくありません。
過剰サービスを求められるお客様は、自分は“お客様”なのでその程度の要望は当然だと考えていたり、「善処するのが当然であり、簡単に断るようなマニュアル対応こそ問題」などと考えている場合もあります。
そのような場合に、いかに過剰サービスだからといって、不用意にお断りするとクレームやカスハラに発展する場合があります。
そこで本コラムでは、過剰サービスを要求された場合の原則的に、公平性を確保するための具体的なカウンタートーク例を紹介していきます。
過剰要求へのカウンタートーク3選とその伝え方 | クレーム・カスハラ対策
過剰要求をへのカウンタートーク
一部のお客様だけ特別対応することは、それ以外の大勢のお客様への背信行為であるだけでなく、特別対応に要するコストまで負担いただくことになるため、二重の意味で不適切な行為です。
そのため、過剰サービスを要求するお客様に対しては、自社のルールや対応方針に則って対応し、例外を発生させないようにすることが重要であり、その場を収めるために安易に譲歩することは避けるべきです。
とは言っても、そういった過剰要求をして来るお客様が一見客ではなかったり、お断りすると怒りそうだったりすると、真正面からお断りすることにも躊躇します。
そこで、以下のようなポイントを踏まえたトークがお勧めです。
背景やルールを踏まえて、個別対応できないことを説明する
「それはできません」と真正面からお断りするだけでは、お客様の要望と衝突することになりかねません。
そのため、例えば以下のように、ご要望に応えられない背景やルールに簡単に触れながら特別対応ができないことをお伝えするのが有効です。
| 当社では、補償期間内の場合であっても、無償修理の場合には保証書をいただいております。 これは契約書にも定めていることなので、お一人だけ特別対応はできないことをご理解いただくよう、お願いいたします。 |
「以前はやってもらった」と言われても、今回は今回として対応する
一度でも特別対応を行うと、お客様は「そこまではできる」と学習してしまい、例えそれが特別対応だったとしても以後当然のように要望してくることになりかねません。
そのため、例え過去に特別対応したことがあったとしても、過去は過去・今回は今回として、現在の対応方針に基づいた一貫した対応を徹底しましょう。
具体的には、以下のようなカウンタートークで対応して行きます。
| 以前はそういった対応をすることもございましたが、現在は、会社の方針として特別対応はせず、皆様公平に対応しております。 誠に恐れ入りますが、特別対応はいたしかねること、ご理解いただきますようお願いいたします。 |
根拠となる情報を視覚的に示してお断りする
口頭での説明だけでなかなか納得いただけない場合は、根拠となる情報を視覚的に示すことが有効です。
例えば、店内の案内板や受付カウンターなどに「公平性の観点から特別対応は行わない」ことを示したガイドラインやポスターを掲示したり、同様の内容を顧客配布用のパンフレットに記載するなどが有効です。
そのうえで、お客様とのお話しが平行線になっているような場合には、そういった根拠情報を指し示しながらお断りしていきます。
なお、視覚的な根拠情報については、あまり初期段階で示すと拒絶しているような冷たい印象を与えてしまい、お客様の敵対的な態度の呼び水となることがあります。
そのため、まずはお客様のお話しを傾聴し、対応できる余地が無いか検討しながら、必要な範囲で言及するようにしましょう。
| お客様のご事情は理解いたしました。 ただ、私どもではこちらのガイドラインにある通り、皆様に公平なサービスを提供しておりますので、お一人だけ優先的な対応はお受けしていないこと、ご理解いただきますようお願いたしかねます。 |
お客様が受け入れやすい伝え方
例えルールを逸脱する特別対応の要求だったとしても、お客様はその要求を受け入れることを希望しています。
そのため、いかに合理的な理由を示して説明したとしても、誠実な態度が伝わらなければ心情的には受け入れられず、顧客満足度の低下や、今後のクレームやカスハラの火種として燻り続けてしまう可能性があります。
そのため、内容の正当性だけでなく、以下のようなポイントに注意して対応するようにしましょう。
非言語の対応にも意識を配る
適切なトークスクリプトを実践していたとしても、態度や表情がおどおどしていかにも自信が無さ気だったり、話す内容と一致していなかったりすると、お客様の不信感に繋がり受入れてもらいにくくなります。
そのため、クレームやカスハラなどの場合であっても、丁寧な言葉遣いで、穏やかに落ち着いたトーンで、お客様の目を見て真摯な表情で対応するように心がけましょう。
そのうえで、お客様のご要望自体は受け入れられなかったとしても、その中で受けたご指摘が自社にも改善余地があると思える場合には、以下のように感謝の言葉とともに受け止めると、お客様にも矛を収めて頂きやすくなります。
| 貴重なご指摘をありがとうございます。 即答はいたしかねますが、重要なご指摘なので、ぜひ上司に報告し、対応を検討していきます。 |
余計な言い訳をしない
時折、過剰要求やクレーム・カスハラに直面すると、焦りからかつい次次に色々な言い訳をしてしまう人がいます。
また、そうではなくても、お客様に矢継ぎ早に追及されたことに対応しようとして、しどろもどろになってしまうことがあります。
しかし、そういった対応は往々にしてちゃんと整理して説明している訳ではないので、「何を言っているか分からねーよ!」と更なるクレームになったり、揚げ足を取られて更なる過剰要求をされたりすることに繋がりかねません。
そのため、前掲のトークスクリプト例のような案内をしたら、それ以外の言い訳は極力しないようにします。
また、お客様から矢継ぎ早に追及された場合には、以下のような対応をすることが有効です。
枝葉の話しにいちいち反論せず、中核的な要望に絞って明確に回答する。
| お客様にも様々なご事情があると思いますが、当社は原則として、公的な身分証でご本人性の確認を取らせていただくことを皆様にお願いしております。 |
その他の話しと切り分けて回答する。
| 重要なご指摘なので、最初にご要望いただいた●●の説明後に、改めてお話しができればと存じます。 |
過剰な謝罪は避ける
相手が怒っているときに、ただ「すいません」「すいません」と連呼するだけの対応では、「謝れば済むと思っているのか!?」「何に対して謝っているんだ!?」などと、火に油となってしまうことがあります。
そのため、謝罪をする時は、対象を明確にして謝罪一辺倒にならないように注意します。
また、事実関係が分からないなど、謝罪対象を明確にできない場合には、「ご心配をおかけして申し訳ありません。」「ご不快なお気持ちにさせて申し訳ございません。」など、心情に対してであることを示しながら謝罪するのも一法です。
そのうえで以下のようにフォローし、それ以上謝罪は連呼しないようにしましょう。
| すぐに改善案を提示できず恐縮ですが、今回のご指摘は非常に重要なポイントであり、私どもも重く受け止めております。 ぜひにも報告し、改善策を検討していきたいと思います。 |
すぐに解決しようとしない
解決を急ぐと、お客様の意図を十分に理解できなかったり、お客様のお気持ちを十分に受け止められなかったりするまま解決策を提示することとなりかねません。
そのため、例え眼前のクレームは鎮火したように見えても、顧客満足度の低下や次のクレーム・カスハラの火種として燻り続けることになります。
そのため、「大変貴重なご指摘をありがとうございます。」「ぜひ、社内でも確認しながら対応いたします。」「重要なお話しなので、別室で詳しく伺っても良いでしょうか?」など、スローダウンするようなトーク・対応を挟み、お客様の意向を引き出しながら慎重に対応をして行きましょう。
解決を急ぎ過ぎず、お客様のお話しを傾聴し、真意を受け止めながら対応して行くことで、自らの誤解や過剰要求に気付いていただくことができれば、再度のクレームを防ぎ、顧客満足度の向上にも繋がります。
まとめ | 自社に合わせたトークスクリプトを用意しましょう。
クレームやカスハラへの対応では、そういった対応が得意な特定の誰かは対応できても、他の誰かに当たると大炎上になってしまうのでは、組織にとってはリスクそのものですし従業員にとっては悲惨です。
そのため、属人化しないように対応の仕組みを作り、組織全体として一定の対応ができるようにして行くことが重要です。
その中でも、今回ご紹介したようなトークスクリプトは、自社の客層、商材、販売チャネルなどを考慮しながら予め作成しておき、トレーニングなどで浸透させることが極めて効果的な取り組みです。
本コラムを参考に、ぜひ、典型的な場面についての対策を導入いただければ幸いです。
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