「言った言わない」クレーム対応の6つのポイントを専門家が具体的に解説
クレームやカスハラへの対応において、「言った言わない」の押し問答になってしまうことはよくあります。
小売・飲食・運送など、対人接客が中心のサービス業では日常的に発生しやすい問題でもあります。
例えば、次のようなケースがあります。
- 飲食店で、予約時に案内したラストオーダー時間を「そんな説明は聞いていない」と主張される。
- 小売店で、返品条件を説明したはずなのに「そんなルールは知らない」と言われる。
- 運送業で、破損リスクの説明をしたにもかかわらず「そんな話は受けていない」と責任を追及される。
他にも、金融機関の方から聞いた例では、投資商品に対して「損失のリスクを抑えるためには分散投資が有効です」と説明していても、時間の経過とともに細かい点を忘れてしまい、後になって「分散投資したら損はしないと言われた!」と主張され、水掛け論の解消に何か月も要したと言っていました。
これらの場合、お客様の最大の目的は損失の回避であり、担当者がちゃんと説明していたと回答するだけでは、「自分はそうは理解できなかった」など主張を曲げず、話しがこじれる一方となる可能性があります。
そこで今回は、「言った言わない」クレームへの対策として、今日から始められる5つのポイントを具体的に解説します。
| 「言った・言わない」は、自然には解消しません |
サービス業では、「言った言わない」のトラブルが起きるたびに店長や経営者が呼び出され、通常業務が止まってしまいます。
そのため、次のような悩みが続いている場合は、早期の対策をお勧めします。
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「言った言わない」クレーム対応の6つのポイントを専門家が具体的に解説
余計な言い訳をせず、速やかに謝罪する
時折、「謝罪すると非を認めたことになるから」と、自社に責任があることを明確に確認できない限り、頑なに謝罪を拒む方がいらっしゃいます。
しかし、謝罪したら即、そのトラブルに対する責任を全面的に認めることになる訳ではありません。
むしろ、「言った言わない」の原因が小さな出来事であるなら、初期段階で真摯に謝罪してしまえば、その出来事に対してそれ以上クレームを入れる余地を最小化することに繋がります。
そのため、まずは、事実関係を認めるのではなく、お客様の不快な気持ちに対して謝罪することが有効です。
具体的には、次のような言葉が効果的です。
- お手数をかけて申し訳ございません。
- 状況の確認に時間を要し、申し訳ございません。
- ご気分を害されることとなり、申し訳ございません。
お客様の温度感などによっては、上記のような謝罪をしてもなお、「詫びたっていうことは責任を認めたってことか」などと追及される可能性があります。
そのため、お客様が強く責任を求めている場合などは、「正式な回答は事実関係の確認後とはなりますが」などと一言添えことで、「謝った=責任を認めた」と受け取られるリスクを減らしましょう。
お客様のお話しを傾聴し、真のニーズを理解する
「言った言わない」の議論になっている時点で既に話しがこじれているので、謝罪だけでクールダウンすることばかりではありません。
そうなるとつい、自らの正当性や解決策を伝えたくなる場合があります。
しかし、お客様はそれらの内容よりも“自分がどう感じたか”を重視しているため、自らの正当性を伝えても、結局また、言った言わないの水掛け論になるだけの可能性があります。
そのため、まずお客様のお話しをしっかり傾聴し、どのようなことを望まれているのか、なぜ行き違いが発生しているのか、真のニーズを理解するようにします。
なお、傾聴する時には、黙って聴くだけでなく、お客様に伝わるように以下のような態度を心掛けます。
- お客様の目をしっかり見ながら真剣な表情で聴く
- お客様が見えるようにメモを取る
- 「仰る通りです」「●●だったのですね」「それは失礼しました」など具体的な言葉にする
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「スタッフごとに説明が違う」「同じクレームが続く」といった場合、その原因の多くは、対応フローが実態とズレていることです。
このズレを放置すると、クレーム対応が常態化し、店長や経営者が“現場の火消し”から抜け出せなくなります。
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上司・上席者への交代や、複数名での対応を検討する
「言った言わない」のクレームに対して、担当者本人の対応ではらちが明かない場合は、その上司・上席者に交代することが有効な場合があります。
理由も無く「上司に代われ」と言われた場合には、安易に交代することは避けるべきです。
しかし、担当者自身の対応ではかえってこじれてしまいそうな場合や、スタッフがカスハラの被害に逢っている場合には、上司・上席者への交代や、複数名で対応することも検討します。
注意点としては、以下のようなポイントが挙げられます。
上司・上席者は、担当者の味方ではなく、中立公平な審判役という姿勢を示す
上司・上席者に交代しても、あからさまに担当者の味方のような態度をしてしまうと、敵味方という構図が更に強化されるだけで、お客様の姿勢もますます敵対的になりかねません。
そのため、上司・上席者は、担当者の業務手順、作成した書類、説明内容などをチェックする立場で対応して行きます。
冒頭の例であれば、どちらが良いor悪いではなく、「損失の可能性は当社にとっても重要事項なので、お渡しするパンフレットでもこのようにお示しし、担当者も必ず説明しております」などと事実関係を伝え、案内の適切性・担当者の正当性の説明に止めます。
論破しようとせず、お客様を保護するために何をしているかを説明する
「言った言わない」のトラブルでは、こちらがどれだけ正しい説明をしても、お客様が納得しない場面が少なくありません。
そのような時に、事実を積み重ねて論破しようとすると、対立構造が強まり、状況はさらに悪化します。
重要なことは、自社の正当性を主張することではなく、「お客様を守るために行っている取り組み」を丁寧に伝えることです。
お客様は「自分が不利にならないか」「誠実に対応してもらえるか」という不安を抱えているため、その不安を解消する方向で説明する方が受け入れられやすくなります。
具体的には、次のような伝え方が効果的です。
- 「お客様が安心してご利用いただけるよう、重要な点は必ず書面でもご案内しています。」
- 「誤解が生じないよう、スタッフ全員が同じ説明をする仕組みを整えています。」
- 「お客様に不利益が出ないよう、事実関係を丁寧に確認しながら進めています。」
このように“お客様を守る姿勢”を示すことで、お客様は「自分を不利にしようとしている相手ではない」と感じ、感情が落ち着きやすくなります。
結果として、対話が前に進みやすくなり、トラブルの長期化を防ぐことにつながります。
予め役割を決めておき、組織として対応する
上司・上席者といえども生身の人間であり、クレームやカスハラへの対応には相当なストレスがかかります。
また、対策本などの中には複数名対応を進めているものもありますが、単に複数名で対応するだけでは、お客様が囲まれていると感じ態度をますます硬直化させ攻撃的になってしまう場合もあります。
実際、報道で有名になったあるアパレルメーカーの土下座事件では、対応したスタッフは複数名であったと報じられていました。
また、暴力は防げたとしても、押し問答になり、自社のスタッフが加害者となってしまう可能性もあります。
そこで当社では、以下のように役割分担をして対応することをお勧めしています。
- お客様と対話する「折衝担当」
- 内容を正確に記録する「記録担当」
- 状況に応じて警備や警察対応を判断する「安全管理担当」
このように役割を決めておくことで、現場の混乱を防ぎ、スタッフが安心して対応できる環境が整います。
また、担当者が一人で抱え込まない仕組みができるため、クレームの長期化やスタッフの消耗を防ぐ効果もあります。
面談・対応の記録を取り、場合によってはお客様にも確認する
「言った言わない」のトラブルが長期化する原因の一つに、双方の認識が食い違ったまま時間が経過してしまうことがあります。
そのため、対応のたびに 記録を残し、必要に応じてお客様と共有する仕組み が欠かせません。
記録を残す目的は、担当者を守るためだけではありません。
お客様との認識を揃え、後から「そんな話は聞いていない」と言われるリスクを最小化するためです。
また、複数回の面談が必要なケースでは、記録があれば話が振り出しに戻ることを防げます。
記録を取る際は、次のようなポイントを押さえると効果的です。
- 日時、場所、対応者、主なやり取りを簡潔にまとめる
- 事実と推測を混同せず、客観的な表現で記録する
- 必要に応じて、お客様にも内容を確認していただく
特に、企業側の説明内容のコピーをお客様に共有することで、後から「そんな説明は受けていない」と主張されるリスクを大幅に減らせます。
また、全社共通の面談シートを用意しておくと、記録漏れや対応のばらつきを防ぎ、組織としての一貫性を保つことができます。
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無理に解決を目指さず、「平行線」のままで良しとする
自分の案内が発端となり「言った言わない」のクレームが平行線になっていると、つい、しっかり対応して解決させなければいけない、と思ってしまうことがあります。
しかし、対応が平行線になることは、決してネガティブとばかりは言えません。
むしろ、悪質なクレーマーにとっては、押しても引いても動かない毅然とした相手だ、と認識されることは、これ以上やっても時間の無駄だとクレーマーがフェードアウト=クレームやカスハラが収束する可能性があります。
平行線になって困るのは、私たち企業では無くクレーマーの側です。
お客様と企業側の主張が平行線のままでも、適切なプロセスを踏んでいれば問題ありません。
そのため、クレームやカスハラへの対応の場では、結論を急がず冷静に対応し、平行線になってもそのままで良しとします。
なお、面談自体がいつまで経っても終わらない場合には、平行線を維持したまま面談自体を終了させるため、以下のようなトークをすることが有効です。
- 「私どもも今回は貴重なお話しを伺い、検討に時間が必要です。」
- 「少しお時間を頂きますが、ぜひ、社内で検討して行きたいと存じます。」
- 「即答頂かなくても結構ですので、私どもの提案も、ご検討頂けないでしょうか。」
2回目以降の面談日時は、こちらからは提案しない
クレーム・カスハラへの対応が平行線になった場合など、結論を出すためには2回目以降も面談が必要な場合があります。
しかし、そういった面談について、企業側にとって必要なものでなく、そもそも「言った言わない」の原因がお客様のゴリ押しに過ぎないと判断している場合には、次回面談日はいつにするか、こちら側から提示する必要はないでしょう。
自社にとって必要な案内を終えているのであれば、それ以降では、お客様に主張や要求を収めていただければ事足りることになります。
そのため、わざわざこちらから、次回面談については、持ち出さない方が無難です。
なお、それでもお客様側から、次回どうするんだ?と強く確認をされた場合は、柔らかく丁寧な物腰のまま、以下のようなトークをすることで、お客様からのリアクション待ちにして行きましょう。
- 「もちろん、当社の対応に問題が無かったことについては、私どもの時間の許す限り、誠意をもってお話しいたします。」
- 「当社でも重要なご指摘をいただいたと認識しており、少しお時間をいただかなければなりません。恐れ入りますが、●月以降のご都合の良いタイミングで、改めてご連絡いただけますでしょうか。」
まとめ | 個人任せにしない組織的な対策の仕組みが重要
「言った言わない」クレームへの対応は、「言っていません」と言い切るとお客様が間違っている(または嘘をついている)と主張することになり、新たなクレームになりかねません。
また、「そう聞こえたなら申し訳ありません」といった中途半端な謝罪では、「聞こえたこっちが悪いと言うのか!」など、火に油となることがあります。
重要なのは、その場の一言のうまさではなく、「組織としての対応」を決め、仕組み化しておくことです。
どこから仕組み化したら良いか分からない場合は、お早めに専門家への相談をお勧めします。
もし、お近くに信頼できる専門家がいない場合、当社でも承っておりますので、お気軽にご連絡下さい。
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今回解説して来た内容は、どれも、誰でも実践できる再現性の高い方法です。
しかし、それを組織全体ができるように仕組み化しなければ、いつまで経っても「言った言わない」が無くなることはありません。
この状態を放置すると、顧客満足度の低下や、売上・人材・現場に深刻な影響が発生することになります。
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