クレーマー・カスハラ撃退実務、対応打ち切りの6ステップを専門家が徹底解説

カスハラ 打ち切り 電話を切る
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中小企業診断士(経済産業大臣登録済み)
ProClaim合同会社 代表社員・花村憲太郎
クレームやカスハラを減らすだけでなく、顧客満足度を高めます。
元コールセンターの品質管理チームマネージャーであり、15年以上にわたり3,000件以上のクレームに対応した経験に基づく、実践的で再現性の高いノウハウを持つ専門家です。
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※本コラムでは「撃退」と「打ち切り」を区別せず、クレーマー・カスハラ行為を排除するための実務的な手順として解説しています。

クレーマーやカスハラの対応では、多少強く出たりしつこく食い下がったりされても、経緯が分からない段階で排除しようとすることは、正当なクレームを炎上させる可能性があります。

しかし、もしカスハラだった場合は、謝罪や代替案を提示するだけでは、際限無く要求をエスカレートさせることに繋がりかねません。

クレーマーやカスハラ加害者のゴールは、自らの理不尽な要求を貫き通すことや、企業やその担当者にダメージを与えることです。
そのため、どんなに誠実に対応し代替案を提示しても、多くの場合、「そんなことは聞いて無い。こちらが言った通りにやれ!」と振り出しに戻るだけです。

こういった悪質なクレームやカスハラに対して、納得いただけるまで代替案を講じようとすれば、従業員は酷く疲弊してしまいます。

また、こういった全く生産性の無い対応に要するコストは、商品やサービスの対価として無関係な多くのお客様が負担することになり、顧客満足度を低下させることになるため、企業にとって二重の被害です。

そのため、カスハラの可能性がある場合には、最初から対決姿勢を取るのではなく、以下の6ステップで対応することが、正当なクレームへの誠実な対応と不当なカスハラの撃退へと繋がります。

カスハラ撃退フロー

本コラムでは、悪質なクレームやカスハラを撃退するための、上記ステップに沿って具体的に解説いたします。

カスハラの撃退フローが無ければ、対応が属人化し、離職や炎上のリスクが高まります。
当社では、御社の業種・事例に合わせた「撃退フロー」や「打ち切り通知文書」の作成をサポートします。

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筆者は例えカスハラでも、差し迫った危険の無い限りは、できるだけ警察沙汰は避けるべきと考えます。
理由は、警察の対応は通常、非常に時間がかかるからです。

実際、筆者は以前、16時に警察を呼んだのが、終わったのは21時近くということがありました。

忙しい営業時間中に責任者が半日以上も拘束されては、たまったものではあありません。
そのため、可能であれば、クレーマーが自主的にお引き取りいただくように対応することをお勧めします。

警察への通報については、下記のコラムで詳しく解説しています。

クレーマー・カスハラ撃退実務、対応打ち切りの6ステップを専門家が徹底解説

カスハラ撃退の全体像

上記の通り、悪質なクレームやカスハラで突きつけられる様々な質問や要求に対しては、例えこちらに正当な回答があったとしても、その回答をお客様に納得いただけるまで説明することで交渉を終息させようとするのは、全くお勧めできません。

一方、上記の様な堂々巡りが嫌だからと言って、強引に対応を打ち切ってしまっても、他の担当者のところに行って同じことを繰り返されるだけです。
ヒアリングが不十分な場合には、少し気が強いお客様の正当なクレームへの対応を打ち切ってしまい、お客様の離反を招くだけでなく、サービス改善の機会も失ってしまう可能性があります。

そのため、対応を打ち切り撃退するときには、適切なステップを踏みながら、正当なクレームには誠実に対応し、カスハラは毅然と拒絶し撃退に繋げることが重要です。

以下、それぞれのステップを具体的に解説いたします。

《ステップ1》お客様のご意見・ご要望を把握する

対応の初期段階では特に、ご意見ご要望を理解しなければ、正当なクレームでありながら気の強いお客様が激怒されているのか、不当要求やカスハラに該当するものなのか、どちらに該当するか判断が難しいグレーゾーンなのか、なかなか見分けがつけられません。

そのため、お客様がお怒りで、外形的にはカスハラに見えたとしても、まずはしっかりお話しを傾聴し、なぜお怒りなのか、ご意見・ご要望は何なのかを把握するようにしましょう。

傾聴については、下記のコラムで詳しく解説しています。

《ステップ2》事実関係を確認する

外形的にはクレーマーやカスハラに見えても、従業員・スタッフがお客様のご要望を理解できていだけだったり、激怒の要因となるようなミスや不適切な言動をしている場合もあります。

また、慣れていない従業員・スタッフの場合は、自社の瑕疵・過失を少し強く指摘されたことに対して、怖がってカスハラだと思っている場合もあります。

もちろん、だからと言って暴力や暴言などのカスハラ行為は許されません。
しかし、適切な判断のために一番大切なことは、事実関係やご要望を正しく把握することです。

クローズドクエスチョンで事実関係を確認する

クローズドクエッションとは、YES or NOで回答できる質問です。
内容が限定されるため、相手にとって回答しやすく、確認がスムーズに行えるのがメリットです。

具体的には、以下の様に整理や要約を行いながら事実関係を確認して行きます。

  • 担当者が●をしたということですね?
  • ▲のために■円の保証をご希望ということですね?

オープンクエスチョンでご要望を深掘りする

クローズドクエッションは使い勝手が良い反面、繰り返すと詰問のような印象を与えるため、「俺を疑っているのか?」「細かいことは良いから、言われた通りにやれ!」などと回答を拒絶され、話しが先に進まない場合もあります。

そのため、目的や具体的内容を掘り下げる場合には、内容を制限せず自由に回答できるオープンクエスチョンが有効です。
具体的には、「なぜ」「なにを」「どうしたい」を中心に、以下のようにご要望を深掘りして確認します。

  • 恐れ入りますが、補償を希望のご理由を教えていただけますか?
  • 急ぎ検討しますが、▼を最優先でということで良いしょうか?
  • 間違いがないように、◆の経緯を、もう少し詳しく伺えますでしょうか?

事実関係の裏付けが取れない場合

事実関係の裏付けのないことは全く無駄だという訳ではありません。

例えば、クレーマーの乱暴な言動などに対して従業員・スタッフが強い恐怖を感じることがあったなら、事実関係の裏付けが無かったとしても、従業員の感じた恐怖についても社内でちゃんと共有すべきです。
ただ、それらが事実関係やご要望と混ざってしまうと検討のポイントもズレるので、意見や推測などは、事実関係と区別するように注意しましょう。

《ステップ3》カスハラに該当するか否か組織として判断する

事実関係やご要望を把握したら、把握した内容がカスハラに該当するか否かを、組織として判断します。
この時のポイントは、お客様が怒っている、怒鳴っている、などの外形的な基準で担当者が判断するのではなく、事実関係とご要望に基づいて、組織としての基準に基づいて組織として判断して行くことです。

カスハラについては、改正労働施策総合推進法では、以下の3要素を「全て満たすもの」定義されています。

  1. 顧客、取引先、施設利用者その他の利害関係者が行う
  2. 社会通念上許容される範囲を超えた言動により
  3. 労働者の就業環境を害すること

また、2025年4月に施行された東京都カスハラ防止条例や、2026年7月施行の埼玉県のカスハラ防止条例など、自治体によっては独自の条例が定められている場合もあります。

組織としての判断基準を作る際は、上記のような公的な基準をベースに、業界特性や自社の事業環境などを踏まえながら、それらの基準に該当するか否かを判断するプロセスも定めることが重要です。

例えば、一定のレベルに別けられるなら、軽微または明確な案件は現場のマネージャーが判断できるようにし、重度または複雑な案件は本部判断することにより、柔軟で精度の高い判断ができる可能性が高まります。

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判断基準が曖昧なままだと、対応が属人化し、同じクレームが何度も繰り返される原因になります。

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《ステップ4》組織として回答を伝える(心理的主導権を握る)

クレーマー対応やカスハラ対策では、組織としての一貫した方針が最も重要です。
そのため、ここまでのステップで組織方針に沿って正当なクレームと判断した場合には誠実に対応し、再発防止に努めます。

一方、組織方針に沿ってカスハラと判断した場合は、ご要望に応じられないことを「社として慎重に検討しましたが」などの枕詞をつけることで、“組織としての回答”として伝えます。

そのように伝えることで、「お前では話しにならない」「上を出せ」としつこく食い下がられても、「私ではなく社としての回答です」「責任者も承認しておりますので、代わることはいたしかねます」など、毅然とお断りできます。

ここでの注意点は以下の通りです。

細事にこだわらず、要望の中核に対して本質的な回答をする。

お怒りのお客様と対応する時は、色々なことを言われます。
そういった中に明らかに間違ったことがあると、つい、主導権を握るため反論したくなることがあります。

しかし、前述の通り悪質なクレームやカスハラの相手は建設的な解決を求めている訳ではなく、こちらをやり込めることが目的なので、反論は無意味です。
そのため、細事にこだわらず、お客様の要望の中核に対する本質的な回答に集中します。

具体例として、見積り遅れに対する無償対応要求であれば、以下のようなイメージです。

  • お客様:「なんですぐに報告に来ねぇーんだよ!?」
  • 従業員:「申し訳ありません」と謝罪はするがいちいち説明はしない。
  • お客様:「しかもさっきの奴の態度、ありゃ一体どういう教育してるんだ!?」
  • 従業員:「対応が至らず申し訳ありません」と、再び謝罪はするがいちいち説明はしない。
  • お客様:「これで今更有償修理なんて納得できる訳ねぇーだろうが!」
  • 従業員:「対応の未熟さには返す言葉もございません。ただ、修理が有償となった理由は、あくまでも本体の開閉痕が契約上の補償対象外となるからです。」

是々非々(それはそれ、これはこれ)で対応する。

上記のように回答しても、「ふざけんな! だったらなんですぐにそう報告しないんだよ!?」など反論して来る場合があります。
こういった反論が、自社にとって改善点を突いているのであれば、もちろん、改善が必要です。

しかし、自社に改善点があったとしても、それと無関係な要望まで飲む必要はありません。

そのため、基本的には「それはそれ、これはこれ」で対応します。

上記のケースであれば、「報告が遅れた点は申し訳ありません。この点は本人にも注意をし、業務面でも見直して行きます。」と伝えたうえで、補償の問題に戻るようなら「恐れ入りますが、報告の遅れと補償は別問題です。」など明確に伝えます。

組織としての結論を繰り返し伝える

繰り返しのポイントは、相手に理解してもらうように説明を尽くすのではなく、組織としての結論を淡々と伝えることです。

前段で説明した通り、悪質クレームやカスハラは、説明を尽くして理解してもらおうとすることは無意味です。
しかし、相手の要求にいちいち反応せず中核部分に対し本質的な回答を繰り返していれば、周辺の細事を掘り返しても「要望の中核とは無関係」とされ、上司に代わるよう要求しても「組織の回答だから交代しない」と断られることになっていき、繰り返しているうちに、相手は次第に反論が困難になって行きます。

なお、それでもしつこく繰り返して来たとしたら、30分~1時間を目安に、次の対応に移りましょう。

《ステップ5》クレーマーに逃げ道を提示し、自分で選んでいただく

カスハラ対処の最終段階では、相手の要求に反応せず、撃退方法として“対応の打ち切り”を明確に示す必要があります。

そのため、もしここまで対応してもまだ相手が退散してくれないのであれば、対応の行き詰まった時を見計らって打ち切りに入ります。

具体的には、話しが堂々巡りになっている、相手が無言になる時間が増えた、多少は話しを聞く姿勢が見えるようになってきた、といったタイミングで、以下の様に切り出して行きます。

  • 従業員:「申し上げにくいことですが、当社では、お客様が契約外の無償修理を強く要求され、ここ1週間で3度も来店され、閉店時間を1時間以上過ぎても机を叩くなど激しくお怒りになられていたことを、カスタマーハラスメントだと判断しております。」
  • お客様:「自分達の報告が遅れたことを棚に上げてふざけんなよ馬鹿野郎!」
  • 従業員:「報告の遅れはお詫びします。しかし、当社は乱暴や暴言から従業員を守るため、カスハラと判断したら対応を止め、警察に通報することとなっております。」
  • お客様:「お前らが遅れたから怒ってるだけだべ、勝手にカスハラ扱いすんなよ!」
  • 従業員:「お客様が今後、乱暴や暴言を止めると約束して下さり、無償修理など契約外の要望を取り下げて下さるなら、当社としても引き続き最善の対応をします。当社でも検討させていただきますので、お客様も、一度、考えてみていただけないでしょうか?」

対応を打ち切り撃退する際のポイント以下の通りです。

  • カスハラと判断していることとその理由を明確に伝える
  • カスハラを続けた場合の次のステップ(警察や弁護士など)を伝える
  • 逃げ道を提示し、お客様に選んでいただく

真正面から「カスハラを止めろ」と言ったら、振り上げた拳を下せなくなるばかりか、逆上して暴力を振るったり、逆恨みして粘着されたりする可能性があります。
そのため、本例のように最後に逃げ道を示し、お客様が自らそこに向かうように仕向けることが有効です。
逃げ道を選んだ相手は、経験上、同件でカスハラをされたことはありません。

《ステップ6》対応を打ち切り、カスハラを“撃退”する

前段の対応で逃げ道を示してもカスハラを続ける場合は、「お引き取り下さい」などと明確に伝え、対応を打ち切ります。
それでもなお、相手が居座る場合は、電話ならこちらから切断し、対面なら退去期限を伝えそれを超過するなら警備員や警察を呼びましょう。

相手はまだ交渉を続けようと色々な要求をして来るかもしれませんが、これ以上は完全に時間の無駄なので、応じてはいけません。
毅然とした態度で対応を打ち切りましょう。

文書で打ち切りを通知し、クレーマーの攻撃を封じる

当社では、対応を打ち切ったときには、具体的な事実とこれ以上の対応はできないことを文書で通知すること(打ち切り通知)をお勧めしています。
具体例として、例えば上記の修理の例であれば、以下のような事実に基づいてカスハラと判断しているため、同件ではこれ以上対応ができないことを伝えます。

  • 契約外の無償修理を強く要求された。
  • 契約上お受けできないことはちゃんと伝えた。
  • 1週間で3度も来店され、閉店時間を1時間以上過ぎても対応を要求した。
  • その際、机を叩くなど激しくお怒りになり、従業員が恐怖を感じた。
  • 警察や弁護士にも相談している。

ポイントは、インターネット上に流布されても問題無いように、カスハラと判断した理由を具体的に記載することです。

以降の対応は文書に限定する

こういった文書で通知することにより、強い牽制になるとともに、もし再び同件でアクセスして来たとしても、いちいち対応せず「その件は過日お送りした文書が社としての最終回答であり、それ以上は対応いたしかねます」と打ち切ることが可能です。

経験上、不思議なことに、手紙で受け取ると手紙で返さなければいけないという気持ちになるようで、手紙を送ると電話やメールが止む傾向があります。
そして、自分の理不尽な要求を飲まざるを得ないような文面を作り、印刷し、封入し、宛名宛先を書き、切手を貼り、投函するのは想像以上に面倒なので、ほとんどのクレーマーは途中で挫折してしまうようです。

また、手紙の中に「本件に関する問合せは書面にて承ります」と明記しておくことで、もし手紙に対しメールで返信が来ても返信に応じずに、打ち切りを継続するという効果もあります。

【注意点】打ち切り通知や入店禁止を通知してもカスハラを繰り返す場合

ここまで丁寧に対応しても意に介さず、なおもカスハラを繰り返す場合には、要注意です。

特に、直接来店し、従業員・スタッフに物理的な危害を加えることができる接客業の場合には、躊躇することなく警察に相談し、可能なら被害届を出しましょう。
※その前段階でも、必要に応じて警察には相談をしておくと良いです。

警察への通報についても、予め基準を明確化し、マニュアルや研修により従業員が迷わず動ける環境を作ることが重要です。

マニュアル作成については、下記のコラムで詳しく解説しています。

まとめ|自社のビジネスモデルに合った撃退フローを作りましょう

正当なクレームと悪質なカスハラの境界は、現場では常に曖昧で、判断を誤れば従業員の疲弊や炎上につながります。

そのため、応基準が曖昧なまま放置すると、従業員の離職やSNS炎上など、経営リスクが大きくなります。
日頃から、「どこまで対応し、どこから線を引くか」を組織として明確にしておくことが、現場を守り、顧客満足度を維持するためには欠かせません。

本コラムで紹介した6ステップは、どの業種でも応用できる基本的な流れですが、実際には業種・店舗形態・客層によって最適な撃退フローは大きく異なります

自社に合った判断基準や打ち切り方を整備しておくことで、現場の迷いがなくなり、クレーマーやカスハラ加害者に振り回されることもなくなります。

「うちの場合はどこで線を引くべきか」「現場が迷わず動ける仕組みを作りたい」と感じられた方は、ぜひ一度ご相談ください。

カスハラ対応は、業種や店舗形態によって最適な撃退フローが大きく変わります。
「どこまで対応すべきか」「どこから打ち切るべきか」を明確できれば、現場の迷いがゼロになり、同じクレームが繰り返されなくなります。

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無理な営業はしませんので、ご安心してご連絡ください。

※ご相談の内容は、社内検討に使えるよう簡易メモとしてお渡しします。
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