【経営者向け】対応クレーム・接客クレームが続く会社のリスクと対策を徹底解説
| 本コラムは、対応クレーム・接客クレームに対する「経営者のリスク」をまとめたものです。 重要なことは、マニュアルや研修などで、現場にしっかり落とし込んで行くことです。 |
👉現場の対策は、こちらのコラムで詳しく解説して行きます。
対応クレーム・接客クレームへの対応の仕組みづくりは、単なる“現場改善”ではありません。
対応クレームを放置すると、離職・炎上・採用難など、企業の根幹を揺るがすリスクに直結します。
経営者が意思決定し、組織として取り組む経営課題であり、経営者が主体的に取り組むことで初めて、再発を止めることができます。
では、実際にクレームが続く企業では、どのような構造的な問題が起きているのでしょうか。
多くの企業を支援してきた中で見えてきたのは、 「現場の力量」ではなく「組織の構造」に原因があるという事実です。
以下のような状況は、どの企業でも共通して見られる“再発のメカニズム”です。
- 店舗ごとに対応がバラバラになる
- 店長がクレーム対応を抱え込み、改善が進まない
- 記録が残らず、同じクレームが何度も繰り返される
本コラムでは、対応クレーム・接客クレームが続く会社に共通する 3つの構造的問題 を、事業主に対するリスクを踏まえながら、分かりやすく解説します。
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【経営者向け】対応クレーム・接客クレームが続く会社のリスクと対策を徹底解説
対応クレームについて経営者が把握しておきたいリスク
カスハラはクレームの延長ではなく、パワハラやセクハラと同じ同列のハラスメントの一種です。
そのため事業主には、カスハラ防止に取り組む義務が課されることに注意が必要です。
改正労働施策総合推進法の事業者の措置義務
労働施策総合推進法が改正され、令和8年10月1日より全企業でカスハラ対策の義務化が決まりました。
これに先立ち公開されたリーフレットでは、事業主に対し、以下の措置を必ず講じなければならないとしています
- 事業主の方針等の明確化及びその周知・啓発
- 相談体制の整備
- 事後の迅速かつ適切な対応
- 対応の実効性を確保するために必要なカスハラの抑止のための措置
- そのほか併せて講ずべき措置
指針の「事業者が対処しなければならないこと」
令和7年12月10日付けで公開された『事業主が職場における顧客等の言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針(案)』では、事業主に対し、カスハラの事実が確認できた場合の対処として、以下の措置を講じなければならないとしています。
- 事案の内容や状況に応じ、管理監督者等が被害者に代わって対応すること
- 被害者と行為者を引き離すこと等の措置を講ずること
店舗運営のリスク
今までは、起きたトラブルに対応するだけで良かったですが、今後は事前対策が義務化されました。
そのため、それらの義務に対応しなかった事業主に対しては、以下のようなリスクが生じることになります。
行政指導を受ける可能性
事業主に措置対応が義務化されたことで、今後、それら守らなかった場合は、事業主に対し、行政指導、勧告、企業名の公表などを受けることがあり得ます。
損害賠償請求を受ける可能性
カスハラに遭った従業員からも、安全配慮義務違反に基づく損害賠償請求を受ける可能性があります。
採用難や人事難に陥る可能性
行政指導などを受けていなくても、その義務を果たしていない企業は従業員の信頼を失い、採用難や人材難に陥る可能性があることには注意が必要です。
自己診断:貴社の対応は大丈夫ですか?
旧来は、トラブルが起きてから対処し、対処が終われば対応自体も終わりで済んでいました。
しかし、法改正により全企業で対策が義務化されたことで、上記の通り、トラブルが起きる前から予め対策することが求められるようになりました。
貴社の対策は大丈夫でしょうか?
もし、下記に1つでも当てはまれば、すぐにでも組織的な対策が必要です。
- 店舗ごとに対応がバラバラ
- 店長がクレーム対応を抱え込んでいる
- 記録が残らない
- 初期対応の型がない
- 研修が属人的
対応クレーム・接客クレームが続く会社に共通する“3つの構造的問題”
対応クレームや接客クレームが「毎月のように発生する」「店舗ごとにバラバラ」「店長が疲弊している」という状態は、決して“現場の力量不足”が原因ではありません。
むしろ、組織の構造に起因する問題が積み重なり、結果として現場にしわ寄せが集中しているケースがほとんどです。
対応クレームが慢性化している会社には、次の3つの共通点が見られます。
① 店舗ごとに対応がバラバラになる(属人化)
対応クレームが続く企業の典型的な特徴が、「誰が対応するかで結果が変わる」 という状態です。
- ベテランは収められるが、新人は炎上しやすい
- A店では問題にならないのに、B店ではクレームになる
- 店長がいる時だけスムーズに収まる
これらは、現場のスキル差ではなく、組織としての判断基準や対応マニュアルが存在しないことが原因です。
判断基準がないと、スタッフは「自分の経験」「その場の感覚」で対応するしかなく、 結果として 属人化 → バラつき → 再発 の悪循環が生まれます。
また、対応手順が定められて無いと、「具体的にどうするか」が分からないので、現場が必要以上にダメージを受ける危険があります。
属人化が続く限り、対応クレームは必ず再発します。
② 店長がクレーム対応を抱え込み、改善が進まない
多くの企業で起きているのが、店長の“クレーム対応ブラックボックス化” です。
- スタッフが判断できず、すぐ店長を呼ぶ
- 店長は現場対応に追われ、改善活動に時間が割けない
- 店長の経験値だけで店舗が回ってしまう
この状態が続くと、店長は「火消し役」になり、 本来やるべき 教育・改善・マネジメント に手が回らなくなります。
結果として、スタッフが成長しないため、店長はますます疲弊し、店舗全体の改善も進まないという、構造的な停滞の悪循環が発生します。
店長の抱え込みは、現場の問題ではなく、 組織としての仕組み不足が生む“必然” です。
③ 記録が残らず、再発防止ができない
対応クレームが続く企業の多くで、 「記録が残っていない」 という問題が発生しています。
下記のような記録が残らないと、企業としての再発防止策を講じることができないため、その場は何とかやり過ごしても、最悪の場合、同じクレームが何度でも繰り返される ことになります。
- どんなクレームが起きたのか
- 誰から誰に対してなのか
- どのように対応したのか
- 何が原因だったのか
- 再発防止策はどうしたのか
さらに、記録がないと、店舗間で情報共有ができないため、クレーマーの” 店舗梯子(渡り歩き) ”に対応できず、エリアマネージャーや本部がフォローすることもできなくなります。
記録が残らない組織では、 クレームは「その場しのぎ」で終わり、 改善につながることはありません。
| 対応クレームが続く企業向け |
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対応クレームを減らすために経営者が整えるべき“3つの仕組み”
対応クレーム・接客クレームが続く企業では、現場スタッフの努力や店長の頑張りだけで状況を改善することはできません。
なぜなら、前章で述べたように、問題の本質は “現場のスキル不足”ではなく“組織の仕組み不足” だからです。
現場任せのままでは、どれだけ優秀な店長がいても、どれだけ丁寧なスタッフがいても、 「属人化 → バラつき → 再発」 のサイクルから抜け出すことはできません。
令和8年10月1日から施行されるカスハラ義務化の前に、対応クレームを減らし、店舗運営を安定させるために、経営者が整えるべき仕組みは次の3つです。
① クレーム対応基本方針(共通のガイドライン)
まず必要なのは、全店舗で共通して使える「クレーム対応の基本方針」 です。
以下のような方針が明文化されていないと、スタッフは「自分の判断」で対応するしかなく、 結果として 店舗ごと・担当者ごとに対応がバラバラ になります。
- どこまで対応するのか
- どこからは対応しないのか
- どのような姿勢で臨むのか
- 何を優先し、何を守るべきか
基本方針があるだけで、スタッフは迷わず動けるようになり、 店長も「毎回ゼロから判断する負担」から解放されます。
基本方針(ガイドライン)の作成については、下記のコラムで詳しく解説しています。
② 上司交代・対応打ち切りの判断基準
対応クレームが炎上する最大の原因のひとつが、 「上司を出せ」「責任者を呼べ」への対応が曖昧なこと」 です。
当社では基本的に、安易な上司交代はしないことをお勧めしています。
しかし、交代しない場合でも、具体的な断り方が共有されていなければ、現場は対応が困難です。
そもそも下記のようなことが決まっていなければ、スタッフは不安になり、結局、 「とりあえず店長を呼ぶ」「とりあえず謝る」「とりあえず譲歩する」 といった 場当たり的な対応 が増えます。
- どの段階で店長にエスカレーションすべきか
- どの条件なら交代しないのか
- どのラインを越えたら“対応打ち切り”に移行するのか
判断基準をフローチャート化することで、スタッフが自信を持って対応できます。
また、不必要なエスカレーションが減るため、店長の負担も減り、カスハラ化を未然に防ぐことができます。
上司への交代については、下記のコラムで詳しく解説しています。
③ 現場向けツールの準備
対応クレーム・接客クレームを「現場任せにしない」ためには、 スタッフが迷わず使える“現場向けツール”を整備することが不可欠です。
どれだけ優れた基本方針や判断基準を作っても、 現場で使える形に落とし込まれていなければ、結局は属人化が再発します。
現場で即使えるツールとして、最低限整えておくべきものは次の3つです。
カウンタートーク集(断り方・説明の型)
対応クレームにおいて、具体的に「どう説明すれば良いか」「どう断れば良いか」を組織として統一し、過不足が無いようにするため、そのまま読み上げて使えるカウンタートーク集を用意しておきます。
これらがあると、経験が浅いスタッフでもそのまま使えるため、「とりあえず謝る」「とりあえず店長を呼ぶ」という悪循環を断ち切ることに繋がります。
対応手順書(具体的な処理方法の解説)
どんなに上手に説明しても、具体的な対応手順が分からなければ、結局、その場で対応できません。
従業員が迷わず対応し、その場で確実にクロージングできるように、具体的な処理方法を解説した対応手順書を用意しておくようにしましょう。
特に、発生頻度の高い対応クレームについては、必ず用意することを強くお勧めします。
記録様式(記録の標準化)
前章でも述べた通り、記録が残らない組織では、 クレームは「その場しのぎ」で終わり、改善につながらないため、全店舗で統一したフォーマットを用意することをお勧めします。
現場の負担にならないように、チェックリストなどを併用して簡易に記録できる仕組みを作りましょう。
マニュアル作成については、下記のコラムで詳しく解説しています。
仕組みを整えることで得られる“3つの経営メリット”
対応クレーム・接客クレームの問題は、現場の努力だけでは決して解決しません。
しかし、経営者が「仕組み」を整えるだけで、現場の負担は劇的に軽減され、 店舗運営の安定性は大きく向上します。
ここでは、経営者がクレーム対応の仕組みを整えることで得られる 3つの経営メリット を解説します。
離職防止と心理的安全性の向上
クレーム対応が属人化している企業では、 スタッフが「いつ理不尽な対応に巻き込まれるか分からない」という不安を抱えています。
特に以下のような状態は、離職の大きな原因になります。
- 店長が忙しく、相談しても対応してもらえない
- カスハラに遭っても会社に守ってもらえない
- “謝るしかない”文化が続いている
しかし、クレーム対応の仕組みを作ることで、スタッフは迷わず対応できるようになります。
また、そういった仕組みを作る姿勢が見えるだけで、従業員は、「会社は自分たちを大事にしてくれている」「何かあっても守ってくれる」と思うことができ、安心して働くことができます。
これにより、スタッフの心理的安全性が高まり、 離職率の低下・定着率の向上 につながります。
店長の負担軽減と改善サイクルの定着
「仕組み」がない企業では、スタッフは自分たちで判断・対応ができないため、何かあればすぐに店長を呼ぶことになり、店長はクレーム対応に追われることになるため、店舗の運営が停滞しがちです。
これが嫌だとスタッフが対応を拒否すると、ますます店舗運営が崩壊します。
一方、「仕組み」がしっかり機能している企業では、スタッフが一定程度自分で判断・対応することができるため、店長に全てが集中するという状況を脱することができます。
店長は現場の改善や再発防止策の構築、スタッフで対応しきれない場合の対応などに集中することができるため、改善のサイクルが回るようになります。
SNS炎上・長時間拘束・カスハラ化の抑止
対応クレームが炎上する背景には、 「対応のバラつき」「判断の遅れ」「断り方の不統一」があります。
仕組みを整えることで、以下のようにこれらのリスクを大幅に減らせます。
- 判断基準により、対応が統一される
- カウンタートーク集により、断り方に過不足が無くなる
- 記録が残るため、長時間拘束を防げる
- カスハラ化する前に“打ち切り”へ移行できる
これらの結果、不用意な一言や案内漏れによる炎上・カスハラ化する可能性も低下します。
万が一、目の前で録画や録音を始められたり、「SNSに晒してやる」といった発言が出たりした場合にも、冷静に判断し、「店内での録画録音は許可しておりません。お止めいただけなければ警察に通報させていただきます」など、毅然とした対応が可能になります。
まとめ|法改正前の今こそ、対応クレームを“組織で管理できる状態”へ
対応クレーム・接客クレームの問題は、現場の努力だけでは決して解決しません。
属人化や店長の抱え込み、記録の欠如といった構造的な問題は、仕組みがなければ必ず再発します。
だからこそ、現場任せでは再発するという前提に立ち、組織として管理できる状態を整えることが重要です。
さらに、令和8年10月からカスハラ対策が全企業で義務化される以上、整備を後回しにするほど負担は大きくなります。法改正前の今が最も効率的であり、現場に余裕があるうちに仕組みを導入することで、スムーズに運用へ移行できます。
何より、仕組みを整えるのは現場ではなく経営者の役割です。基本方針、判断基準、現場ツールが揃えば、スタッフは迷わず動け、店長は改善に集中でき、カスハラ化も未然に防げます。
経営者が動けば、現場は守られるのです。
| 対応クレームの無くすには、現場の努力だけで無く、経営者の意思決定が必要です。 |
|---|
| 法改正前の今なら、最小の負担で仕組みを整えられます。 「うちの場合は何から整えればいいのか」 「どこまでやれば法改正に間に合うのか」 その疑問を、まずは一度プロに相談してみませんか。 |
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