クレームで「あいつをクビにしろ!」と言われた時の対応とカウンタートーク

クレーム カスハラ クビにしろ 首にしろ 馘にしろ
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中小企業診断士(経済産業大臣登録)
ProClaim合同会社 代表社員・花村憲太郎
クレームやカスハラを減らすだけでなく、顧客満足度を高めます。
元コールセンターの品質管理チームマネージャーで、3,000件以上の対応経験に基づいた、実践的で再現性の高いノウハウを持つ専門家です。
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クレームやカスハラの対応で、「あいつをクビ(首や馘とも)にしろ!」と言われたことがある方は、少なくないでしょう。
対人接客クレームの常套句と言えるセリフで、業種・業態を問わず非常に多いクレームです。

こういったクレームを放置すると、従業員の離職・店長の疲弊・カスハラの長期化など、経営に直結するリスクが高まります。

クビを要求するお客様は、ある意味で正義感が強く、自分の判断基準や価値観に対して無条件に「正しい」という自信を持っています。
そのため、他者に対しても高過ぎる水準の対応を求めたり、自らの価値観を押し付けることがあります。

また、執念深く根に持ちやすい性格の持ち主という場合もあります。
そのため、自分の思い通りに行かない場合に、形に残る復讐を果たそうとして、その担当者のクビを要求するのです。

筆者自身、筆者を指して何度も「あいつをクビにしろ!」と言われましたし、マネージャーになってからは、部下を指してクビにしろと言われて来ました。
その経験を通じて言えることは、常套句であるからこそ、明確な対応フローを定めておくことが極めて重要である、ということです。

そこで本コラムでは、クレームやカスハラの対応で「あいつをクビ(首や馘とも)にしろ!」と言われた場合の対応について、具体的に解説します。

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「クビにしろ!」「上司を出せ!」「詫び状を書け!」など、似たようなクレーム・カスハラが続いている場合は、対応フローに改善の必要があるかもしれません。

下記のような状況を放置すると、従業員の離職や店長の疲弊、カスハラの長期化など、経営に直結するリスクが高まります。早めの対策が重要です。

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クレームで「あいつをクビにしろ!」と言われた時の対応とカウンタートーク

大前提として、クビかどうかを決めるのは会社である

クビを要求される中には、時には明確に自社の従業員の側に非があり、お客様にお詫びしなければならない場面もあります。

しかし、大前提は、例えどのようなミスや非礼があったとしても、『クビを含めた処遇を決めることは、その事業主の権限である』であり、その場で即時解雇をすることはできません。

そのため、「クビにしろ!」と言われた時の基本的なスタンスは、お客様からご事情を伺い、事実関係の確認を行ったうえで、組織のルールに則って対応することです。

例えクビにせざるを得ない程の非があったとしても、お客様に介入させることは不適切です。

お客様との信頼関係を構築することも従業員の仕事の一つと考えれば、お客様がお怒りである事実や、その理由についても考慮材料にはなるかもしれません。
しかし、いかなる場合であっても、人事上の処分はルールに沿って会社が対応するという一貫したメッセージを伝えることが、「クビにしろ!」と言われた場合の基本的な対応となります。

具体的なカウンタートークとしては、以下のような内容を丁寧に伝えていくことになります。

恐れ入りますが、法令上、即時解雇にすることはできません。
ただ、当社がご迷惑をかけているのであれば、責任を持って対応させていただきます。
恐れ入りますが、まずは具体的なご状況を教えていただけますでしょうか。

まず、お客様のおはなしを傾聴する

とはいえ、自らの判断基準や価値観を無条件に「正しい」と信じていたり、執念深く根に持ちやすかったりする性格の持ち主に対しては、「従業員の処遇は当社で決定しますので、ご要望には添いかねます」など、真っ向から拒絶することから入ると火に油となる可能性大です。

そのため、まずはお客様のご意見を傾聴することが大切です。

ただし、ただ一方的にがなり立てられ続けるだけで延々時間を浪費してしまうような状況になってしまったら、話が先に進みません。
そのため、お客様が同じ話しを繰り返すようになって来たり、話と話しに間が空くようになって来たり、といったタイミングを見計らい、以下のように確認をすることで、お客様の発言意図をこちらがしっかりと理解していることを伝えて行きます。

もし違っていたらご訂正いただきたいのですが、今回の対応では、従業員の●●という態度、その後の▲▲という対応に問題があった、ということでございますね?

傾聴のポイントはこちらのコラムで詳しく解説しています。

言葉遣いに気を付け、お客様と戦わないようにする

こういった確認において時折、「要するに~」という言葉から始める方がいます。

しかし、筆者はあまりお勧めできません。
ただでさえお怒りのお客様に対して、お客様のお話しを勝手に端折っているように聞こえる可能性のある話し方は、極力避けた方が無難でしょう。

ちなみに筆者は以前、ちゃんと纏められないまま「要するに」と話し始めた結果、お客様の原文より長々と話してしまったことで、「どこが要約されてんだよ!」と更にお怒りを買ってしまった経験があります。

同様に、強硬な態度にでるお客様に対し、つい強く「クビは無理って言ってるじゃないですか!」などと強く言い返してしまうことがあるので、注意が必要です。

火に油を注がないよう言葉遣いに注意しながら、「処遇を含めて社内ルールに沿って対応するため」として、以下のように状況のヒアリングに協力頂きましょう。

事実確認のうえで、従業員の対応に不適切なことが確認できた場合には、社内規程に則って厳しく対応して行きます。
そのためにも、まずはご状況を具体的に伺えますでしょうか。

クビ(首または馘)ではなく、起きた問題にフォーカスする

ヒアリングをする時のポイントは、クビにするかどうかではなく、起きた問題=お客様がお困りの状況にフォーカスして行くことです。

クビにするかどうかにフォーカスしても、法令上、即時解雇はできませんし、そもそも事実確認もできていない状況下においてクビの話しをすることはできないため、その議論を続ければ続けるほどお客様のご不満を募らせることになってしまいます。

そのため、事実確認ができた段階で、お怒りの原因が誤解やすぐに解決できることであった場合は、以下のように切り出し、お客様にも起きた問題=お困りの状況にフォーカスして頂くように促します。

1点、提案です。
お怒りはごもっともですが、●●については、少しお時間をいただければすぐに対応できます。
このままではご迷惑をかけ続けることになりますので、まずは●●のお時間をいただけますでしょうか。

ただし、従業員の不適切発言など、対応クレーム起因でクビを要求されているような場合は、上記のようにその場で解決することができません。

そのような場合には、基本的には「上司に報告し、適切に対応するよう申し伝えます。」などと案内しますが、ご納得いただけずクビに拘泥する場合は、次項のように自社のスタンスを示して行きます。

自社のスタンスを示し、お客様の干渉を防ぐ

お客様がどうしてもクビに拘泥する場合は、以下のように自社のスタンスを伝え、それ以上の干渉を防ぎます。

大変貴重なご指摘をいただき、ありがとうございました。
お話しいただいた内容は、私どもにとっても非常に重要なものだと思いますので、優先度を高く設定して、自主的に改善に取り組んで行きたいと思います。

つまり、ここから先は企業自身でちゃんと取り組みますよと宣言をすることで、お客様が干渉する余地を排して行きます。

また、上記のように伝えてもなお、「クビにしろ!」と要求して来る場合には、以下のように伝えて、面談のクロージングに向かうと良いでしょう。

誠に申し訳ございませんが、法令上、即時解雇はいたしかねます。

ただ、そういったご要望があったことは、人事考課上も一定の材料にはなりますので、その点を含めて責任を持って指導なりしてまいります。
ご期待に沿えるよう努力いたしますので、今後ともよろしくお願いいたします。

なお、自社のスタンスを示すときには、以下の点に注意が必要です。

その場しのぎの「嘘も方便」はしない

注意点の一つ目は、これらのセリフを決して、その場しのぎの嘘も方便としては使わないことです。

どのような非礼があったとしても従業員を即時解雇できないことは、労働基準法に定められた大前提です。
一方、従業員の大事な仕事の一つとして、お客様との良い関係を作っていくことがある以上、そのお客様からお怒りの声が寄せられたことは、(程度は別としても)人事考課上の一定の材料になることは当然です。

「クビにしろ!」と言われた時は、嘘も方便で誤魔化そうとせず、上記を真正面から伝えたうえで、人事考課については企業が判断することを伝えて行きます。
本当のことであるからこそ、対応に迫真性が生まれ、「当社が責任を持って対応します」という言葉にお客様が納得してくれる可能性も生まれます。

従業員の教育機会とする

注意点の二つ目は、なぜお客様がそれほどまでにお怒りになったのか、従業員と一緒に振り返り、再発防止を考えるなど、教育機会とすることです。
筆者はそれこそが、本当の意味での「人事考課における一定の材料」だと考えます。

もしお客様から伺った非礼が本当だったら、信頼していたはずの従業員がなぜそのような対応をしてしまったのか、一緒に考えてあげ、マインドの教育をする必要があります。

一方、お客様のお怒りが理不尽なものだったとしても、業務フローの改善などにより、そういった理不尽なお怒りの被弾を避けることができないかなど、検討の余地はあるはずであり、そのようなことを一緒に考えることは、従業員の成長に繋がるはずです。

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「担当者を替えろ!」と言われたら

法律により即時解雇ができないと伝えると、「なら担当者を替えろ!」とご要望されることがあります。

このようなクレームに対しても、原則としては、まずはお客様のご意向を傾聴します。

具体的には、どういった問題が生じているのか、なぜ担当者を替えたらその問題が解決するのか、合理的な説明がされるのを確認します。

そのうえで、お客様の説明に合理性がなく、感情・感覚によるものであれば、それらに対し配慮を示しつつ、基本的には自社で対応することを伝えクレームを収めるようにします。

例えば、以下のようにお伝えし、お客様にご理解いただくように促します。

該当の従業員に対しては、私が責任を持って指導をいたします。
人間のやることなので、すぐに100%改善するのは難しいかもしれませんが、本人も継続的に努力したいと申しておりますので、もうしばらく様子を見て頂けないでしょうか。

また、上記のように伝えると、指導内容や指導結果の報告を求められる場合もあります。
しかし、従業員の教育指導はあくまでも企業側の専管事項なので、それらについてまでお客様の干渉を受けないように、以下のように明確に防衛線を張ります。

人事情報に該当するため、お客様といえども、報告はいたしておりません。
ただ、私が責任を持って指導を行いますので、不足があれば私に何なりとお申し付けください。

異性の担当者に変更を希望する場合

これは、男性→女性の場合のほか、女性→男性の場合もあります。

いずれの場合も、単に性別だけでなく、年齢や容姿の指名があるかなど、総合的な検討が必要です。

具体的には、単に「クビができないならせめて担当を替えろ!」以外の理由として、「女性の方が感受性豊かで細かいところに気が付く」「男性の方が力強さや安心感・信頼感がある」などがあるはずなので、まずは、お客様が変更を希望する理由を丁寧に拝聴しましょう。

そのうえで、業務上、異性である合理的な必要性が無いのであれば、以下のようにお伝えし、理解を促して行きます。

ご希望は承知しました。
ただ、当社も現状、交代要員の余裕はありませんので、ご希望に関しては私から指導し、改善していくということで、ご理解賜わりたいと思います。

なお、お客様が強く異性を希望されたとしても、同性の場合によほど重大な不都合があるなら考慮しますが、ハラスメントなどのリスクを回避するため、基本的には異性への交代は承らない方が無難です。

同姓の担当者に変更を希望する場合

前項とは反対ですが、これは、例えば「同性の方が気を使わない」「セクハラリスクを避けたい」など、様々な理由があります。

こういった理由の場合、社内で同性の担当者をアサインする余裕があれば対応しても良いですが、その場合でも、発端が前任に対する「クビにしろ!」といったクレーム・カスハラだった場合には、交代要員の選定については十分慎重になる必要があります。

できれば、最初のうちは上長が以下のように伝え、関係が落ち着いてから後任の担当者に引き継ぐ方が無難です。

社内事情で恐縮ですが、現在、メンバーにその余裕がありませんので、いったん、私が直接御社を担当させていただきます。
メンバー含め状況変われば、またご相談させてください。

まとめ|従業員への処遇に責任を持つのは企業

「クビにしろ!」と言われるのは、ほとんどの場合、商品やサービスではなく従業員の接客態度に起因しています。
そのため、丁寧にご意見やご希望を傾聴したうえで、指導すべきものは指導し、是正すべき点は是正するように対応して行くのが、対応の基本方針となります。

クレームやカスハラで「クビにしろ!」といった事を言われたことがある方は、基本的な対応方針について、業務フローの整備やマニュアル化などの対策をすることをお勧めします。

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従業員を守り、再発を防ぐためには、現場任せではなく“組織としての仕組み化”が欠かせません。
問題が起きてからでは遅く、早めの整備が経営リスクを大きく減らします。

今回解説して来た内容は、どれも、誰でも実践できる再現性の高い方法です。
しかし、それを組織全体ができるように仕組み化しなければ、いつまで経ってもクレーム・カスハラが無くなることはありません。

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