電話クレームは折り返し対応で防ぐ|専門家が成功率を上げる方法を具体的に解説

アバター画像

中小企業診断士(経済産業大臣登録)
ProClaim合同会社 代表社員・花村憲太郎
クレームやカスハラを減らすだけでなく、顧客満足度を高めます。
元コールセンターの品質管理チームマネージャーで、3,000件以上の対応経験に基づいた、実践的で再現性の高いノウハウを持つ専門家です。
無料相談から、お気軽にご連絡下さい。

本コラムは、“電話の特性”を踏まえて、電話クレームを炎上させないための実践的なスキルを体系化したものです。
初期対応・折り返し・マニュアルの3つは、すべて折り返し対応を成功させるための要素です。

【組織としての対応編】はこちらからご覧ください。

コールセンターをはじめとした電話対応のハードクレームやカスハラについて話しをすると、時々、「電話は対面と違って殴られないから、深刻度が低い」と言う人がいらっしゃいます。

しかし、それは誤解です。

電話でのカスハラやハードクレームは、肉体的な暴力はありませんが、それでも、影響は極めて深刻です。

筆者がコールセンターで品質管理マネージャーをしていた時にも、ほとんどのセンターで、オペレーターが入社3か月以内に退職する理由の3位以内には「クレームが嫌になった」がランクインしていました。

独立後にご相談を受けた会社の中にも、クレーマーから人格を否定するような罵声を長時間浴び続けた結果、「電話が鳴るだけで手が震える」「電話当番の日は朝から動悸がする」といった痛ましい状況となってしまった方もいました。

このような理由でその仕事を嫌いになり、せっかく頑張ってくれていたオペレーターが退職してしまうことは、本当に痛恨の極みです。

一方、毎月数十件の通話をモニタリングしている中で気付いたことは、カスハラと思われる案件に対して炎上させない人に共通した特徴は、「電話の特性」を上手に活用していたことです。

こういった対応は、本人の特性ではないので、知識として学び、技術として習得することが可能です。

そこで本コラムでは、「電話ならではの特徴」を踏まえた折り返し対応と、折り返し対応を成功させるための初期対応、再現性を高めるためのマニュアル化について、具体的に解説します。

「折り返し対応の統一」「初期対応の標準化」をしたい方へ。
無料相談にて、課題を整理し優先順位について診断いたします。

カスハラ対策の専門家である中小企業診断士に相談しませんか?

電話クレームは折り返し対応で防ぐ|専門家が成功率を上げる方法を具体的に解説

電話でクレーム・カスハラが深刻化しやすい理由(電話特有の構造)

具体的な対策を解説する前に、まず、電話対応でカスハラやハードクレームが起きやすい理由を解説します。

電話特有の理由や構造を理解することで、対策が精度を増し、炎上リスクを引き下げられます。

匿名・低コストで、アクセスがしやすい

電話は、匿名でかけられ、相手に自分の顔を見られることもありません。

録音していたとしても、それを見越して184発信(番号非通知)を利用して来る場合もあります。

また、フリーダイヤルの場合には電話代さえかかりませんし、フリーダイヤルでは無かったとしても、わざわざお店まで出向く手間や交通費を考えれば、はるかに簡単にアクセスができます。

そのため、クレーマーにとってはハードルが低くなりがちで、些細な原因からクレームになることもあります。

1対1になりやすく、暴言・長時間拘束が発生しやすい

電話対応は、対面と異なり複数名対応ができず、否が応でも1対1になります。

また、店頭で暴れている場合と違い、クレーマーの態度や行動が周囲には見えないので、周囲から気付かれ難いという特徴もあります。

そのため、「お前はバカか!」「蛆虫野郎!」「死ね!」などの暴言型のカスハラになることがありますし、暴言型だけでなく、長時間の対応を強要する時間拘束型や、同じ話しで何度も繰り返し電話をかけて来るリピート型のカスハラになることもあります。

即答できない構造が“期待ミスマッチ”を生む

ほとんどの人がスマホを持つようになったことで、お客様は、ちょっと気になることがあると簡単に企業の問合せ先を調べ、連絡できるようになりました。

一方、通常、電話対応をする部署では、製造の状況、配送の状況、工事状況といった現場・現物に関わることは即答できず、「確認するのでお待ちいただけますか」となることも珍しくありません。
これでは、止むを得ないことではありますが、簡単に確認しようとしたお客様の期待に応えられておらず、ミスマッチが生じていることになります。

また、電話で保留にされている時間は対面と違って長く感じがちなため、実際はそんなに長くなくても「ちょっと確認しようと思ったらえらい長く待たされた!」といったクレームになる場合もあります。

加えて、「長い!」と感じたら、フリーダイヤルでなければ通話料も気になります。

Step1|初期対応の型(受け止め → 傾聴 → 事実整理)

初期対応は、折り返し対応を成功させるための前提です。
初期対応で感情を落ち着かせ、事実を整理できれば、折り返し時の説明がスムーズになり、炎上リスクを減らせます。

コールセンターなどの電話対応窓口では、商品、配送、店頭接客などで既に一定の不満をお持ちのお客様から、開口一番で「お前のところではどんな社員教育をしてるんだ!」などと怒られることがあります。

ここで、つい反論をしたくなりますが、正当なクレームかカスハラかを判断するためには、まずは心情に寄り添い、最初の炎上を防ぎ、怒っている理由を把握することが重要です。

初期段階で適切に対応できれば、その後の炎上リスクも低くなり、正当なクレームは穏便に対応できる可能性が高まります。

反対に、初期対応で躓いたら、一気にお客様のボルテージが上がり、些細なクレームがカスハラに発展してしまうこともあります。

そのため、初期対応の型を組織的な仕組みに組み込むことが極めて重要です。

まず、心情への謝罪で怒りのピークを下げる

状況や責任の所在が分からない段階で謝罪するのはNGと言う人もいますが、そこにこだわり過ぎると、収まるものも収まらなくなります。
そのため、早期に謝罪をすることで、謝って済むうちに済ませた方がベターです。

もちろん、理不尽な侮辱にまで謝罪する必要はありません。

しかし、「会社に対して」怒っている人に対して、「個人として」意地を張る意味はありません。

社員教育についてお怒りなら、「ご不快な対応があったとのことで、申し訳ありません」など、心情に対し速やかに謝罪をすることで、お怒りの解消を図りましょう。

電話特有の“言語的傾聴”(相づち・反応)

初期段階ではお客様のお話しに口を挟まず、まずは傾聴に徹することが重要です。

アンガーマネジメントでは6秒を経過するとアドレナリン分泌のピークが過ぎると言われています。

深呼吸しながら6秒数え、落ち着いて傾聴を心掛けましょう。

注意点は、表情が見えないので、言葉、相づち、反応などで、真剣に聴いていることを伝えなければ、どんなに真剣に聴いていてもそれが伝わらず、「ちゃんと聴いているのか!」などと言われかねないことです。

そのため、以下のように、心情に配慮した相づちを言語化して伝えることが有効です。

  • 「そうでしたか」
  • 「そうだったんですね」
  • 「それでご不快な思いをされたのですね」
  • 「申し訳ありませんでした」
  • 「お察しいたします」

事実・意見・要望を正確に整理する(メモ+確認)

お客様が落ち着いて来たら、事実関係を整理し、具体的なご意見・ご要望を把握するように心がけます。

なお、事実関係、ご意見、ご要望をしっかり把握するためには、基本的なことですが、必ずメモを取り、その内容をお客様に確認しましょう。
そうでなければ、苦労してやっと把握したと思っても、いざそれに対応しようとすると「そんなことは頼んで無い!」「何を聴いていたんだ!」など、再燃させることになりかねません。

とはいえ、お怒りのお客様に対しストレートに「確認させて下さい」などと言うだけでは、聞き入れていただけない場合もあります。

そのため、「“大事なことなので”確認させてください」など、一言添えてお願いするのがお勧めです。

御社の電話対応は“炎上リスク”がありませんか?
3分で確認できるチェックリストを無料配布しています。

中小企業診断士が監修したカスハラ対策資料を無料進呈します(ダウンロード可)

Step2|折り返し対応の成功率を最大化する“電話ならではの技術”

折り返し対応は、電話クレームを炎上させないための“最重要スキル”です。

初期対応で感情を落ち着かせ、折り返しで時間を確保し、マニュアルで再現性を担保する、この3つの流れの中心にあるのが「折り返し対応」です。

【重要】電話クレームは「その場で解決しない」ほうが成功率が高い 
→ 折り返し対応こそが、炎上を防ぐ最大の武器

対面クレームの場合は、お客様は既に御足労いただき、その場にいらっしゃるので、よほどの場合でなければ、帰っていただくという訳にはいきません。

しかし、電話の場合には、折り返し対応にすることで時間を確保し、その時間で必要な確認をしっかり行い、お客様のご希望のタイミングで連絡するなどの対応ができれば、個客満足度の向上にも繋がります。

以下、具体的に解説します。

折り返しのメリットを伝えて受け入れてもらう

とはいえ、Step1で解説した通り、すぐに解決すると思って電話して来たクレームのお客様に対し、ただ単に「お待ちください」「折り返しにさせてください」と連呼するだけでは、ご了承いただけない場合もあります。

折り返し対応を受入れてもらうためのポイントは、お客様にとってのメリットを伝えることです。

例えば、以下のような案内をすると良いでしょう。

  • 「担当部署に“ 最新の配送状況を確認してまいりますので ”お待ちいただけますでしょうか。」
  • 「“ 今からでも提案できることがあるかもしれませんので ”確認にお時間をいただけますでしょうか。」
  • 「申し訳ありませんが、確認にお時間がかかりそうです。” 通話料もかかります ”ので、こちらから折り返しお電話させていただけますでしょうか。」

なお、メリットは実際に提供できるものでなければ、かえって炎上を招きかねません。

そのため、状況に気圧されて、担当者がつい空約束をしてしまわないように、どのようなメリットを伝えるか組織としてちゃんと決めておくことが重要です。

曖昧さを残さないための“事前シミュレーション”

理解していないことを分かりやすく伝えることは不可能です。

せっかく折り返し対応にしても、その対応で解決できずまたかけ直しになければ、お客様にとっては二度手間・三度手間であり、更に炎上する可能性があります。

そのため、お客様に説明することについては、理解に曖昧な点があれば遠慮せず上司や担当部署に確認して、クリアにしてから電話をしましょう。

このとき、「なんとなく分かっている“つもり”」では、ちょっとでもそこからズレたら対応できなくなります。

そこで、ちゃんと理解していると思っても、電話をかけてからクローズまでの流れをシミュレーションし、曖昧な点を残さないようにしてから対応しましょう。

お客様・自社・期限の3つのアクションを明確化

アクションが明確でなければ、結局、具体的な行動には結びつきません。

そのため、必ず、何をするのか(または、しないのか)を、明確にしたうえで電話をするようにしましょう。

ポイントは、以下の3つのアクションを明確にすることです。

  • お客様の行動
  • 自社の行動
  • 期限の明確化

例えば、自社のミスによる過剰請求で返金が必要な場合は、単に「返金します」と伝えるだけでなく、お客様に返金先口座情報を確認し、3日以内に振り込むことを案内するなど、必要なアクションを具体的に確認してから折り返し連絡をしましょう。

KISSの法則(短く・シンプルに)で伝える

電話対応は、商品や資料をその場で見せながら説明できないため、説明が長過ぎたり細か過ぎたりすると、それだけで分かり難くなります。

経緯や理由は必要に応じて伝えれば十分であり、ダラダラと理由ばかり話していつまでも結論にならなければ、「話しが長いんだよ!」「何が言いたいんだよ!」など、ますます炎上する可能性があります。

極力、端的に伝えることを心掛けましょう。

コールセンターでは『KISSの法則』という言葉が使われることがあります。


KISSの法則は、Keep It Short and Simpleの略で、元々はアメリカのエンジニア業界発祥の言葉とのことですが、言葉だけでコミュニケーションをとる電話対応においても当てはまる、重要な要素です。
ぜひ、シンプルで分かりやすい言葉遣いを心掛けましょう。

アンサーファーストで重要なことを先に伝える

アンサーファーストとは、結論から先に述べる事であり、『重要性の法則』と呼ばれることもあります。

クレームで感情的になっている相手には、まず重要性を理解してもらえなければ、話しを聞いてもらうことさえできません。
そのため、ぱっと聞いただけで「自分にとって重要な話題だ」と思ってもらえるように、結論、重要なこと、リスクのあることなどを最初に伝えるようにするのが有効です。

具体的には、以下のような枕詞に続けてお話しすると、重要性が伝わりやすくなります。

  • 「結論から申し上げます」と宣言する
  • 「1点だけよろしいですか」と許可を取る
  • 「3点ございます」と全体像を示す
  • 「重要なポイントですが」と強調する
  • 「●●様にとって」とお客様を主語にする

Step3|電話クレームは「マニュアルを見ながら対応する」が正解

折り返し対応を成功させるには、再現性のあるマニュアルが不可欠です。
電話は“見えない”ため、マニュアルをそのまま読めるという強みがあります。

電話と対面の大きな違いの一つに、こちらの様子も相手からは見えないので、マニュアルを見ながら対応できる、再現性の高さが挙げられます。

例えば、謝罪の言葉や折り返し案内一つをとっても、マニュアルをそのまま読み上げるだけで誰もが一定の水準で対応できるため、新人でも対応でき教育コストが下がります。

そのため、「マニュアルを見ながら対応できる」体制を作ることは、電話でのカスハラやハードクレームへの対応にとって、極めて有効な対策となります。

電話は“見えない”からこそマニュアル活用が最大の武器

対面の場合は、お客様の目の前で判断基準を引っ張り出してそのまま読み上げたりしたら、「マニュアル対応!」「心がこもっていない!」など、更に炎上を招きかねません。

しかし、電話の場合、そのような心配は不要です。

むしろ、クレームやカスハラに対して、そのまま読めば良いレベルの具体的なマニュアルが用意されていれば、従業員にとっての安心にも繋がります。

また、判断基準を手元で確認しながら対応することは、個人による判断のブレを防ぎ、組織としての一貫した対応に繋がるため、カスハラやクレームだけでなく、顧客満足度向上にも有効な取組みです。

即効性のあるトークスクリプト、セリフ集、カウンタートーク集

一般的に「マニュアル」と言えば、手順書のようなものを思い浮かべることの方が多いかもしれません。

ですが、電話のクレーム対応マニュアルを作る時は、以下のような、具体的な会話やトークを想定したマニュアルの作成を強くお勧めします。

  • 初期対応のトークスクリプト
  • 謝罪のセリフ集
  • 場面毎のカウンタートーク集
  • よくある説明集(FAQ
  • 折り返し案内のトーク例

これらのマニュアルを用意することで、組織全体で言い回しを統一でき、不用意な一言でクレーマーから更に付け込まれる隙を減らせます。

また、緊迫する場面での言葉選びを考える必要が無くなるため、スタッフの負担も軽減できます。

マニュアルを見ても「マニュアル対応」にならないよう注意する

電話のクレームやカスハラには、具体的な会話やトークを想定したマニュアが極めて有効ですが、それでも、使い慣れていなかったり、逆にマニュアルに頼り切りで異存してしまったりすると、どうしても不自然なマニュアル対応になってしまい、炎上を招くことがあります。

例えば、以下のような対応は、「マニュアル対応!」とお怒りを買うときのよくやってしまいがちです。

  • 「マニュアルにダメって書いてあるんですよ」など、マニュアルのせいにする
  • マニュアルを読み上げるのに集中し過ぎてしまい、会話がかみ合わなくなる
  • 相づちや返事など、マニュアルに書いていないことが一切ない

特に3つ目は、電話対応は対面と違い、表情、うなづき、お辞儀などが見えないため、心の中でどんなに反応や共感をしていても、それを具体的な言葉にしなければ伝わらない事には注意が必要です。

マニュアルが整備されていれば、折り返し時の説明がブレず、誰が対応しても同じ品質でクレームを収束させることができます。

まとめ|電話のカスハラ・ハードクレームは、「型」で守れる

電話クレーム対策の中心にあるのは「折り返し対応」です。

初期対応で受け止め、折り返しで時間を確保し、マニュアルで再現性を担保する。

この3つを組織として整えることで、炎上と離職を確実に減らせます。

一方、この3つのどれか1つでも欠けてしまえば、最初の入電で無理にクレームを抑え込もうとして炎上させてしまったり、うろ覚えの内容をしどろもどろになりながら伝えて「何言ってるか分からないから上司に代われ!」と一喝されたりなど、対応起因のハードクレームやカスハラとなることもあります。

今回ご紹介した内容は、Stepに沿って対応フローを整理し、トレーニングをすることで、どの企業でもそのまま再現できます。

もし、現在の対応フローに不安がある、クレームが減らない、担当者の負担が大きいなどと感じている場合は、従業員が退職する前に、早期に専門家の診断を受けることをお勧めします。

お近くに信頼できる専門家がいない場合、当社でも承っていますので、お気軽にご相談下さい。

カスハラ対策の専門家である中小企業診断士に相談しませんか?