BtoB(企業間取引)のカスハラ対策とガイドラインを具体的に解説
企業と会話していると、「うちはBtoB(企業間取引)だからカスハラは関係無いよ」といったお言葉を聞くことがあります。
しかし、それは全くの誤解です。
今回改正された労働施策総合推進法では、第33条で「取引の相手方」の言動もカスハラとしており、東京都や埼玉県の条令でも、「個人のみ対象」「法人は対象外」といった規定はしていません。
例えば、筆者が以前コンサルティングしたあるコールセンターのアウトソーサーでは、クライアントから以下のような行為が日常的に行われておりました。
- 1時間を超える録音音声の書き起こしなど、過度に細かい報告要求
- 当日午前中など、極めて短い納期での対応依頼
- 目的が不明瞭な2時間に及ぶ長時間会議への頻繁な参加要請
- 担当者個人に「次回は必ず達成します」と確約するまで叱責を繰り返す
上記は、取引当事者は気付いていませんでしたが、カスハラの可能性が高い行為だった考えます。
実際、BtoBのカスハラは、取引金額が大きいので慎重な判断を要すうえ、外形的に分かり難かりにくく営業担当者が抱え込みがちであるなど、対応が難しいことが大きな特徴です。
そこで今回は、3,000件以上のクレーム・カスハラに対応してきた元・コールセンターの品質管理マネージャーである中小企業診断士が、BtoBの被害に遭ってしまった場合と、自社が加害者になってしまった場合の双方について、具体的な対応策を詳しく解説いたします。
BtoB(企業間取引)のカスハラ対策とガイドラインを具体的に解説
BtoBカスハラの具体例と5つの特徴
BtoBのカスハラの具体例としては、以下のような行為が挙げられます。
- 契約外の内容に、長時間対応や深夜休日の対応を要求する
- 重要性・緊急性の低い案件に、極めて詳細、著しい短納期、膨大な報告を要求する
- 金銭、物品、接待などの見返りを要求する
- 問題や落ち度がないのにも関わらず、追加サービスや物品を要求する
- 家事の手伝い、送迎、買い物、チケットの受取など、私的な雑用を要求する
- 正当な理由もないのに、年齢や性別、または具体的な名前を挙げて担当を要求する
BtoCの場合のように、暴言、暴力、インターネットやSNSに晒すなどの行為が行われることは、一般的には少ない様に思います(無い訳ではありませんが)
しかし、BtoCのカスハラにはない多くの特徴があり、まずこれを把握しておかなければ、ハードクレームやカスハラが起きても、真の原因も分からないし、適切な対策を講じることもできません。
取引金額が大きい
客単価が数千円~せいぜい数万円のBtoCに対して、BtoBの取引は数十万円~数千万円になることも少なくはありません。
社内的にも、受注プロセスや月々の対応などの営業コストも相応に要すことになります。
そのため、BtoBのカスハラでは、いかに理不尽な行為を受けていたとしても、「自分がヘルプを求めたことがきっかけで上記のような金額をロスト(失注)してしまったらどうしよう、、、」と思ってしまいがちです。
また、ロストするには至らなくても、問題が表面化したことに対しクライアントが後述のように「不当な非難だ!」とクレームを入れて来たら、企業の上層部の理解が薄ければ、大手取引先からクレームを起こしたといった評価をされることもあり得ます。
そのため、強いプレッシャーになり、担当者が抱え込んでしまいがちです。
複雑で見え難い
例えば、取引先から合理的な範囲を超えるような強い叱責を受けたり、過度に細かい調査や長大な報告書を短期間で求められたりするケースは、カスハラに該当する可能性があります。
しかし、そのようなケースでも、業務の未達を理由に「契約事項の未達を脇に置いて失礼だ」「あなたが仕事をやってくれていたら不要な叱責や要求はしなかった」「業務を遂行するためにお願いしているのだから、こちらこそ被害者だ」などと主張されたら、反論は簡単ではありません。
BtoCと異なり高額のBtoB取引では、商品やサービス、性能、納期、支払方法、保証、KPI、報告方法など様々な要素が契約書で締結されています。
運用開始後、現場の担当者間の話し合いながら決まった事実上の合意事項もよくあります。
そのような複雑な契約関係の中で何らかの未達事項があると、カスハラとの切り分けが難しくなり、外形的には見え難くなってしまいがちです。
契約そのものが不利になっている場合がある
例えば、下記のような契約です。
- リソースの裏付けのない高過ぎる目標値
- 自社だけに課されたリスクや責任
- 相手方だけが持つ決定権
営業成績優先で現場と十分に合意しないまま受注を急いだ結果、上記のような片務的な契約を締結してしまうと、取引先の要求をエスカレートさせることになるので、注意が必要です。
また、明確に不利な規程ではなかったとしても、「後で交渉で有利な条件を引き出せる可能性があるから」などと考えて、曖昧な条件をそのままにして契約を締結することも危険です。
企業間取引では、よほど代替不可能で必要性の高い価値を提供できていない限りは、報酬(対価)を払う側の力が強くなって行くのは自然なことです。
例え直接の担当者を「組み易し」と踏み、有利な条件で交渉を進めたとしても、契約締結の前にはその上司などが出て来たり、運用開始後に現場の力関係で引っくり返されるのが関の山です。
契約書のレビューを曖昧にしてしまうと、上記のようなリスクを自ら抱え込み、身動きが取れなくなってしまうので、注意が必要です。
組織的に行われている
1ユーザーとして行われるBtoCのカスハラとは違い、BtoBのカスハラは一般的に、公式な物ではなかったとしても明確な目的のもとで組織的に行われていることが大半です。
担当者の個人的なストレス解消といったこもと無いわけではないですが、値引き交渉、追加リソースの投入、詳細な分析やレポートの作成、納期の短縮など、契約で定められた業務範囲の境界線にあるような要求をこちらに飲ませるため、組織的に強いプレッシャーをかけている場合が多いです。
もちろん、そういった行為があったとしても、その全てが組織的な行為という訳ではないと思います。
しかし、少なくてもその上司は、それらの行為を知っていながら、自社が有利に交渉を進めるため、見て見ぬふりをしているとしか思えないことも実際にあります。
最悪の場合、クライアントの担当者やその上司も、更に上層部からコスト低減や納期短縮についての強烈なプレッシャーを受けており、それがカスハラの原因になっていると思われる場合もあります。
つまり、目の前の担当者の行為をなんとかすればカスハラが無くなる訳ではなく、組織的な対策が不可欠である点については、注意が必要です。
継続的に行われる
BtoBの取引は、業務委託契約として何か月~何年も取引が続くことも少なくありません。
また、機械設備や情報システムなど固定資産の構築でも、商品を納品して終わりという訳ではなく、要件定義から始まって、構築、テスト、検収、アフターフォローと取引期間長期にわたるのが通常です。
そのため、そういった企業どうしの契約期間が続く限り、ずっと、カスハラの被害が続いてしまう可能性があります。
実際、冒頭で紹介したコールセンターでは、途中でクライアント側の担当者変更があったのですが、新たな担当者も当然のように、それまでと同様のカスハラ行為をしていました。
継続的に行われるということは、つまり、カスハラの根本原因を特定し、組織的・構造的に対策を講じなければ、目の前の暴言や過剰要求にいくら対処したとしても、しょせん焼け石に水ということです。
その場の対応がたまたま上手く行ったことがあったからといって、希望的観測により対策を緩めてしまうことがないように、注意が必要です。
BtoBでカスハラを放置した場合のリスク例
BtoBのカスハラは、BtoC のような分かりやすい暴言や暴力を聞くことはありません。
しかし、だから被害の程度が軽いのかと言うと、全くそんなことはありません。
むしろ、BtoBのカスハラは上述のような特徴により、BtoCにはない深刻な被害を、企業が気付かない間にもたらすことになりかねません。
以下、具体例を挙げます。
多額の赤字が生じる
取引金額が大きいため、過度な値引き要求、時間外対応、持ち出しでのヘルプ要員の投入、上司や営業の対処による人件費などが、どうしても大きくなりがちです。
実際、前述のコールセンターでは、カスハラで押し付けられた高過ぎるKPIを達成するためにオペレーターを増員していましたが、人件費が持ち出しだったため、毎月数百万円の赤字が発生していました。
もちろん、クライアントには請求の交渉をしていました。
しかし、「生産性を2倍にすれば人数は半分で済むはずであり、何の努力もせず請求されても認められない」と厳しく叱責され、請求は認められませんでした。
外形的には、クライアントの言い分の通りだったのかもしれません。
しかし、現実と乖離した生産性目標は達成できるはずもなく、半年後には累積で2,000万円以上の赤字となっていましたが、結局、それを解消できないまま契約解除となってしまいました。
優秀な従業員が流出する
前述の通り、BtoBのカスハラは、契約の複雑さや担当者の抱え込みにより、外からは見え難いです。
そのため、被害が本当に深刻化しない限りは、通常の取引の中におけるクライアントの満足度低下や要請に答えられずにいるだけだと誤認してしまい、状況打開のため、優秀なエースが投入されたりします。
そういった体制の変更直後は、様子見のため、一時的にカスハラが止むこともあるので、幹部層は「やはり担当者の問題だった」と、更に誤認を深めてしまうこともあります。
しかし、前述の通りBtoBのカスハラには、加害側は組織的な意思決定に基づき長期的にカスハラをしている、という特徴もあります。
ですから、担当者の変更により一時的にカスハラが止んだとしても、よほど気に入られたのでなければ、様子見が終わればまたカスハラが再開してしまうことになります。
実際、前述のコールセンターでは、そうやって何度かエース社員の投入を繰り返し、やっとカスハラが原因だと気付いた時には、「やってられない」と気付いたエース社員が早々に社外転職してしまって、残った従業員にも休退職が蔓延している状態でした。
法的責任を追及される可能性がある
カスハラとハードクレームは外形的には似ている場合も多いですが、同じものではありません。
カスハラはクレームの延長ではなく、セクハラやパワハラと同じハラスメントの一種です。
ですから企業は、「カスハラの被害者」という立場に甘んじるのではなく、従業員をカスハラから守るための配慮が求められます。
実際、これまでも、従業員がハードクレームに遭っているときに適切な配慮をしなかった企業に対し、安全配慮義務違反などで損害賠償請求が求められた判決がありました。
こういったカスハラ対策については、労働施策総合推進法の改正や各自治体のカスハラ条例の中で、企業の対策義務が明確に定められたことで、十分な対応を取らなかった企業に対し損害賠償が認められる高くなっていくと思われます。
そして、損害賠償請求が認められたケースが社名を含めて報道されるリスクなどを考えれば、実際に裁判で損害賠償請求が認められる前段階であっても、弁護士経由で名誉感情の侵害や休業中の生活保障などを求められた場合には、交渉に応じざるを得ない場面も出てくると思います。
<自社が被害者としてカスハラを受けた場合の対策>
繰り返し説明して来た通り、BtoBのカスハラは外からは見え難いうえ、取引金額も大きいため、対策には慎重を要します。
例えば、自社のKPI未達に対し酷い侮辱や暴言を受けた場合、それを真正面から「カスハラだから止めて下さい」と拒絶するだけでは、「会社と会社で決めたKPIが守られず、こちらも管理責任を問われ上から叱責されている。それを、改善するより前にカスハラ呼ばわりするとは、真剣味が足りない!」などと言われてしまえば、建設的な交渉をすることは困難です。
しかし、例え外形的には筋が通っていたとしても、酷い侮辱や暴言、過剰要求、といったカスハラまで正当化される訳ではありません。
そのため、以下の4段階に分けて、組織的に対策を講じて行きます。
- 事前予防
- 発生時対応
- 契約や取引を続けるか否かの判断
- 事後フォロー
事前予防・・・クライアントを巻き込んで対策する
基本的な対策としては、BtoCカスハラの場合と同様に、ガイドライン作成、マニュアル化、研修の実施などを通じて、組織としての基本的な対策を担当者間で共有して行きます。
BtoBの場合の事前予防における最大のポイントは、クライアントを巻き込んで対策することです。
具体的には、以下の5つのような対策が考えられます。
- 取引先のカスハラ対策の状況を確認する
- 自社のカスハラ対策について、取引先に説明する
- 日頃から取引先と良好な関係を築く
- 責任者も交えハラスメントに関し情報交換する場を作る
- 従業員が安心して相談できる体制を作る
ただし、カスハラやコンプライアンスへの意識が薄い取引先に対して唐突に上記のような対策への協力を依頼しても、なかなか受け入れられず交渉が難航するかもしれません。
その際は、コンプライアンス全体の見直しとして協力を打診したり、改正労働施策総合推進法への対応という体でお願いするのが現実的です。
また、それでも相手が消極的な場合には、我々のように国家資格を持った外部の専門家からのアセスメントをきっかけとしていただくのも一法です。
発生時対応・・・担当者任せにせず組織として対応する
自社の従業員からカスハラに関する相談があったら、絶対に1人で対応させず、必ず、組織として対応するようにしましょう。
具体的には、以下のような対応が考えられます。
- 自社の従業員に対して事情を確認する
- 事実確認を行うため、取引先に協力を依頼する
- 取引先と共同で、取引先従業員から事実確認を行う
- 調査結果に基づき、企業としての意思表示をする
- カスハラが認められた場合、期限を定めて改善策を求める
意思表示をする際には、契約事項やKPIの未達をあげつらって誤魔化されてしまわないように、調査結果に基づいた具体的な事実関係や、自社が当該行為をカスハラに当たると判断していることなどを伝えます。
可能なら、従業員の側でも、カスハラと思われる言動を記録しておくと有効です。
取引先が「業務を進めるための指導だ」と主張してきたとき、そのまま受け止めていては議論が平行線となってしまいカスハラ対策が進まなくなるため、あくまで調査結果に基づいたカスハラ行為にフォーカスを当てて、その是正を求めます。
また、カスハラ被害が何度も続く場合や、カスハラが発生したにも関わらず対策に消極的な取引先の場合には、自社の責任者名で相手方の責任者に宛てて文書を発出することも検討します。
コンプライアンスの問題であり、是正されないのであれば公的機関等に相談せざるを得ないことを伝えるのも一法です。
注意点としては、カスハラ行為が認められたからと言ってすぐに弁護士を表に立たせると、相手方も弁護士を立ててくるなど態度が防衛的になり、建設的な交渉ができなくなりかねません。
契約上のリスクなどを弁護士に予め相談するのは良いですが、まずは直接交渉でクライアントにカスハラの是正を求めることをお勧めします。
契約や取引を続けるべきか否かの判断
クライアントから改善策が回答され、例えば担当者から謝罪を受けたとしても、決して、それだけでクローズしてはいけません。
カスハラ行為では、加害者側の認識が被害者側とは異なっていることがあります。
細かな行為についての認識が多少違う程度ならまだ良いですが、以下のようなポイントには特に注意し、不十分な場合には、必ず取引先とすり合わせをしましょう。
収益性は回復するか
カスハラが発生している取引では、契約以上の仕事を強いられコスト負担が膨らんでいることがよくあります。
継続的に赤字なら、そもそもビジネスとして成立しません。
そういった場合は、自社の側からも改善提案を行い、それが受け入れられるか否か、少なくても交渉に応じるか否か、といった点を確認し、収益が回復する見込みがあるかを検討します。
ただし、「それはできない」「検討する余地はない」など、話し合いすらできないケースもありえます。
そういった場合には、改善が見込めず赤字のままでは、取引を続けるのは不可能だと明確に伝えましょう
相手によっては「取引をやめるなら損害賠償だ」などと脅してくることもあるので、あらかじめ弁護士などに相談し、リスクと対応策を整理しておくようにします。
挙げられている原因は妥当か
言動や行為だけでなく、なぜそれが起きたのか、組織的に振り返っていることが重要です。
前述のようなBtoBカスハラの特徴を踏まえて原因の妥当性を検討しましょう。
特に、カスハラの加害当事者に組織的な圧力があったのか、上長が知っていたのか、といったポイントについて納得できる回答が無い場合、組織としての改善ができておらず、また同じことが繰り返される可能性があるので、注意が必要です。
再発防止策は適切か
収益性は回復したとしても、カスハラ自体が止まないのであれば、大事な従業員に任せることはできません。
原因を踏まえて、カスハラが無くなるよう適切な再発防止策が講じられているか否かを確認します。
注意点としては、暴言や過剰要求などの言動だけでなく、原因そのものを除去するための対策が取られていることが重要です。
また、自社だけで再発防止策を講じるのではなく、クライアントの上層部が自らモニタリングし、指導など必要な対応を講じるようにしてもらうなど、自浄化の仕組みを作ってもらうことも有効です。
事後フォロー・・・対策後は必ず再発防止策を講じる
カスハラ行為が止んでも、それで終わらせず、必ず再発防止策を講じましょう。
前述の通り、BtoBのカスハラはBtoCとは異なり、組織的な意思決定に基づき長期的に行われます。
是正を要求したことで一時的に止んだとしても、根本原因が解決されなければ、どこかのタイミングで同じことが繰り返されることになりかねません。
そのため、必ず、以下のような再発防止策を講じましょう。
- カスハラ防止策や注意点などをマニュアル化してもらう
- 背景、定義、具体的な行為について従業員に研修してもらう
- 双方の権利と義務を明確化し、契約書上などの書類に盛り込む
クライアント側ですぐには対応できない場合には、自社のマニュアルを共有したり自社の研修に参加してもらっても良いでしょう。
受注側と発注側で内容を多少調整する必要もあると思いますが、同じ業務を担当していることで理解がはかどりやすいなどのメリットもあります。
また、客観性を確保するためには、共同研修の講師を外部の専門家に依頼することが有効です。
<BtoBカスハラ対策のガイドライン(基本方針)の作成>
BtoBのカスハラ対策ガイドラインも、基本的な内容はBtoCの場合と同じです。
以下のような内容は必ず含めましょう。
- 背景
- 基本方針
- 自社のカスタマーハラスメントの定義
- コンプライアンス
- 企業として取り組むこと
- 経営によるコミットメント
ただし、BtoBカスハラの場合は、前述のような特徴があるため、BtoCと同じ要素でガイドラインを作成するだけでは、上手くいかないことも少なくありません。
そのため、BtoBカスハラの特性を踏まえ、以下のような要素を含めることをお勧めします。
組織として対応する
BtoCの場合、カスハラを受けた担当者が対応することを前提に「毅然と対応する」などと定められることも少なくありませんが、BtoBの場合、担当者個人で対応するのは困難です。
そのため、組織として対応することや、組織として全面的にバックアップすることなど、組織として対応することを明記します。
取引先と共有する
前述の通り、BtoBカスハラ対策の大きなポイントは、いかにクライアントを巻き込めるかです。
そのため、ガイドラインを作ったらそれを、クライアントへの共有を検討しましょう。
可能なら、クライアントと協働して作成できれば最良です。
会社組織が違ったり、受注側と発注側で立場が違ったりなど、難しい場合もありますが、法改正や条例化などを背景に、プロジェクトをより良く進めるため、同じプロジェクトに参加しているメンバーとして両者で協力して作成することに理解を得られる場合もあります。
また、協働して作成はできなかったとしても、ガイドラインの説明機会を貰ったり、執務エリアに掲示したりすることで、その趣旨については十分に理解してもらうようにしましょう。
専門家を活用する
カスハラ対策は、ガイドライン作成、マニュアル化、研修の実施、相談体制の構築、モニタリング&コントロールなど、やることが広範にわたります。
また、BtoBのカスハラ対策の場合は、取引金額が大きく、契約も複雑で、外からは見え難いなどの特徴もあるため、さらに慎重かつ迅速な対策の構築が求められます。
これらの対策について、自社で対応できるなら良いですが、もしそういった人材がいないなら、特に初期段階では、専門家の支援を受けることを強くお勧めします。
時折、自社の大切な顧客対応について外部から口出しされることに抵抗があるという方がいらっしゃいます。
しかし、外部への丸投げは最悪ですが、自社での丸抱えは次悪です。
大切なお客様だからこそ、経験豊富な専門家から客観的なアドバイスを受けながら対策を講じる事で、実効性の高いカスハラ対策の確実な構築が可能です。
また、カスハラだけでなく、顧客満足度を高めるための活動にも注力できる可能性が生まれます。
これからカスハラ対策を講じる方は、ぜひ、専門家を活用しましょう。
<自社がカスハラの加害者になった場合の対策>
ここまでは自社がBtoBカスハラの被害に遭った場合の対策について解説して来ました。
ここからは、自社が加害者になってしまった場合の対策について解説します。
加害者の側でも、予防策は、基本的に被害者の場合の対策と大きく変わりません。
ただし、発生時の対応には、加害側ならではの注意点として、以下のポイントが挙げられます。
社内から報告や通報が上がりやすい仕組みを作る
自社の従業員がカスハラをしているとき、できることなら、被害者側の企業から通報される前に、自社内からの報告や通報で把握することが望ましいです。
しかし、相談担当者や通報窓口を設置しただけで上手く行く訳ではありません。
従業員が、窓口に通報した事実が不利に扱われるのではと不信感を持っている場合には、誰も窓口に通報してくれません。
特に、カスハラを行っているのが上司だったりすると、尚更でしょう。
そうでなかったとしても、もしもカスハラでなかった場合に不利益を被ったり、本人に知られてしまったりする可能性があると思われている場合は、やはり通報は期待できません。
そのため、報告者や通報者のプライバシーに最大限配慮し、もし間違っていたとしても咎めないことを経営者の名前で発信するなどし、誰でも、どんな事でも、相談・報告・通報ができる環境を作ることが重要です。
取引先からの通報には誠意をもって協力する
取引先からカスハラの連絡が来る場合、通常、現場担当者の思い付きではなく、取引先内で慎重に検証され、責任者の承認を経ています。
そのため、自社でも相応の責任者を交え、早急に検証結果などの情報の共有を受け、調査には全面的に協力しましょう。
その際には、受動的に取引先の要請に応えるだけでなく、自社内でも、本当に通報通りの行為があったのか、それがカスハラに該当するのかなど、慎重に調査することが重要です。
注意点として、取引先からどれだけ強く言われたとしても、どれだけ具体的に説明されたとしても、一方的な主張だけで事実だと決めつけないことです。
もし、従業員のカスハラ加害行為が事実であると組織として認定されると、社内処分だけでなく、暴行や強要などの行為が伴う場合には、警察が介入する可能性もあります。
そのため、必ず自社内でも関係者からヒアリングを行い、監視カメラの映像や録音、報告書や証憑類などとの矛盾がないかなど、客観的な情報で確認をしましょう。
独占禁止法や下請法に該当する可能性がある
前項の内容に繋がりますが、取引先からカスハラの可能性を指摘された場合は、握り潰そうとしたり証拠隠滅を図ろうとすることは、絶対に避けましょう。
厚生労働省が公開しているカスハラ対策マニュアルでも、実質的に優位な立場にある企業が、取引先企業に過大な要求を課し、それに応えられない際に厳しく叱責したり取引を停止したり、業務と無関係な指摘雑用の処理を強いることは、独占禁止法上の優越的地位の濫用や下請法上の不当な経済上の利益の提供要請に該当し、刑事罰や行政処分を受ける可能性があるとされています。
このような行為に該当した場合、悪質な隠ぺいだと判断されるとさらに厳しく対応される可能性があります。
また、幸い隠ぺいが明るみに出なかったとしても、組織がそれを学習してしまい、隠ぺい文化が形成されてしまうことは、誰にとっても不幸です。
自ら調査に協力し、膿を出し切り、適切な再発防止を講じるようにしましょう。
まとめ|深刻な事態になる前に、組織的な対策を講じましょう
BtoBのカスハラは、金額が大きく契約が複雑である反面、担当者が「得意先だから機嫌を損ねたら大変だ」「もし取引停止になったら社内での評価が下がる」「自分が担当者だから」と考ええてしまいがちなため、なかなか表面化しにくいという特徴があります。
また、被害側企業にKPIの未達事項があったり、加害側企業が「より安価にしたい」「より生産性を高めたい」といった欲求から、組織的・継続的にカスハラに及んでいたりする場合には、問題を複雑化させ、解決に膨大なエネルギーを要することになります。
ポイントは、そういった深刻な事態になる前に、予め、組織的な対策を講じることです。
今般、労働施策総合推進法の改正や各地の条例化により、全ての企業にカスハラ対策が義務付けられたことは、非常に良い機会だと思います。
幸い、今までカスハラが起きたことが無い企業は、是非この機会に状況を把握し、深刻なトラブルになる前に対策を講じておくことを強くお勧めします。
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