【2026年、全企業が義務化】厚労省カスハラ対策指針要綱案5つのポイント

カスハラ クレーム 労働施策総合推進法 改正 指針 基準 具体例

2026年1月20日、『事業主が職場における顧客等の言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針案要綱(以下「カスハラ対策指針」)』に対し、厚生労働大臣の諮問機関である労働政策審議会が妥当であると答申しました。

報道では、カスハラに該当する行為について、『身体的な攻撃』『精神的な攻撃』『威圧的な言動』などの類型に以下のような具体例が明示されていることが報じられています(下線は筆者追加)。

【身体的な攻撃(抜粋)】

  • 物を投げつけること。
  • わざとぶつかること。
  • つばを吐きかけること。

【精神的な攻撃(抜粋)】

  • 店舗の物を壊すことをほのめかす発言やSNS等のインターネット上へ悪評を投稿することをほのめかす発言によって労働者を脅すこと。
  • SNS等のインターネット上へ労働者のプライバシーに係る情報の投稿等をすること。
  • 労働者の人格を否定するような言動を行うこと。相手の性的指向・ジェンダーアイデンティティに関する侮辱的な言動を行うことを含む。

しかし、これらの行為自体は、これまでもカスハラとされていたものであり、目新しくはありません。

カスハラ対策指針は元々、2026年中に施行される『労働施策総合推進法の改正(以下「改正法」)』の中で厚生労働大臣に対し、「適切かつ有効な実施を図るために必要な指針を定めるものとする」とされており、改正法と一体のものです。
従って、カスハラ対策指針で最も重要なことは、改正法のための「適切かつ有効な実施を図るために必要」なことの全体像が示されたことであると言えます。

つまり、今後はこのカスハラ対策指針や改正法に沿った対策が全企業の義務となります。

ただ、読めば分かりますが、カスハラ対策指針は少し分かり難く、対策をイメージし難いかもしれません。

そこで本コラムでは、クレーム・カスハラの対策の専門家である中小企業診断士が、カスハラ対策指針の中で特に重要と思われるポイントを取り上げ、対策について解説します。

※内容には細心の注意をしておりますが、コンサルタントとしての見解です。厳密な解釈については、監督省庁などへのご確認をお願いいたします。

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【2026年、全企業が義務化】厚労省カスハラ対策指針要綱案5つのポイント

カスハラの定義

カスハラ対策指針では、カスハラの定義として、職場で行われる以下の3つの要素をすべて満たすものであるとしています。

カスハラの定義(改正労働施策総合推進法リーフレットより)
①顧客、取引先、施設利用者その他の利害関係者が行う、
②社会通念上許容される範囲を超えた言動により、
③労働者の就業環境を害すること

上記の定義は改正法と同じ内容であり、表現は若干違いますが、同じ厚生労働省が2022年2月に公開した『カスタマーハラスメント対策企業マニュアル』や、『埼玉県カスタマーハラスメント防止条例』とも、基本的な内容は同じです。

カスハラ対策指針における本項のポイントは、カスハラの定義そのものではなく、顧客等からの苦情であっても「客観的にみて、社会通念上許容される範囲で行われたものは、いわば正当な申入れであり、職場におけるカスタマーハラスメントには当たらない。」と明記されたことです。

このような、カスハラの排撃に偏重せず正当なクレームに対しては真摯に対応し、自社のサービス改善に努めていくことの重要性は、指針の後段でも繰り返し触れられています。

その他、カスハラ対策指針の同項では、以下の用語について具体例が示されました。

「職場」について

労働者(従業員)が通常業務を遂行している場所以外でも、業務を遂行する場所は「職場」に含まれます。

従って、以下のような場所も「職場」に該当することになります。

  • 勤務先である会社
  • 取引先の事業所、事務所、店舗など
  • 取引先と打合せをするための飲食店
  • 顧客の自宅等

外回りの営業の他、テレワーク(在宅勤務)やシェアオフィスが浸透している現在においては、社外でカスハラが起きても適切にフォローができるように、企業には十分な注意と仕組み作りが求められます。

「労働者」とは

正規、非正規を問わず、事業主が雇用する全ての労働者を指します。

また、派遣労働者については、派遣元事業主にとって従業員であるだけでなく、派遣先の事業主もその派遣社員の雇用主とみなされます。

従って、派遣元の事業主は、派遣社員に対しても以下の対応が求められます。

  • 直接雇用の労働者と同様の配慮および措置を講じる
  • 職場におけるカスハラ相談を理由とした不利益取扱いの禁止

「顧客等」とは

顕在的な顧客だけでなく潜在的な顧客も含むとして、以下の例を挙げています。

  • 事業主が販売する商品の購入やサービスの利用をする者
  • 事業主の行う事業に関する内容等に関し問い合わせをする者
  • 取引先の担当者
  • 企業間での契約締結に向けた交渉を行う際の担当者
  • 施設・サービスの利用者及びその家族・ 施設の近隣住民

ポイントは、B to Bのカスハラ(企業間取引のカスハラ)における顧客の例を挙げている点です。
カスハラ対策指針では、後段でもB to Bのカスハラについての雇用管理上の措置の実施に関する協力義務を定めており、B to Bのカスハラを重視していることが伺えます。

カスハラと言えばB to Cの問題だと思われがちですが、B to Bのカスハラは、取引額も大きいため担当者の負荷も甚大になり、被害も深刻になりがちです。

B to B企業で、今まで検討したことが無い方は、この機会にしっかりと検討することを強くお勧めします。

「業務の性質その他の事情に照らして社会通念上許容される範囲を超えた」言動とは

カスハラ対策指針では、行為の類型について以下の具体例を挙げていました(下線は筆者追加)。

ただし、この判断に当たっては、「労働者の問題行動の有無や内容・程度」を含む様々な要素を総合的に考慮することが適当とされており、具体例に該当するものが直ちにカスハラであると言えない可能性があることには、注意が必要です。

言動の内容が社会通念上許容される範囲を超えるもの

内容具体例
そもそも要求に理由がない又は商品・サービス等と全く関係のない要求性的な要求や、労働者のプライバシーに関わる要求をすること。
契約等により想定しているサービスを著しく超える要求契約内容を著しく超えたサービスの提供を要求すること。
対応が著しく困難な又は対応が不可能な要求契約金額の著しい減額の要求をすること。
不当な損害賠償要求商品やサービス等の内容と無関係である不当な損害賠償要求をすること。

手段や態様が社会通念上許容される範囲を超えるもの

内容具体例
身体的な攻撃(暴行、傷害等)・殴る、蹴る、叩く等の暴行を行うこと。
・物を投げつけること。
・わざとぶつかること。
・つばを吐きかけること。
精神的な攻撃(脅迫、中傷、名誉毀損、侮辱、暴言、土下座の強要等)・店舗の物を壊すことをほのめかす発言やSNS等のインターネット上へ悪評を投稿することをほのめかす発言によって労働者を脅すこと。
・SNS等のインターネット上へ労働者のプライバシーに係る情報の投稿等をすること。
・労働者の人格を否定するような言動を行うこと。相手の性的指向・ジェンダーアイデンティティに関する侮辱的な言動を行うことを含む。
・土下座を強要すること。
・盗撮や無断での撮影をすること。
・労働者の性的指向・ジェンダーアイデンティティ等の機微な個人情報について、当該労働者の了解を得ずに他の者に暴露すること又は当該労働者が開示することを強要する若しくは禁止すること。
威圧的な言動・大きな声をあげて労働者や周囲を威圧すること。
・反社会的な言動を行うこと。
継続的、執拗な(しつような)言動・同様の質問を執拗に繰り返すこと。
・当初の話からのすり替え、揚げ足取り、執拗な責め立てをすること。
・同様の電子メール等を執拗に繰り返し送りつけること。
拘束的な言動(不退去、居座り、監禁)長時間に渡る居座りや電話で労働者を拘束すること。

事業主等の責務

カスハラ対策指針では事業主に対し、以下の努力義務を定めています。

  • カスタマーハラスメントを行ってはならないことその他職場におけるカスタマーハラスメントに起因する問題に対するその雇用する労働者の関心と理解を深める
  • 労働者が他の事業主が雇用する労働者に対する言動に必要な注意を払うよう、研修の実施その他の必要な配慮をする
  • 国の講ずる同条第一項の広報活動、啓発活動その他の措置に協力する
  • 自らも、カスタマーハラスメント問題に対する関心と理解を深め、他の事業主が雇用する労働者に対する言動に必要な注意を払う

ポイントは、事業主に対して、自社の従業員がカスハラの加害者になってしまわないように、研修、広報、啓発など、従業員などの具体的なアクションを求めている点です。

改正法やカスハラ対策指針では、責務を守らなかったことに対し罰則を定められていません。
しかし、今までも従業員が顧客等から激しく攻撃された時に、企業が十分な対応を取らず、安全配慮義務違反として損害賠償を求められるケースがありました。したがって、今回、改正法やカスハラ対策指針に「事業者の責務」として定められた以上、罰則が無いからといって責務を放棄した中でカスハラが生じたら、今後は今まで以上に損害賠償リスクが高まることに注意が必要です。

もし、事業者の責務として定められているようなことについて自社に対応のノウハウが無ければ、遺漏が無いように、専門家に相談しながら対応することをお勧めします。

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雇用管理上講ずべき措置の5つのポイント

カスハラ対策指針では、職場におけるカスハラを防止するため、以下の雇用管理上の措置を講じることを定めています。

なお、本項は努力義務ではなく実施義務であることに、注意うが必要です。

事業主の方針の明確化及びその周知・啓発

事業主の方針の明確化とは、ガイドラインの作成と解すことができます。これに対しカスハラ対策指針では、単にガイドラインを作成するだけでなく、以下のような周知・啓発の措置を講じなければならないとしています。

  • 社内報、パンフレット、社内ホームページ等広報又は啓発のための資料等に職場におけるカスハラには毅然とした態度で対応し、労働者を保護する旨の方針を記載し、配布等すること
  • トップメッセージとして当該方針を広く社内に発信すること
  • 毅然とした態度で対応し、労働者を保護する旨の方針を労働者に対して職場におけるカスハラの対処の内容と併せて研修、講習等を実施すること

相談体制の整備

労働者からの相談に対し、適切かつ柔軟に対応するために必要な体制として、相談体制の整備が求められています。
なお、この相談体制については、をあらかじめ定め、労働者に周知するとともに、以下の対応が例示されています。

  • 相談に対応する担当者として、労働者の上司に当たる管理監督者等を定める
  • 職場における他のハラスメントの相談窓口と一体的に設置をすること
  • 外部の機関に相談への対応を委託すること

ポイントは、カスハラが現実に生じている場合だけでなく、その発生のおそれがある場合や、職場におけるカスハラに該当するか否か微妙な場合であっても、広く相談に対応し、適切な対応を行うようにすることが求められている点です。
例えば、放置すれば就業環境を害するおそれがある場合等が考えられます。

カスハラに係る事後の迅速かつ適切な対応

カスハラに係る相談の申出があった場合、事実関係の迅速かつ正確な確認及び適切な対処として、次の措置を講じなければならないとしています。

なお、本項は「事後の迅速かつ適切な対応」となっていますが、ポイントは、管理監督者への交代や被害者と行為者の引き離しなど、発生中の適切な対応も求められている点です。
カスハラ発生時の対応は、非常に大きなプレッシャーで、平静に対応することは難しく、事後では心身にダメージを受けることになりかねません。そのため、下記に無いものでも、自社にとって有効と思われる取組みがないか検討して行くのが良いでしょう。

事案に係る事実関係を迅速かつ正確に確認していると認められる例

  • 管理監督者等がその場で事実関係を確認し対応すること。
  • 相談窓口の担当者、関係部門又は専門の委員会等が、相談者から事実関係を確認すること。
  • その際、相談者の心身の状況や当該言動が行われた際の受け止めなどその認識にも適切に配慮すること。
  • 必要に応じて、周囲の労働者からも事実関係を聴取したり、録音・録画等の客観的な証拠を確認したりすること。

カスハラの事実確認ができた場合、速やかに被害者に対する配慮措置を行っていると認められる例

  • 管理監督者等が被害者に代わって対応すること
  • 被害者と行為者を引き離すこと等の措置を講ずること
  • 暴行、傷害、脅迫などの犯罪に該当し得る言動については警察へ通報すること
  • 行為者に対応する担当者の変更又は複数人で対応すること

再発防止に向けた措置を講じていると認められる例

  • カスハラの原因や背景となった商品・サービス・接客等における問題や顧客等とのコミュニケーションの不足などが把握された場合には、その問題等そのものの改善を図ること
  • 労働者を保護する旨の方針及び職場におけるカスハラへの対処の内容を周知・啓発するための研修、講習等を改めて実施すること

実効性を確保するために必要なその抑止のための措置

カスハラについて特に悪質と考えられるものへの対処の方針をあらかじめ定め、管理監督者を含む労働者に周知するとともに、当該方針において定めた対処を行うことができる体制を整備しなければならないとしており、以下の対応例を挙げています。

  • 暴行、傷害、脅迫などの犯罪に該当し得る言動については、警察へ通報すること
  • 行為者に対して警告文を発出すること
  • 法令の制限内において行為者に対して商品の販売、サービスの提供等をしないこと
  • 行為者に対して店舗及び施設等への出入りを禁止すること
  • 民事保全法に基づく仮処分命令を申し立てること。

このうち、仮処分申し立ては、認められれば非常に有効ですが、一定の時間を要します。

そのため現実的に最も有効なのは警察に通報することだと思いますが、しかし、それも相応の時間を要することになるため、いきなり通報するのははばかられるかもしれません。

そういった場合には、まずは警告文、サービス提供の中止、出禁などをしたり、#9110(警察相談専用電話)に相談したりといったことが考えられます。

ポイントは、これらの措置について、誰が、どのような基準で、どこまで、どの様に対応するか具体的な内容を決めておくことです。

具体的なトリガー、アクション、ルールが無ければ、いざという時に対応できず、実効性が確保できません。そのため、ロープレなどでカスハラ発生時の動きをなぞってみて、曖昧な点がないか、予め必ずチェックするようにしましょう。

従業員への保護に関する措置

カスハラに対する相談をして来た従業員を保護するため、以下の措置を求めています。

相談者のプライバシーの保護

  • 相談者等のプライバシーの保護のために必要な事項をあらかじめマニュアルに定め、相談窓口の担当者が相談を受けた際には、当該マニュアルに基づき対応するものとすること
  • 相談者等のプライバシーの保護のために、相談窓口の担当者に必要な研修を行うこと
  • 相談窓口においては相談者等のプライバシーを保護するために必要な措置を講じていることを、社内報、パンフレット、社内ホームページ等広報又は啓発のための資料等に掲載し、配布等すること

相談者の不利益取扱いの禁止

  • 就業規則その他の職場における服務規律等を定めた文書において、カスハラの相談等を理由として、労働者が解雇等の不利益な取扱いをされない旨を規定すること
  • 社内報、パンフレット、社内ホームページ等広報又は啓発のための資料等に、カスハラの相談等を理由として、労働者が解雇等の不利益な取扱いをされない旨を記載すること
  • 上記を労働者に対し、周知、啓発、配布等すること

他の事業主の講ずる雇用管理上の措置の実施に関する協力

本項は、B to Bの取引(企業間取引)において、自社の労働者(従業員、スタッフなど)が他社へのカスハラの加害者となった可能性があるなどで、他社から事実関係の確認などの協力を求められた場合に、以下の措置を講じるよう努めるとしています。

  • 他の事業主からの協力の求めに応ずるように努めなければならない
  • 協力を求められたことを理由として、当該事業主に対し、当該事業主との契約を解除する等の不利益な取扱いを行うことは望ましくない
  • 協力した労働者に対して、解雇その他不利益な取扱いを行わない旨を定め、労働者に周知・啓発することが望ましい
  • 事実関係の確認により、職場におけるカスハラが生じた事実が確認できた場合においては、事業主は、就業規則その他の職場における服務規律等を定めた文書における規定等に基づき、行為者に対して必要な懲戒その他の措置を講ずることが望ましい

ポイントは、B to Bのカスハラにおいては、加害者だけでなく被害者になる場合もあることです。
前述の通り、B to Bのカスハラは取引額が高額であることに加え、契約関係が複雑、叱責や要求がKPI未達など自社の不足が原因になっているなどの理由により、カスハラと認識されにくいです。

一方、営業担当者にとっては、クライアントからの叱責や契約の終了は、自分の成績に直結するうえ、自らの対応についての不足点をあげつらわれることが多いため、周囲に相談できず一人で抱え込みがちです。

そのため、B to Bの企業においては、協力を求められてから上記のような措置を受動的に講じるのではなく、普段から取引先と誠実にコミュニケーションを行うことが望ましいです。カスハラ対策指針や労働施策総合推進法の改正に伴うカスハラ対策義務について、協力して取り組むなど建設的な対応をするようにこころがけましょう。

事業主が職場における顧客等の言動に起因する問題に関し行うことが望ましい取組の内容

カスハラ対策指針では、上記に挙げた措置に加えて以下の取組みを行うことが望ましいとしています。

従業員への教育・研修

労働者が自社の商品やサービスをよく理解し、顧客等への対応力の向上を図ることは、職場におけるカスハラの被害者になることを防止する上で重要であることや、顧客等からの社会通念上許容される範囲で行われる正当な申入れについては、職場におけるカスタマーハラスメントには該当しないことを踏まえて、顧客等への対応力の向上を図るために研修等の必要な取組を行うこと。

実際、ハードクレームやカスハラも、何も無いところから突然大爆発するというケースはそれほど多くはありません(ゼロではないですが)。

むしろ、商品やサービスに何らかの不満や不具合があったり、そのことに気付かずに普段は気にならない不用意な一言を言ってしまったり、それで怒らせたお客様に適切な謝罪や初期対応ができなかったり、といったことが重なって炎上に繋がる、といったケースの方が多いように思います。

上記のようなカスハラに対し、マニュアルやトレーニングなど企業側の取組みで防げるなら、その方がスタッフ・従業員も安全に安心して働くことができますし、顧客満足度も高まります。

カスハラ対策指針の後悔を「やらなければいけない義務」と後ろ向きにとらえず、「就業環境改善の機会」「顧客満足度向上の機会」と前向きに捉え、主体的に取り組みを進めて行きましょう。

労働者や労働組合等の参画による運用状況の見直し

前述の5つの措置を講じる際に、必要に応じて、労働者や労働組合等の参画を得つつ、アンケート調査や意見交換等を実施するなどにより、その運用状況の的確な把握や必要な見直しの検討等に努めることが重要であるとしています。
なお、労働者や労働組合等の参画を得る方法として、例えば、衛生委員会の活用なども考えられます。

業種・業態の実態に応じた取組

カスハラは、業種・業態等によりその被害の実態や必要な対応も異なると考えられます。
そのため、業種・業態等における被害の実態や業務の特性等を踏まえて、それぞれの状況に応じた必要な取組を進めることも、被害の防止に当たっては重要です。

また、同じ業種・業態等の複数の事業主が一体となって取組を行うことも有効です。団体としての取組みは埼玉県カスタマーハラスメント防止条例でも推奨されていますが、特に、中小企業や小規模企業において非常に有効であり、ぜひ取組みをお勧めします。

まとめ|カスハラ対策は、組織的・計画的な対応が有効

今回公開された『事業主が職場における顧客等の言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針案要綱(カスハラ対策指針)』は、改正労働施策総合推進法に比べ内容が具体的であり、その分、細かく分かり難い点も多いかと思います。
そのうえ、カスハラ対策指針や改正法に対応しなければ、カスハラが発生した場合、カスハラそのものの被害に加えて、安全配慮義務違反として損害賠償責任を負うことにもなりかねません。

しかし、この指針をちゃんと読めば、クレームやカスハラの排撃だけでなく、商品、サービス、接客などを改善し、クレームやカスハラの根本原因を高め、顧客満足度向上を目指すことが読み取れます。

クレームやカスハラに特効薬はありません。
ですが、顧客満足度がいつも低けい状態ならちょっとした火種がクレームやカスハラに発展しやすく、いつも高い状態ならちょっとした火種なら自然に鎮火します。そのため、義務だからと外形的にカスハラ対策をするのではなく、法改正によるカスハラ対策義務を機に、クレーム・カスハラを減らし更に顧客満足度向上を高める、一貫した対応を強くお勧めします

本コラムの内容について、専門家へのご相談を希望の場合は、ぜひお気軽にご相談下さい。

クレーム カスハラ 対策 相談 対応
著者のイメージ画像

花村広報戦略合同会社
花村 憲太郎(Kentaro Hanamura)

15以上の仕事を経験後、サービス業のカスタマーケア部門のマネージャーとして、従業員教育や顧客満足度の向上に関わる各種施策を担当。平行して、中小企業診断士としてスモール・ミドルへのコンサルティングを経験。その後、自社と社外の任意団体で広報を担当し、プレスリリース、記者会見、メディア対応などを実施。 社内外での広報PRと経営の支援を通じ、広報戦略と経営戦略との一体的な対応により、自社の魅力を継続的に社内外に伝えることが重要であるとの想いを強くし、起業に至る。