【完全版】埼玉県カスハラ防止条例の要点と対策を中小企業診断士が具体的に解説
近年、全国的にカスタマーハラスメント(カスハラ)に対し対策が進んでいます。
例えば、厚生労働省が2022年に公表した『カスタマーハラスメント対策企業マニュアル』では、過去3年間に19.5%の企業・団体がカスハラを経験していたことが示されており、国全体として対策の必要性が高まっていることが明らかになっています。
このような経緯を経て、令和7年6月に法改正がされ、令和8年中に全企業にカスハラ対策が義務付けられることとなりました。
つまり、カスハラ対策は“努力目標”ではなく、全国的に“必須の義務”へと変わりつつあります。
この全国的な流れは、埼玉県におけるカスタマーハラスメント防止条例の制定にも直結しています。
特に埼玉県は中小企業や小規模事業者が多く、現場の負担が大きくなりやすいという地域特性があるため、義務ではなく努力義務として柔軟に設計されました。
しかし、この法制化の流れが、実は、クレーマーを規制するだけでなく、企業や事業者に対して、大きな責務を課すものであることは御存知でしょうか?
「条例は義務ではないから」と放置すると、中小企業ほど深刻なトラブルに巻き込まれるかもしれません。
そのため、本コラムでは、カスハラ対策に専門家である中小企業診断士が、県の条例や事業者の対策のポイント、トラブルを回避などについて、具体的に解説します。

【完全版】埼玉県カスハラ防止条例の要点と対策を中小企業診断士が具体的に解説
中小企業・小規模事業者がまず取り組むべき「標準的なカスハラ対策」
労働施策総合推進法の改正により、すべての企業にカスタマーハラスメント対策の義務化が決まりました。
これは措置義務となるため、措置義務に違反した企業はペナルティを受ける可能性があります。
しかし、最初から高度な仕組みを整える必要はありません。
まずは、国が示す考え方に沿って、最低限整えておくべき「標準的な対策」を押さえることが重要であり、具体的には、以下のような対策が挙げられます。
- ガイドラインの作成
- マニュアル整備
- 社員教育
- 相談体制の構築
これらを整えることで、従業員が安心して働ける環境が生まれ、顧客対応の質も安定します。
これらの標準的な対策は、埼玉県カスタマーハラスメント防止条例における「事業者の責務」とも同じであり、後述する「県の支援策」でサポートを受けられる範囲でもあります。
カスハラ対策の基本方針となるガイドラインの作成(第6条3)
ガイドラインの作成は、カスタマーハラスメント対策の土台となる取り組みです。
埼玉県カスタマーハラスメント防止条例でも、事業者が取り組むべき基本的な対策として「基本方針を作成し、公表するよう努める」ことが求められており、まず整えるべき項目と言えます。
ガイドラインに盛り込むべき内容としては、大きく、次の二つの視点があります。
- 顧客の正当な申出を妨げないこと
- 社会通念上許容されない行為には毅然と対応すること
ガイドラインのポイントは、自社の実態に合った内容であることです。
実態に合っていなければ、どんなに立派なことを書いていても絵に描いた餅であり、最悪の場合、従業員やスタッフからも「自分達の大変さを分かって無い」「社長はやる気がない」などと思われ、形骸化します。
実態に合ったガイドラインがあることで、後述するマニュアル整備や社員教育にも一貫性が生まれます。
シンプルな内容で良いので、従業員の声を聴き、対策の一歩目として実態に合ったガイドラインを作成しましょう。
マニュアル整備|初期対応・エスカレーション基準(第6条2)
マニュアルを整備することは、条例で直接的に求められているものではありませんが、第6条2にある「実効性を確保するために必要なその抑止のための措置」に含まれると解せます。
ただし、中小企業や小規模企業者が、最初からすべての対応手順を詳細にマニュアル化することは現実的ではありません。
担当者が限られている場合などは、むしろ、過度なマニュアル化が現場の負担になることもあります。
そのため、最初の段階では「必要最小限の手順・内容」に絞ってマニュアル化することが基本になります。
特に重要なのは、以下のような“最低限の判断基準”を明確にしておくことです。
- 初期対応の基本姿勢
- 危険を感じた場合のエスカレーション基準
優先順位をつけながらマニュアルを作り、随時従業員に共有して行きましょう。
従業員教育|正当なクレームとカスハラの違いを理解する (第6条)
従業員教育・社員教育は、埼玉県カスタマーハラスメント防止条例の趣旨を現場で実践するために欠かせない取り組みであり、第6条において、事業者の責務として「研修の実施その他の必要な配慮をするように努めなければならない」と定められています。
研修のやり方は、その企業の状況により様々なものがありますが、基本的にはガイドラインやマニュアルを実際の顧客対応で実戦できるように、ロープレやトークスクリプトの読み合わせなどが有効です。
また、近年では労働施策総合推進法の改正や自治体の条例化など、カスハラを取り巻く環境変化もめまぐるしく変わっており、埼玉県でも、解説動画の公開やオンラインセミナーが開催されます。
基本的な制度の理解であれば、そういった公共の研修に参加するのも有効です。
相談体制の構築|記録の取り方・社内共有 (第6条2)
相談体制の構築は、従業員が一人で問題を抱え込まないための仕組みづくりです。
埼玉県カスタマーハラスメント防止条例でも、事業者に対し「就業者からのカスタマーハラスメントに係る相談に応じ」と求められている(第6条2)、重要な取り組みの一つです。
中小企業や小規模企業者では、現場の判断が属人的になりやすいため、相談できる仕組みがあるだけで負担が大きく軽減されます。
まずは、以下のようなポイントを周知するだけでも、従業員やスタッフの安心に繋がります。
- どんな場合に相談するのか
- 誰に相談するのか
- どうやって相談するのか
また、相談体制は「相談する側」だけでなく「相談を受ける側」の教育やフォローも欠かせません。
相談を受ける担当者が、正当な申出とカスハラの違いを理解していなければ、適切な判断ができず、相談した従業員がさらに不安を抱える可能性があります。
不安がある場合は、専門家に相談しながら、相談を受けた際に適切に対応できるようにしましょう。
顧客満足との両立|クレーム抑制とカスハラ防止の関係(第3条4)
カスタマーハラスメント対策は、顧客満足と対立するものではありません。
埼玉県カスタマーハラスメント防止条例では、第3条4で、顧客等の社会通念上許容される範囲の要望の申出等に対し、「当該要望の申出等が妨げられることのないように配慮されなければならない。」と定めており、これは、顧客満足の基盤となる考え方でもあります。
クレームやカスハラへの対策と顧客満足度向上は、実は、同じベクトルの両端に位置しており、根本的な考え方は共通します。
クレームやカスハラの解消に特効薬はありませんが、顧客満足度が高い組織ではクレームが起こりにくく、従業員満足度も高くなることは、誰もが共感できることだと思います。
ポイントは、自社の在るべき姿に沿って対応できているか、経営者が定期的にモニタリングすることです。
現場任せにせず、適切な線引きとバランスの取れた仕組みづくりを心掛けましょう。
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埼玉県カスタマーハラスメント防止条例の特徴
埼玉県カスタマーハラスメント防止条例では、県内企業の実態を踏まえた柔軟な内容となっており、国の法律を補完し、中小企業や小規模企業者の負担が少ない形で対策が始められるように配慮されたものです。
本項では、まずこの条例のポイントについて分かりやすく解説します。
7割超を占める小規模事業者(従業員9名以下)への配慮(第1条)
国が改正した労働施策総合推進法は、すべての事業者に対して、カスハラへの対策を義務付けるものです。
相談体制の整備、ガイドラインの作成、教育の実施など、一定の組織的対応が求められます。
一方、埼玉県では、従業員9名以下の小規模事業者が全体の7割以上を占めており、以下のような状況を抱えていることから、自力でカスハラ対策をするのが困難なケースも少なくありません。
- 専任の人事・法務担当を置けない
- カスハラ対応のノウハウが無い
- 相談やエスカレーションの仕組みが無い
- 売上に繋がらない活動に時間を割けない
- 1件のカスハラが従業員の離職につながりやすい
そのため、埼玉県のカスタマーハラスメント防止条例は、中小企業・小規模企業者の特性に鑑み(第1条)、負担なく対応できるよう、「義務」ではなく「努力義務」として、様々な施策が用意されています。
つまり、国法が「全事業者に義務を課す」ものであるのに対し、埼玉県の条例は「小規模事業者が実態に合わせて取り組めるように支援する」ための制度です。
この違いを理解することで、条例の目的や特徴がより明確になります。
社会全体でカスハラの防止を図ることを目指す(第3条)
埼玉県カスタマーハラスメント防止条例は、単一の企業にのみ努力義務を課すものではなく、カスハラを「社会全体で防止を図らなければならない」ものであるとしています(第3条)。
そのため、後述の通り、条例の対策セミナーでは事業者、事業者団体、就業者など企業側の主体に加え、顧客等に向けたセミナーも開催されます。
これは、条例について正しく理解するだけでなく、正当なクレームとカスハラの違いや、それぞれの主体ごとの注意点などを適切に理解させ、社会全体でカスハラの防止を図るための広報活動と言えます。
また、後述する総合相談窓口も、埼玉県内の関係者から広く相談を受けることを目標としており、条例の基本理念である「社会全体でカスハラの防止を図る」ための重要な取組です。
顧客の「正当な申出」を妨げない(第3条4)
埼玉県カスタマーハラスメント防止条例の大きな特徴の一つに、顧客等の社会通念上許容される範囲の要望の申出等に足して、以下のように定めていることです(第3条4)
- 当該顧客等の利益を擁護するものである
- 事業者の事業活動の発展に資する
- 申出等が妨げられることのないように配慮されなければならない
これは、カスハラ対策を強化するあまり、正当なクレームや改善要望まで封じてしまうことを防ぐための重要な視点です。
一方で、正当な申出であったとしても、その伝え方が、暴言、威圧的な要求、長時間拘束など、社会通念上許容されない行為はカスハラに該当します。
そのため、条例は「顧客の声を適切に受け止めつつ従業員を守る」というバランスを求めています。
これらは、「顧客等及び就業者が対等な立場において相互に尊重することを旨としなければならない」とする条例の基本理念を実現させるための、重要な条文と言えます。
適用対象が広い(事業者・事業者団体・NPO・任意団体等)(第2条)
埼玉県カスタマーハラスメント防止条例は、適用対象が非常に広いことが特徴です。
一般的に「事業者」と聞くと民間企業だけを想像しがちですが、この条例では地方公共団体や非営利団体、その他の団体などが幅広く含まれます(第2条1)。
具体的には、次のような主体が含まれます。
- 事業者(営利・非営利を問わない)
- 個人事業主
- NPO法人、ボランティア団体、PTA、ファンクラブなどの任意団体
- 市役所、公共施設などの地方公共団体
また、「事業者団体」を対象とし、業界団体や商工会などが構成員に対して助言や支援を行うことで、個々の事業者だけでは難しい取り組みに対してフォローを求めている点も特徴です(第2条2)。
特に小規模事業者が多い埼玉県では、事業者団体による支援が実効性を高める鍵となります。
同様に、「顧客等」についても、商品やサービスの提供を” 受ける者 ”だけでなく“ 受ける可能性のある者 ”や“ 事業に関係を有する者 ”まで幅広く対象にしています。
このように、自社がどの立場で何を求められているのかを把握することは、適切な対策の第一歩になります。
県が提供する支援策|標準的な対策をサポート
埼玉県カスタマーハラスメント防止条例では、事業者が無理なく標準的な対策に取り組めるよう、以下のような支援事業を用意しています。
- 解説動画の提供(条例のポイントや標準的対策を分かりやすく学べる)
- オンラインセミナーの開催(事例紹介や専門家による解説を受けられる)
- 総合相談窓口の設置(事業者・従業員・県民が気軽に相談できる)
なお、企業に訪問して条例の解説などを行うコンサルタント派遣事業も行っていますが、令和8年度の派遣先数は事業者が30者以上(派遣回数は3回以内)と限定的なため、本項では取り上げません。
解説動画(条例のポイントを短時間で理解)
解説動画は、条例のポイントや、事業者が取り組むべき標準的な対策が短時間で理解でき、忙しい事業者や小規模事業者でも無理なく視聴できます。
条例について、「まず内容を理解する」ための入り口として、最適な支援事業といえます。
オンラインセミナー(事例や主体別の注意点)
オンラインセミナーは、埼玉県が実施する支援事業の中でも、事業者および事業者団体、顧客等、就業者といった主体別に、実務上の注意点などを伝えるためのものです。
オンライン開催のため移動の負担がなく、小規模事業者でも参加しやすい点も大きなメリットです。
セミナーでは、解説動画だけでは得られない「注意点」や「質疑応答」なども反映されます。
条例の内容を把握したうえで、「自社の場合はどんな対策が有効か」を考える際のヒントを得たい場合には、参加すると良いでしょう。
条例に関する総合相談窓口
総合相談窓口は、埼玉県が実施するサポート事業の中心となる取り組みであり、埼玉県内の事業者、埼玉県内の事業者で働く就業者、埼玉県内の顧客であれば、誰でも利用できます。
ただし、法律相談や、個別事案について「カスハラか否か」を最終的に判定することは、弁護士法に抵触する可能性があるためできないと思われます。
条例について分からないことがあれば、こういった窓口を利用することも有効です。
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必要最低限の対策だけを分かりやすくまとめました。

実務では「個別具体的な対応」が必要になる場面が多い
県の支援事業を活用することで、標準的な対策について、負担の少ない形で取り組むことができます。
しかし、実際の現場では、解説動画やオンラインセミナー、電話による一般的な相談だけでは判断しきれない「個別具体的な対応」が求められる場面が少なくありません。
また、カスハラの可能性があるケースでも、
「すぐに強い対応を取るべきか」
「まずは通常対応で様子を見るべきか」
「管理者が介入すべきか」
といった判断は、自社のガイドラインを踏まえ、現場の状況に応じた総合的な判断が必要になります。
このように、標準的な対策だけではカバーしきれない“現場ならではの判断”が求められるため、事業者は自社の実態に合わせた運用ルールや判断基準を整えておく必要があります。
カスハラ該当性の判断はケースバイケース
カスタマーハラスメントに該当するかどうかは、明確な線引きがあるようでいて、実務では「状況によって判断が変わる」ことが多いのが現実です。
実際、厚生労働省が公開している「指針」では、「業務の性質その他の事情に照らして社会通念上許容される範囲を超えた言動」の類型として、「物を投げつけること」や「わざとぶつかること」など複数の具体例を挙げられましたが、同時に、「労働者の問題行動の有無や内容・程度を含む様々な要素を総合的に考慮することが適当」と明記され、具体例に該当するものが直ちにカスハラであると言えない可能性があります。
そのため、カスハラ該当性の判断では、次のような視点が重要になります。
- 要求内容は正当か
- 要求の伝え方が社会通念上許容される範囲か
- 従業員の安全や尊厳を損なう言動があるか
- 業務の適正な運営を妨げているか
- 継続性・執拗性があるか
カスハラ対策の現場では、上記のような要素を総合的に判断する必要があるため、「条例に沿って対策する」ことがゴールではなく、それをきっかけに「自社の実態に合った実践的な対策を構築する」ことが欠かせません。
予め自社仕様の対策を構築しておくことが有効
カスハラへの対応は、暴言や暴力を伴う場合もあり強いストレスがかかるため、予め十分な対策を講じておかなければ、いざという時に適切に対応することは困難です。
特に、中小企業や小規模企業者では、現場にスタッフが少なく店長=社長ということも珍しくないため、1件カスハラが発生すると、その対応で営業の手を止めざるを得ないなど、甚大な影響をきたします。
そこで重要なことは、ガイドラインやマニュアルを整備し、従業員に研修をするなど、「こういう場面ではこうする」といった対策をあらかじめ講じておくことです。
この事前対策として、当社では、アセスメントに基づいた対策を推奨しています。
- 自社にとってのカスハラの定義を明確にする
- 実態を調査し、カスハラが起きやすい業務を洗い出す
- 優先順位を立て、リスクの高いところから対策する
適切なリスクの見極めにより、自社の実態に合った対策を予め構築しておきましょう。
条例に対応しないリスク(中小企業が見落としがちなポイント)
埼玉県カスタマーハラスメント防止条例は努力義務ですが、対応しないまま放置すると、中小企業ほど深刻な不利益が生じやすくなります。
分かりやすいところでは、以下のような直接的な被害が挙げられます。
- カスハラ対応に人手を取られ、事業に支障をきたす
- すぐ隣りで怒鳴り声を聞かされた顧客の満足度を低下させる
しかし、分かり難いですが、以下のような悪影響も深刻な被害と言えます。
つい見落としてしまいがちなことなので、以下で解説します。
企業イメージの毀損と採用力の低下
カスハラ対応が不十分な企業は、カスハラが起きた場合はもちろん、起きなかったとしても外部からの評価が下がりやすく、採用活動にも悪影響が出る可能性もあります。
例えば、ガイドラインやマニュアルなどで適切な対応の仕組みが無ければ、正当なクレームにも適切に対応できずにカスハラ扱いしてしまいかねず、顧客満足度を低下させてしまう可能性があります。
また、そのような顧客がSNSや口コミサイトで批判を繰り広げた場合、対応を記録する仕組みが無ければ、例え適切に対応していた場合でも顧客に対して事実関係を説明できないため、企業側が不利に評価されてしまうことになりかねません。
このようなやり取りにより、応募者に対し「適切に顧客対応ができない」や「従業員が守られない」というイメージを与えてしまうと、応募をためらわせることになります。
従業員の離職・メンタル不調
条例に基づく相談体制や対応方針が整っていない場合、カスハラ対応の負担が従業員個人に集中しやすくなります。
その結果、以下のような問題が発生することになります。
- 精神的負担の蓄積
不当要求や暴言への対応が続くと、ストレスが慢性化しやすい。 - 心身の不調による休職・離職
小規模事業者では代替要員が確保しづらく、現場の負担がさらに増す。 - 現場の士気低下
「会社が守ってくれない」という不信感が広がり、離職意向が高まる。
特に、3点目の「士気の低下」は、実際にカスハラが発生していなくても起きる可能性があるため、注意が必要です。
努力義務ではあっても、条例により全ての企業にカスハラ対策が求められるようになった中、自社だけが対策を怠ることは、従業員に対し「うちの会社は従業員の安全を大事にしていない」というメッセージになり、士気を大きく低下させる可能性があることには注意が必要です。
安全配慮義務違反のリスク
事業者には、従業員の安全と健康を守る「安全配慮義務」があります。
条例に対応しないことで、この義務を果たしていないと評価される可能性があります。
実際、これまでも事業者がハラスメント対策を怠ったことにより労災認定をされた事例が報じられたことはありましたし、厚生労働省のカスタマーハラスメント対策企業マニュアルでも、カスハラ対策を怠った企業に対する損害賠償が認められた事件などが記載されています。
今回、労働施策総合推進法で事業者の措置義務が定められたことに加え、県独自の条例でも事業者による対策が求められました。
にも関わらずカスハラ対策を怠り、カスハラに遭った従業員が前述のように心身の不調により休職や退職となった場合には、安全配慮義務違反による損害賠償が認められるリスクがあることには注意が必要です。
まとめ:県の支援策+専門家支援で“自社に合ったカスハラ対策”をしましょう
埼玉県のカスハラ対策は、県が提供する支援策を活用することで、条例について正しく理解し、条例に沿った対策のポイントを把握することができます。
一方で、実際のカスハラ対応は業種・規模・顧客層によって大きく異なるため、適切に対応するためには、条例に求められる対策だけでなく、対応フローやルールの見直し、個別具体的な状況を想定したマニュアルや研修などが欠かせません。
特に、目の前のカスハラの火を消すだけでなく、根本的な顧客満足度を高めるためには、条例に準じた一般的な対応だけでは困難であり、専門家のノウハウを活用しなければ大きく時間を要することになります。
そのように、県の支援策と専門家支援を組み合わせることができれば、無理なく実効性のあるカスハラ対策が進められます。
貴社のご状況を教えていただければ、埼玉県条例に精通した中小企業診断士が一緒に課題を整理しますので、お気軽にご連絡下さい。
