「言った言わない」クレーム対応の6つのポイントを具体的に解説

クレーム 言った言わない 対応
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中小企業診断士(経済産業大臣登録)
ProClaim合同会社 代表社員・花村憲太郎
クレームやカスハラを減らすだけでなく、顧客満足度を高めます。
3,000件以上の対応経験に基づいた、実践的で再現性の高いノウハウを持つ専門家です
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クレームやカスハラへの対応において、「言った言わない」の押し問答になってしまうことはよくあります。

目の前の商品に対する説明であれば、多少誤解があったとしても速やかな確認や解消に結び付きやすいです。
しかし、金融商品や保険商品など、将来の受取を前提としたサービスの場合は、時間の経過によって記憶が薄れたり、都合よく解釈してしまったりして、トラブルになることがあります。

例えば何らかの投資に対して、「損失のリスクを抑えるためには分散投資が有効です」と説明していたとしても、時間の経過とともに細かい点を忘れてしまい、含み損があることを知った段階で「分散投資したら損はしないと言われた!」と主張される場合などです。
このような場合、お客様の最大の目的は、損失の回避つまり金融機関などによる補填の可能性があり、担当者がちゃんと説明していたと回答するだけでは、「自分はそうは理解できなかった」など主張を曲げず、話しがこじれる一方となる可能性があります。

そこで今回は、「言った言わない」クレームへの対策として、今日から始められる5つのポイントを具体的に解説します。

クレーマー カスハラ、対策

「言った言わない」クレーム対応の6つのポイントを具体的に解説

余計な言い訳をせず、速やかに謝罪する

時折、「謝罪すると非を認めたことになるから」と、自社に責任があることを明確に確認できない限り、頑なに謝罪を拒む方がいらっしゃいます。

しかし、謝罪したら即、そのトラブルに対する責任を全面的に認めることになる訳ではありません。
むしろ、「言った言わない」の原因が小さな出来事であるなら、初期段階で真摯に謝罪してしまえば、その出来事に対してそれ以上クレームを入れる余地を最小化することに繋がります。

注意点としては、あくまでもお客様がご心配になったり腹立たしいお気持ちになったりといった心情に対する謝罪であり、事実関係の確認をしない段階でお客様のご主張を認めたと受け取られないようにすることです。

具体例としては、以下のような謝罪が考えられます。

  • お手数をかけて申し訳ございません。
  • 状況の確認に時間を要し、申し訳ございません。
  • ご気分を害されることとなり、申し訳ございません。

なお、お客様の温度感などによっては、上記のような謝罪をしてもなお、「詫びたっていうことは責任を認めたってことか」などと追及される可能性があります。
そのため、場合によっては「正式な回答は事実関係の確認後とはなりますが」など、一言添えてお詫びすることが有効です。

お客様のお話しを傾聴し、真のニーズを理解する

「言った言わない」の議論になっている時点で既に話しがこじれているので、謝罪だけでクールダウンすることばかりではありません。
そうなるとつい、自らの正当性や解決策を伝えたくなる場合があります。

しかし、そのようなことを伝えても、結局また、言った言わないの水掛け論になるだけの可能性があります。
そのため、真摯に謝罪をした後は、お客様のお話しをしっかり傾聴し、なぜお怒りなのか、どのようなことを望まれているのか、真のニーズを理解するようにします。

なお、「言った言わない」でトラブルになっている場合の傾聴時には、単に傾聴するだけでなく、以下のような外形的に分かる対応を心掛けましょう。

  • お客様の目をしっかり見ながら真剣な表情で聴く
  • お客様が見えるようにメモを取る
  • 「仰る通りです」「●●だったのですね」「それは失礼しました」など具体的な言葉にする

上司・上席者への交代や、複数名での対応を検討する

「言った言わない」のクレームに対して、担当者本人の対応ではらちが明かない場合は、その上司・上席者に交代することが有効な場合があります。

理由も無く「上司に代われ」と言われた場合には、安易に交代することは避けるべきですが、担当者自身の対応ではかえってこじれてしまい、交代することでお客様が少しでも落ち着いていただけると思われる場合には、上司・上席者への交代や、複数名で対応することも検討します。

注意点としては、以下のようなポイントが挙げられます。

上司・上席者は、担当者の味方ではなく、中立公平な審判役という姿勢を示す

上司・上席者に交代しても、あからさまに担当者の味方のような態度をしてしまうと、敵味方という構図が更に強化されるだけで、お客様の姿勢もますます敵対的になりかねません。

そのため、上司・上席者はあくまで、担当者の業務手順、作成した書類、説明内容などをチェックする立場で対応して行きます。

冒頭の例であれば、「損失の可能性は当社にとっても重要事項なので、お渡しするパンフレットでもこのようにお示しして、担当者も必ず説明するようにしております」などと冷静に事実関係を伝えながら、案内の適切性・担当者の正当性を説明して行きます。

論破しようとせず、お客様を保護するために何をしているかを説明する

冷静に事実関係を伝え、案内の適切性・担当者の正当性を説明しても、納得いただけずこちらの責任を追及される場合もあります。
しかし、そのような場合でも、お客様を論破しようという姿勢や、自社の正当性を主張するような対応は極力抑えます。

むしろ、「お客様を保護し、安心・安全にお取引していただくために、組織全体としてこういった対応をしています」といった一貫した姿勢を示して行くことが効果的です。

なお、大声、暴言、暴力など、目に余るようなカスハラが続く場合には、「ご要望には誠意をもって対応しますので、カスハラに該当する行為はお控え下さい。
そうでなければ、これ以上対応が続けられなくなります」などと牽制し、それでもなお暴力的な態度を改めていただけない場合は、速やかに警察への通報などを検討しましょう。

予め役割を決めておき、組織として対応する

上司・上席者といえども生身の人間であり、クレームやカスハラへの対応には相当なストレスがかかります。
また、複数名対応を勧めている対策本やコラムなどを目にすることもありますが、単に複数名で対応するだけでは、お客様が態度をますます硬直化させ攻撃的になってしまう場合もあります。
実際、報道で有名になったあるアパレルメーカーの土下座事件では、対応したスタッフは複数名であったと報じられていました。

また、土下座や暴力などの要求を排撃できたとしても、最悪の場合は、押し問答になり、自社のスタッフが加害者となってしまう可能性もあります。

そこで当社では、上司や上席への交代、複数名での対応、などをする場合でも、それらの人に丸投げにするのではなく、予め役割や対応フローを決めておき、組織として対応することを強くお勧めしています。

具体的には、お客様との折衝係りと、メモや記録の係りの他、警備員や警察への通報をする係りを決めておくことが有効です。

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面談・対応の記録を取り、場合によってはお客様にも確認する

「言った言わない」の発端として、お客様に一定の損害が生じている場合は、一度の対応でクローズすることが困難になり、前後の様々な対応を取り上げて「責任の一端は企業側にある!」と強弁し続けるなど対応が長期化することがあります。

また、そうならないようにと、先を急いで色々な証拠を示したり、理由の説明をしようとしても、お客様が納得して主張を取り下げるというよりは、むしろ争点が際限なく広がって解決が遠ざかるなど、逆効果になってしまうこともあります。

そこで、「言った言わない」のクレームに対応する際は、必ず、面談や対応の記録を取り、場合によってはお客様にもそのコピーを共有するなどし、認識を極力一致させるようにしましょう。
可能であれば、全社共通の面談シートなどを作成しておくと、漏れや対応フローの間違いを避けやすいので有効です。

また、内容の取捨選択は必要だとしても、自社が案内した内容を面談記録として共有することで、事後になって「あの時に●●と言われたはずだ!」「そんなことは聞いた覚えが無い!」などとちゃぶ台をひっくりかえされるリスクを最小化することにも繋がります。

無理に解決を目指さず、「平行線」のままで良しとする

自分の案内が発端となり「言った言わない」のクレームが平行線になっていると、つい、しっかり対応して解決させなければいけない、と思ってしまうことがあります。

しかし、対応が平行線になることは、決してネガティブとばかりは言えません。
むしろ、悪質なクレーマーにとっては、押しても引いても動かない毅然とした相手だ、と認識されることは、これ以上やっても時間の無駄だとクレーマーがフェードアウト=クレームやカスハラが収束する可能性があります。

平行線になって困るのは、私たち企業では無くクレーマーの側です。
そのため、クレームやカスハラへの対応の場では、結論を急がず冷静に対応し、平行線になってもそのままで良しとします。

なお、平行線になったとしても、その面談自体がいつまで経っても終わらない場合などは、平行線を維持したまま面談自体を終了させるため、以下のようなトークが有効です。

  • 私どもも今回は貴重なお話しを伺い、検討に時間が必要です。その間、即答頂かなくても結構ですので、私どもの提案についても、ご検討頂けないでしょうか。
  • 本日は大変重要なご指摘をいただき、ありがとうございました。少しお時間を頂きますが、ぜひ、社内で検討して行きたいと存じます。

2回目以降の面談日時は、こちらからは提案しない

クレーム・カスハラへの対応が平行線になった場合などは、結論を出すためには2回目以降も面談が必要な場合があります。

しかし、そういった面談について、企業側にとって必要なものでなく、そもそも「言った言わない」の原因がお客様のゴリ押しに過ぎないと判断している場合には、次回面談日はいつにするか、こちら側から提示する必要はないでしょう。

自社にとって必要な案内を終えているのであれば、それ以降の対応の目的は、そのトラブルに結論を出しお客様に納得していただくことではなく、飽くまで、お客様に主張や要求を収めていただければ事足りることになります。
そのため、わざわざこちらから、次の戦いのリングとなりかねない次回面談については、持ち出さない方が無難です。

なお、それでもお客様側から、次回どうするんだ?といった確認をされた場合は、柔らかく丁寧な物腰のまま、以下のようなトークをすることで、お客様からのリアクション待ちにして行くことが有効です。

  • もちろん、当社の対応に問題が無かったことについては、私どもの時間の許す限り、誠意をもってお話しいたします。当社でも社内で確認・検討しますので、今しばらくお時間をいただけますでしょうか。
  • 当社でも非常に重要なご指摘をいただいたと認識しており、少しお時間をいただかなければなりません。恐れ入りますが、●月以降のご都合の良いタイミングで、改めてご連絡いただけますでしょうか。

また、上記のように案内をしてもなお、「じゃあいつになるんだ」などと追及される場合には、お客様がクールダウンしてくれるように、十分な間隔を空けて次回候補日を提示することをお勧めします。

まとめ | 個人任せにしない組織的な対策の仕組みが重要

「言った言わない」クレームへの対応は、「言っていません」と言い切るとお客様が間違っている(または嘘をついている)と主張することになり、新たなクレームになりかねません。
一方、「そう聞こえたなら申し訳ありません」といった中途半端な謝罪では、「聞こえたこっちが悪いと言うのか!」など、火に油となることがあります。

そのため、言葉尻を捕らえられ、その担当者とお客様だけの閉じられた世界の中で延々長期化してしまうことがあります。
そして、閉じられた世界での対応になってしまった場合は、契約書やパンフレットの該当箇所など、明確な証拠書類を見せたとしても、「そんな話しは聞いていない」などと言われ、押し切られてしまうことになりかねません。

そうならないためには、本コラムで解説したようなポイントを参考にしながら、組織的に対策していくことが有効です。


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