女性を採用するメリットと選考方法について 長く働いてもらうためにすべきこととは?

近年「女性活躍推進法」などの影響で、女性を積極的に採用する企業が増えてきました。しかし、今まで女性の採用が少なかった職場では雇用にあたって不安を感じているケースも少なくないでしょう。
例えば、女性は妊娠や出産などのライフイベントが多いため、家庭と仕事を両立しにくい環境では辞めてしまうリスクも高まります。

今回は、女性採用のメリットや企業が注意すべきことについて解説。女性が働きやすい職場は、企業にとってもプラスに作用するはずです。

女性を採用するメリットと選考方法について 長く働いてもらうためにすべきこととは?

女性採用のメリット

女性採用により行政からの支援を受けられたり、企業成長に繋がるメリットもあります。それでは、4つのメリットを確認していきましょう。

人材確保の幅が広がる

日本では少子高齢化による労働人口の減少が課題となっています。これまで男性のみを採用していた企業は、女性も積極的に採用することで一気に応募者の幅が広がるでしょう。

近年は育児後も長期的にバリバリ働きたい女性が増えており、事務職だけでなくスキルアップが求められる技術職を選択する女性も多いです。
また、日本は女性の大学進学率が高く、企業にとっても優秀な女性を採用できる可能性が十分にあるといえます。

企業のイメージアップにつながる

女性が活躍できる企業は、取引先にだけでなく顧客や世間一般に対してのイメージアップにつながります。近頃は女性の活躍を期待する世間の声も多いですが、実行できている企業は意外と少ないのが現状です。

女性が働きやすい環境は、性別に関係なく労働者にとって働きやすい制度が整っている職場になります。女性が長く働けて女性管理職の割合が高い企業は、世間や求職者の視点から見ても好印象でしょう。
また、企業の受付や窓口に、物腰柔らかな対応のできる女性を採用することで、企業イメージ向上につながる可能性もあります。

ダイバーシティの促進が期待できる

働き方改革により、企業におけるダイバーシティ(多様性)の推進が注目されています。組織内で性別や国籍、働き方、ライフスタイルなどのさまざまな属性をもった人材の活用を促進する取り組みです。

多様性のない職場環境では、「男は残業して当たり前」「女はお茶汲み要員」のような固定観念に囚われやすく、本来持つ個々の強みを発揮できません。また、さまざまな事情を抱える人材が活躍できる職場環境でなければ、従業員がすぐに辞めてしまう悪循環が生まれてしまいます。

女性を採用し企業がダイバーシティを促進することで、生産性の向上や従業員の満足度向上にもつながるはずです。

行政や投資家からの支援が得られる

女性を採用することにより、公的機関や投資家からの支援が得られる場合があるでしょう。

まず、仕事と家庭の両立支援や女性採用の促進・活躍推進に取り組む企業に対して国から支払われる助成金として、「両立支援等助成金」があります。主に、中小企業が男性の育児休業取得促進や仕事と介護・育児の両立支援に役立てられる助成金です。

次に、女性活躍推進の取り組みに対して一定の基準を満たした企業は、厚生労働大臣から「えるぼし認定」などが認定され、公共調達や低金利融資において優遇されます。

認定マークを自社製品につけることができ、世間へのアピールにもなります。同時に、ESGに取り組む企業であることをアピールできるため、ESG投資を行っている投資家から支援を得られる可能性が高まります。

参考:【ESG経営とは?】取り組み事例と始め方を解説します

「女性活躍推進法」について

2015年8月に成立した「女性活躍推進法」は、女性が活躍できる場を充実させ、仕事と生活の両立ができる体制づくりを企業に求めた法律です。

2022年4月の改正では、これまでの「常時雇用する労働者が301人以上の事業主」の対象から「常時雇用する労働者が101人以上の中小企業」も女性活躍推進法の適用対象になりました。対象事業者は、男女賃金差異の算出や情報の公表が必須となっています。

企業が積極的に取り組むことで、優秀な人材の確保や職場の定着率などのメリットがあるでしょう。
また、厚労省の『えるぼし』に認定されることができれば、補助金の加点要素になる場合もあります。

厚生労働省:女性活躍推進法特集ページ(えるぼし認定・プラチナえるぼし認定)

女性を採用するために企業がすべきこと

妊娠や子育てなどライフステージの変化が多い女性を採用する際に、企業には安心して働ける職場環境や社内制度が求められます。

具体的にどのような取り組みをすべきか3つのポイントでみていきましょう。

女性の活躍を推進するサポート体制

企業として女性がキャリアアップをめざせるようなサポート体制をつくりましょう。女性社員に対して、長く働くことを見据えたキャリアプラン設計を企業がバックアップすることで、出産や育児と仕事の両立を叶えやすくなります。

【具体的な取り組み例】

  • 主体的にキャリアを形成する自律の意識を高めるための支援
  • キャリアプランを本人と上司で打ち合わせるキャリア面談の実施
  • 女性労働者に対して積極的で公正な育成・評価をするため、上司に対する研修実施
  • 保育サービス利用時の補助
  • 両立支援制度利用者の代替要員確保やサポート体制作り

社員一人ひとりのスキルやキャリアプランが異なるため、オーダーメイドのキャリア支援が必要です。

女性管理職の採用

国で女性の活躍が推進されていても、日本は未だ女性管理職の割合が少なく、管理職に就くことに不安を感じている女性も多いです。また、自身のキャリアについて考えるときも、身近に女性の上司がいるとイメージが沸きやすくなるでしょう。
管理職を目指す女性社員を増やすために、管理職になるにあたっての研修を行ったり、管理職でもライフイベントを迎えた際には柔軟に働ける環境づくりを行ったり、社内制度の整備が重要です。

また、女性に対してだけでなく社内全体に周知することも重要です。「女性は管理職に向いていない」などの固定観念を取り除くために、セミナーを実施してもいいかもしれません。

出産後・育児中も安心して働ける職場環境

女性社員に長く定着してもらうには、結婚や妊娠、出産などのライフイベント後も働きやすい環境づくりが重要です。

【具体的な取り組み例】

  • 時短勤務や在宅勤務への理解
  • 子育てをしながら働ける職場風土
  • 男女がともに両立支援制度を利用できるサポート体制
  • 子供の病気など、急な休みに対応できるサポート体制
  • 保育サービス利用時の補助

女性社員本人だけの問題ではなく、職場全体の理解やサポート体制が求められます。
管理職に対する研修や、育児休業を取得しやすい環境づくりを行いましょう。

女性が多い職場ならではの留意点やトラブル

女性が多い職場ならではの特徴として、コミュニケーションや相互支援が盛んであることが挙げられます。その反面、人間関係がうまく構築できないと職場に居づらくなってしまうかもしれません。

女性が多い職場で男性上司が注意すべき点や、女性従業員間のあるあるについて紹介していきます。

男性上司(マネージャー)の留意点

もともと男性は理論的に考える傾向が強く、女性は感情的に考える傾向があります。女性が多い職場では、共感を重視したコミュニケーションや周りとの一体感を心がけましょう。

また、女性社員に対して平等に接することが重要です。おしゃべり好きな女性同士で妬みやひがみが生じると職場の雰囲気が悪くなり、仕事に支障がでてしまうこともあります。

女性が多い職場で男性がうまく立ち回るには、基本的に会話は聞き役にまわり、多少のおしゃべりは許容するようにしましょう。そして、力仕事を率先しておこなったり、身だしなみの清潔感に気を遣ったりするのもポイントです。

女性従業員間で起こりやすいトラブル

女性が多い職場では、主に人間関係のトラブルが増えがちです。その理由として、女性はおしゃべり好きが多く、コミュニケーションを重視する傾向にあることが挙げられます。

できるだけ噂話や仕事の愚痴が多い女性とは距離をとったり、意地悪な女性とは公私混同しない付き合いをしてもいいかもしれません。

ただしコミュニケーションを図ることで、女性の細かな気遣いに触れて嬉しく思ったり、周りの目を気にすることで身だしなみを意識したり、ポジティブな影響も多いでしょう。

女性採用を成功させるための3ステップ

実際に企業の人事担当者が女性採用を成功させるための手順を3ステップで解説します。

求める人材のペルソナを設定

採用活動で重要となるのがペルソナ設定です。ペルソナとは具体的な人物像のことで、「年齢、性別、居住地、職業、役職、年収、趣味、特技、価値観、生い立ち、ライフスタイル」などの項目から自社が求める人物像をあらかじめ設定しておきます。

女性を採用したい場合、子供の有無やライフスタイルなども気にしたいポイントです。例えば、「子供の保育園の送り迎えがある」「独身実家住まいで家での時間に余裕がある」など、ターゲットの置かれている環境によって変わります。

女性に刺さる求人情報を作成

女性は職場の雰囲気を重視して応募先を決める傾向があるため、職場の雰囲気が伝わるような求人情報を作成しましょう。
清潔感のあるおしゃれなオフィスの風景写真、仲の良さが伝わるスタッフの写真、女性が長く働ける体制、女性の活躍状況、勤務時間と休日、休暇制度について記載するのがおすすめです。

また、育児中の女性にとって、時短勤務制度や育児休業の取得率などの実績が載っている求人が魅力的に感じます。

女性の求職者が多い媒体も活用

業務内容にもよりますが、総合型の転職サイトだけでなく女性の求職者が多い求人サイトの活用がおすすめです。

【女性が多い求人サイト】

そのほか、人材紹介は基本的に成功報酬型であるため、費用をかけずにピンポイントで女性の採用を決められます。

人材派遣は、家事や育児をしている女性にとって比較的融通の利きやすい働き方であるため、女性の登録も多いです。人材派遣や紹介方派遣は一定期間働いた後に正社員への切り替えも可能なため、まずは派遣社員として働いてもらい、双方の合意の上で正社員として再契約することもできます。

まとめ

企業が女性を採用することで優秀な人材を確保する幅が広がり、ダイバーシティの促進につながるなどのメリットがあります。

また、女性活躍推進法に基づき、企業は女性も活躍できる場を充実させなければなりません。女性が働きやすい職場はさまざまな制度が整っており、誰でも働きやすい職場といえるため、社員全体の満足度もあがるでしょう。

女性を採用するためには、会社全体での意識改革やサポート体制を整えることが重要です。出産・育児などのライフイベントでも仕事との両立を実現できれば、企業への定着率もあがるはずです。

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花村広報戦略合同会社
花村 憲太郎(Kentaro Hanamura)

15以上の仕事を経験後、サービス業のカスタマーケア部門のマネージャーとして、従業員教育や顧客満足度の向上に関わる各種施策を担当。平行して、中小企業診断士としてスモール・ミドルへのコンサルティングを経験。その後、自社と社外の任意団体で広報を担当し、プレスリリース、記者会見、メディア対応などを実施。 社内外での広報PRと経営の支援を通じ、広報戦略と経営戦略との一体的な対応により、自社の魅力を継続的に社内外に伝えることが重要であるとの想いを強くし、起業に至る。