メディアリレーションのやり方 3ステップで解説

(参考記事)

メディアからの取材対応 広報PR担当者が抑える6つのポイント
メディアに掲載されるプレスリリース7つのポイント
プレスリリースのやり方/必ず押さえる5つのポイント
刺さるプレスリリースの書き方/7つの基本と背景を解説

これまで、広報PRの仕事としてプレスリリースについてお伝えして来ました。
しかし、何度かお伝えして来た通り、プレスリリースを出したからと言って、簡単に取材やメディア掲載が実現する訳ではありません。大多数のプレスリリースは全く見られないか、見られてもほんの数秒で、日の目を見ること無く終わります。
そうならないようにするためには、プレスリリースの前後のアクションとして、いわゆる『メディアリレーション』を実施することが重要です。
メディアリレーションとは、企業や団体がメディアとの関係を構築し、情報発信や露出機会を増やすための活動です。

メディアを通じて自社の製品やサービス、取り組みなどを積極的に発信してもらうためには、自社のブランディングやイメージアップを行い、商品やサービスが解決する社会課題、メディアにとってのニュースバリューなどを継続的に伝え、メディアや報道機関からの信頼を獲得する必用があります。
本コラムでは、このメディアリレーションについての基本的なアクションを解説いたします。

メディアリレーションのやり方 3ステップで解説

事前準備

広報PRの仕事と言えば、自分の名前の入ったプレスリリースが報道されたり記者会見の司会進行をしたりなど、華々しいシーンを想像する方が多いと思います。しかし、そういった華々しい仕事を成功させるためには、地道なメディアリレーションの継続が不可欠です。

例えば、同じテーマであっても、全く見ず知らずの会社から突然送られてきたプレスリリースを掲載するのは躊躇するかもしれませんが、ある程度関係を築き、自社の専門性などについて信頼してもらっている状態であれば、少なくても躊躇や警戒心は無くなります。極論すれば、記者との間に十分な信頼感家を築き専門家と認知されており、直接情報提供することで取材や掲載に繋がるなら、わざわざプレスリリースなど送る必要もありません。

もちろん、メディアとの人間関係だけで掲載に繋がるなどということはありませんが、自社への理解を高め信頼を獲得するため、日頃から関係作りが重要です。

メディアリサーチの実施

貴社が商品やサービスを掲載して欲しいのは、具体的にどんなメディアでしょうか。

テレビなら番組名やコンセプト、コーナー、ディレクター、放送日時、最近の放送内容などを確認し、ターゲットメディアを選定しましょう。雑誌なら、コンセプトやコーナーに加え、主要読者層、地域、曜日、最近どんな記事が取り上げられているかなどを確認しましょう。

新聞なら、当然、全国紙の経済を希望するかもしれませんが、よほどのニュースバリューが無い限り、最初から全国紙への掲載は少しハードルが高いかもしれません。新聞はわらしべ長者のようなところがあり、地方紙や専門紙で話題になった情報が全国紙でも取り上げられることが少なくありません。ですから、最初は掲載の確率を高めるため、地方紙や専門紙の中からターゲットメディアを選定し、コーナーや最近どんな記事が取り上げられているかなどを確認するのが良いでしょう。

メディアリストの作成

メディアリサーチによりターゲットメディアを選定したら、メディアの連絡先を確認し、メディアリストを作成しましょう。情報ソースとしては、最近はWEBサイトを確認すれば、個別のメディアやコーナー、連絡先まで掲載されている場合が少なくありませんし、掲載されていない場合でも、後述の通り代表電話に直接電話して尋ねたら、たいていの場合は教えてくれます。また、住所や電話番号をまとめて把握したい場合は、日本パブリックリレーションズ協会が発行している『広報・マスコミハンドブック PR手帳』も便利です。

なお、ここでリストを作成する目的は、単にプレスリリースを送るだけでなく、メディアへのアフターフォローやレスポンスがあった時にしっかり対応できるようにすることです。そのため、リストの項目としては、社名、メディア名、電話番号などの基本情報だけで無く、担当者名、メールアドレス、直通番号、対応履歴なども残せるようにしておくと良いです。
情報項目が増えると管理負荷が増えて運用が大変ですが、最近は使い勝手の良いCRMツールも多く出ています。リストが少ないうちはエクセル管理でよいと思いますが、リストが増えてきたらそういったツールを使って管理することを検討しても良いでしょう。

メディアへの事前アプローチの実施

メディアリストを作っても、すぐにプレスリリースを送るのではなく、できるだけ事前に電話を入れるようにしましょう。ちゃんと社名や氏名を名乗って担当部署につないでもらい、「当社は●や◎の取り組みをしております。貴社の▲の記事を拝見し、当社の情報がお役に立つと思いプレスリリースを送りたくご連絡しました。これからすぐ送りますので、ご確認をお願いできますか」などとストレートに伝えれば、ほとんどの場合は対応してもらえます。

ポイントは、以下の通りです。

担当記者の名前や直通の連絡先を確認しておく

アフターフォローや今後のメディアリレーションのため

継続的に連絡をする

例えば、担当記者の関連記事を見たら、感想に自社の情報をさりげなく添えて送るなど
(「記事への感想」として封書で送ればほとんどの場合は目を通して貰えます)

初回だけで無く、毎回事前アプローチをする

数多くの中から自社のプレスリリースを確実に見付けてもらうためなので、貴社と関係を作ってからもアプローチは必要

人員に余裕がある場合は、定期的に以下のような対応を行っても良いでしょう。

メディアオーディット

目的に応じて予め選定した複数の記者に個別でヒアリングを行い、企業の認知度、イメージ、広報PRへの評価をヒアリングし、記者の目から見た企業の評価する調査。

メディアキャラバン

自社の製品・サービスのサンプル、資料、プレスリリースなどを持ってメディアを訪問し、自社への理解を深めるための情報を提供する広報PR活動。

プレスリリースの実施

プレスリリースの作成については前記の参考記事で詳述したので、ここではポイントのみお伝えします。

プレスリリース作成のポイント

ひと目で内容を理解し、興味を持ってもらえるようにするため、以下の様なポイントが重要です。

とにかくタイトルにこだわる

  1. 2行以内、計30文字以内でまとめる
  2. 読み手が興味を持ってくれそうなキーワードや重要度の高い情報から先に入れる
  3. 具体的に書く(KISSの法則(Keep it short and simple)、数字、固有名詞を記載)
  4. 形容詞や副詞は使わない(「すごく」「とても」などの主観的表現はNG)
  5. 小見出しと改行で可読性を高め、ぱっと見でどこにどんな情報があるか分かるようにする

全体を通じた注意点

  1. 「宣伝して欲しい」「世の中に訴えて欲しい」といったことを書くのは厳禁
     →メディアが捜しているのは飽くまでニュースネタ、「広告・宣伝ならカネを払ってやってくれ」となる
  2. 極力、A4で1枚以内にまとめる(根拠データや写真などが不可欠な場合は、「別紙」として添付する)
  3. リード文の中で5W2Hを網羅する(基本的な情報に対し、読み手に疑問を抱かせない)
  4. 専門用語やカタカナ用語は使わない(使用せざるを得ない場合は簡単な解説を添える)
  5. 発信者の情報を開示する(社名、氏名、連絡先、略歴など)

アフターフォロー

プレスリリースをメディアに送ったら、できるだけ個別に連絡をし、簡単で良いので感想を聞きましょう。
なお、編集権や掲載の決定権を持っているのは飽くまでもメディアの側です。プレスリリースの配信時と同様、掲載をゴリ押ししたり、内容についてしつこく口出ししてしまわないように気を付けましょう。

メディアからのフィードバックを反映させる

もし、「もうちょっとここが知りたい」「こういう情報があれば」といったフィードバックを得られたら、すぐに該当する情報を送りましょう。または、そういった情報を反映させたプレスリリースを送り直しても良いです。
お伝えして来た通り、プレスリリースが1回で成功する可能性はほとんどありません。ですから、メディアからの貴重なフィードバックを得られたら必ず反映し、切り口を変え、メッセージやキーワードを見直しし、プレスリリースをブラッシュアップしながら何度でも送ってみましょう。

効果測定を行う

メディアに掲載されたとしても、それで終わりではありません。
ターゲットメディアには取り上げられたのか、その時のトーンはどうだったのか、キーワードは反映されていたのかなどを検証し、次のプレスリリースや広報PR活動に反映する情報を抽出しましょう。

リストのメンテナンスを行う

メディアリレーションは、非常に重要な仕事ですが、地味で時間のかかる仕事でもあります。簡単に思えるかもしれませんが、メディアリストが増えて200件を超えてくると、感覚的には、1担当者が他の業務も抱えながら本コラムで紹介した全ての対応を継続することは不可能です。ですから、プレスリリースと同様に、重要度に応じて管理レベルを分けることが有効です。

注意点としては、上記の重要度は、必ずしもメディアの掲載実績やレスポンスとは一致しない、という点です。自社の業種・業態、戦略などに基づいて“重要”と位置付けたメディアへの掲載状況がイマイチなら、管理レベルを上げ、その分、優先度の低いメディアへの対応は簡略にするといった視点が無ければ、時間の経過とともに妥協して行き、使い物にならないリストになってしまいます。

まとめ

メディアリレーションの要諦は、あくまでもメディア・報道機関との信頼の構築です。
上記のように説明すると、仲良くなれば掲載してもらいやすくなると考えて「接待でもしようか」と関上げる方もいらっしゃいますが、それで掲載に繋がることはありません。もちろん、仲良くなれば酒席を共にすることくらいはあると思いますが、プロの報道機関に対して「だから掲載してくれ」などとリクエストするのは完全に逆効果であり、敬遠されかねません。例え酒席であっても、メディアに対しては、専門的な情報、ニュースバリューのある情報、自社が持っている独自の情報など、記者が興味を持っている情報を伝えることが信頼感に繋がり、いざという時の掲載に繋がります。

ポイントは、記者が興味のある情報を提供し続けられるように、リストを管理し、履歴を共有し、組織的に対応して行くことです。弊社では、組織作りからメディアリレーションの実務まで、包括的にご支援をしておりますので、広報PR活動でお悩みの方、これから強化したい方は、お気軽にご相談ください。

著者のイメージ画像

花村広報戦略合同会社
花村 憲太郎(Kentaro Hanamura)

15以上の仕事を経験後、サービス業のカスタマーケア部門のマネージャーとして、従業員教育や顧客満足度の向上に関わる各種施策を担当。平行して、中小企業診断士としてスモール・ミドルへのコンサルティングを経験。その後、自社と社外の任意団体で広報を担当し、プレスリリース、記者会見、メディア対応などを実施。 社内外での広報PRと経営の支援を通じ、広報戦略と経営戦略との一体的な対応により、自社の魅力を継続的に社内外に伝えることが重要であるとの想いを強くし、起業に至る。