カスハラ対策基本方針(ガイドライン)作成の6ステップを専門家が徹底解説
| 本コラムは、小売・飲食・運送など中小サービス業の経営者・責任者の方向けに、現場で機能するカスハラ対策ガイドラインの “作成ステップ” を整理したものです。 |
ガイドラインに含める要素(入れる内容)については、こちらのコラムで詳しく解説しています。
カスタマーハラスメント(カスハラ)や悪質なクレームへの対応では、現場任せにしない会社や組織としてのガイドラインづくりが欠かせません。
どのような行為がカスハラに該当し、どのように対応するのか、従業員にとって明確でなければ、現場はその場しのぎでしか動けなくなり、離職や炎上などのリスクに直結します。
| 事例紹介 |
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| 筆者がコールセンターで勤務していた時は、基本方針が不明確な修理受付センターでは、3か月以内の新人離脱率が40%近くになっていました。 2ヶ月まるまる研修した新人がOJT開始直後に退職してしまうと、採用費、研修費、法定福利などを合わせると1人あたり60万円近くもの損失となり、運営コストを大きく膨らませていました。 近隣の大学に悪評が広まり、採用に苦戦するようになったこともあります。 しかし、その後配属された基本方針の明確な通販コールセンターでは、3か月以内の新人離職率はわずか10%以下でした。 |
もちろん、両センターは基本方針の他にも、様々なことが違っていました。
しかし、その”違い”の根幹が、基本方針にあったことは確かです。
また、現在は労働施策総合推進法の改正や自治体の条例化により、全ての企業にカスハラ対策が義務付けられたため、基本方針=ガイドラインの重要性が一層高まっています。
カスハラ対策を誤ると、離職・採用難・SNS炎上・法的リスクが一気に高まります。
特に中小企業では、1人の離職が売上に直結するため、ガイドラインの整備は“重要な経営課題”です。
そこで本コラムでは、ガイドライン作成のプロセスを6つのステップで整理し、実効性を持たせるための考え方を、具体的にご紹介します。
| 自社に合ったガイドラインが整うと、現場の迷いが減り、離職・炎上リスクが大幅に下がります。 組織として一貫した対応ができるようになり、顧客満足度も安定します。 |
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以下のような状況に当てはまる場合は、ガイドラインの整備が必須です。
✅カスハラに遭ったことがある
✅まだガイドラインを作成していない
✅カスハラの定義が社内に共有していない
✅対応フローが明文化されていない
✅経営者が自分の言葉で発信していない
一つ以上当てはまる場合は、早めにご連絡ください。
貴社のご状況を踏まえて、課題と優先順位を整理します。
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カスハラ対策基本方針(ガイドライン)作成の6ステップを専門家が徹底解説
<ステップ1>自社の経営理念や経営目標を確認する
大前提として、ガイドラインは単独で存在するものではありません。
自社の経営理念や経営目標の下で、それを阻むカスハラに対処するためのものであるべきです。
明確な経営理念に基づいたガイドラインと、具体的なルールやマニュアルを整備することで、階層的で一貫してブレないカスハラ対策へと繋がります。
経営理念や経営目標と一体のものでなければ、ガイドラインも場当たり的な内容になってしまい、「結局何を達成したのか」が分からなくなります。
経営理念に基づいた明確なガイドラインを作成し、体制や権限などのルールを整備し、具体的な業務フローや作業手順をマニュアルにしていくことが、階層的で一貫してブレないカスハラ対策へと繋がります。

<ステップ2>状況を調査し実態を把握する
ステップの1つ目は、状況の調査です。
以下のようなアプローチを通じ、自社の置かれている状況を調査し、実態を把握しましょう。
| カテゴリ | 内容 |
|---|---|
| 1. 経営資料の再確認 | ・ミッション、ビジョン、バリュー、経営理念 ・競争環境、課題、経営目標、中期経営計画 ・顧客対応に対する考え方 |
| 2. 文書や記録の確認 | ・過去のクレームやカスハラの報告書や従業員の対応履歴 ・現在のガイドライン、作成経緯、規程類、マニュアルなど ・クレームやカスハラへの教育やトレーニングの内容 |
| 3. 公的情報・業界動向 | ・改正・労働施策総合推進法 ・各自治体の条例(例:埼玉県では2026/7/1から施行) ・取引先、同業他社、業界団体など |
| ガイドライン作成の第一歩は、自社の状況を把握することです。 状況を把握しないままガイドラインを作成しても、形骸化するだけです。 |
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厚生労働省のマニュアルを元に、5分で自社の対策状況を確認できるチェックリストを進呈しています。
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<ステップ3>従業員から実態の共有を受ける
ステップの3つ目は、なるべく早期に、実際のカスハラ事例の共有を受けることです。
実際にカスハラ対応をした経験のない経営層は現場の深刻さを実感しにくいこともあり、例えば「新品交換:2台」とだけ書かれた報告では、「それくらいなら必要経費だろう」とカスハラに気付いていなかった可能性もあります。
また、そもそも今までカスハラ対策に取り組んで来なかった組織の場合、従業員は経営層に報告する習慣や報告する社内ルートが無く、ただ静かに退職しているだけだった、ということもありえます。
こうした温度差が残ると、必ず、ガイドラインは形骸化します。
温度差をなくすためには、自社で実際に発生し従業員が対応に苦労し、心労を重ねているハードクレームやカスハラへの具体的な対応状況を共有し、切迫感を持ってもらうことが重要です。
| 従業員からのヒアリングのポイント |
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| 現場の従業員に対し直属の上司がヒアリングをしようとしても、既に気付いている以上のことは聞き出せなかったり、ガス抜き程度に思われて本音を引き出せなかったりする場合があります。 そうならないようにするためには、経営者から以下のようなメッセージを伝えることが有効です。 ☑ 不利益な取り扱いをしないことを宣言する ☑ 外部の専門家を窓口とする |
<ステップ4>自社のカスハラを定義する
ステップの4つ目は、「自社にとってのカスハラとは何か」を明確に定義することです。
法律や条例の定義をそのまま使っても良いですが、もし、自社の事業特性や業界慣行などによって付け足す要素があれば、付け足しても良いでしょう。
参考までに、改正労働施策総合推進法では、カスハラの定義を、職場で行われる以下の3つの要素をすべて満たす行為をカスハラとしています。
- 顧客、取引先、施設利用者その他の利害関係者が行う
- 社会通念上許容される範囲を超えた言動により
- 労働者の就業環境を害すること
ポイントは、個々の行為ではなく、経営理念・経営目標を棄損する行為を挙げることです。
ビジネスモデルにもよりますが、「安心」「安全」「迅速」を妨げる行為など、自社が大切にしている価値観から逆算すると良いです。
| ガイドラインづくりは、経営者が一人で判断するには負担が大きいテーマです。 判断を誤ると、現場の混乱や連鎖的な退職につながることもあります。 |
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上記の内容だけでは「難しい」と感じる場合は、離職・炎上・法的リスクを防ぐため、優先的に抑えるためのポイントを抑える資料をご活用下さい。
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<ステップ5>基本方針を『ガイドライン』として明文化する
ステップの5つ目は、実態に基づいて、カスハラ対応の基本方針をガイドラインとして明文化することです。
なお、ガイドラインは、従業員やお客様だけでなく、株主、取引先、就業希望者など社内外多くの関係者の耳目に触れ、理解を得て行くものとなります。
そのため、例えばお客様にはポスター、従業員にはリーフレット、就業希望者には会社説明資料などにして、ガイドラインのエッセンスを分かりやすい形で伝えていくことが重要です。
また、そのような多様な関係者の耳目に触れるため、カスハラへの基本的な対応方針に加えて、なぜそのような対応が必要なのか、それにより何を目指すのか、背景や目的などについても分かりやすく記載しましょう。
クレームをカスハラにさせないための対応フロー作りにお困りの方は、詳しく解説したこちらのコラムもあわせてご覧ください。
<ステップ6>経営者が自らの言葉でしっかりと発信する
ステップの6つ目は、作成したガイドラインを、経営者が自らの言葉でしっかりと発信することです。
クレームやカスハラへの対応は大きなストレス・プレッシャーがかかるため、従業員にとっては、自ら取り組もうと思えるような仕事ではありません。
そのような仕事に対し、ただ単に「ガイドラインを作りました」「この通り対応して下さい」というだけでは、現場に受け入れてもらうことは困難です。
そのため、当事者意識やカスハラ撲滅への決意など、経営者が自らの強いメッセージで繰り返し伝えて行くことが極めて重要です。
まとめ|現場が迷わないガイドラインが企業を守ります
ガイドラインは作成して終わりではなく、現場が迷わず判断でき、組織として一貫した対応ができる状態に落とし込んでこそ機能します。
どれほど立派なガイドラインを作っても、判断基準が曖昧だったり、共有や教育が不十分であれば、結局は属人的な対応に戻ってしまい、再発防止にもつながりません。
そのため、ガイドラインは“作ること”だけでなく、自社に合った現実的な運用設計が重要です。 本コラムの内容を自社に当てはめて具体的に相談したい、どこまで具体化すべきか専門家に相談してみたい、といった場合は、ぜひお気軽にご連絡ください。
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| 不安や迷いを抱えたまま放置すると、現場の負担は確実に増えます。 今のうちに、専門家と一緒に課題を整理しておくことを強くお勧めします。 |
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労働施策総合推進法が改正され、全ての企業にカスハラ対策が義務化されました。
しかし、ガイドラインづくりは、 「何を入れるべきか」 「どこまで線を引くべきか」 「現場が本当に運用できるのか」 といった判断が難しく、経営者だけで抱えるには負担が大きいテーマです。
こうした“経営判断の迷い”を解消するために、 当社では無料相談をご用意しています。
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