社内広報の事例紹介 リモートワーク時代に成功するポイント

コロナ対応でリモートワークを導入して以降、以下のような声を聞くことが多くなりました。
「何となく社内の空気が停滞しているように感じる」
「日常業務はうまく行っているけれど、創造的なコミュニケーションや新商品・サービスが生まれにくくなった」


一方で、リモートワークの導入以降の変化に気付いてはいても、一度導入したリモートワークを完全に止めることは困難です。特に、PCやモニター、各種ツールなどにしっかり投資し環境を整えた場合は、尚更難しいでしょう。しかし、リモートワークの環境変化をしっかり把握し、その変化に対応した社内広報を行うことで、上記のような停滞感は解消できる可能性があります。

今回は、アフターコロナにおけるリモートワークで社内広報を成功させるための、具体的なポイントをお伝えします。

社内広報の事例紹介 リモートワーク時代に成功するポイント

アフターコロナ時代の広報PRの変化

長く続くコロナの影響により企業活動と消費者の生活スタイルが、以下のように大きく変わりました。
社内広報の役割や業務内容も、このような変化に対応して行く必要があります。

  1. デジタル化の進展
    オンラインでのビジネスやコミュニケーションが増え、企業はよりオンラインにおける広報活動を強化する必要があります。
  2. リモートワークの普及
    従業員がリモートワークをするため、企業は従業員とのコミュニケーションのための新しい方法を模索する必要があります。
  3. ソーシャルディスタンスの拡大
    コロナ禍での社会的な距離感が広がったため、企業は顧客とのコミュニケーション方法を変える必要があります。
  4. 健康と安全への注力
    コロナ禍での健康・安全に対する関心が高まり、企業は自社の健康・安全対策を積極的に広報する必要があります。
  5. ソーシャルイノベーションの重要性
    コロナ禍での社会問題が浮き彫りになったため、企業はソーシャルイノベーションに取り組むことで社会的貢献をアピールする必要があります。

【背景】リモートワークの普及により、上司・部下ともに不安が広がっている

リモートワークの普及によりコミュニケーションが停滞し、孤独感を感じるようになったといった声もよく聞くようになりました。パーソル総合研究所が2020年に発表した調査結果でも以下のようになっており、部下・上司の双方で約4割が、「相手の気持ちを察しにくい」ことに不安を感じていることが分かっています。

テレワークを止めるだけで内心を理解できるほど簡単な問題ではありませんが、会社、事業、課題、担当業務など、社内の様々なメンバーを理解するうえでの前提となる情報がしっかりと共有できるように、社内広報の重要性が以前にも増して高まっていることを示すものであると思います。

■部下の不安

順位内容比率
第1位相手の気持ちが察しにくい39.5%
第2位仕事をさぼっていると思われないか38.4%

■上司の不安

順位内容比率
第1位業務の進捗が分かりにくい46.3%
第2位相手の気持ちが察しにくい44.9%

なぜ、アフターコロナ時代に社内広報の重要性が増しているのか?

アフターコロナ時代においては、今後も、社会・経済環境が大きく変化することが予想されます。そのため、企業は社員やステークホルダーに対して、変化に対応する情報を提供し、不安を解消することが必要になります。
社内広報は、社員に対して企業の方針や戦略、取り組みなどの情報を正確かつ迅速に伝えるために、アフターコロナ時代においてはますます重要な役割を担うことになるでしょう。

また、リモートワークの増加により、社員同士のコミュニケーションが希薄になる傾向があります。そのため、社内広報を通じて、社員同士のコミュニケーションを促進し、情報共有をスムーズに行えるようにすることが必要です。さらに、社内広報を充実させることで、社員のモチベーションを高め、生産性向を目指していくことが重要です。

アフターコロナ時代の社内広報の重要性をまとめると、以下の通りです。

変化に対応するための情報を提供するため

アフターコロナ時代には、今後も社会や経済環境が大きく変化し続けることが予想されます。このような不確実性が高い状況では、社員に対して企業の方針や戦略、取り組みなどの情報を正確かつ迅速に伝え、変化に対応するための情報提供が必要です。社内広報を充実させることで、社員に必要な情報を効率的に伝えることが不可欠です。

リモートワークによるコミュニケーションの希薄化を解消するため

アフターコロナ時代には、リモートワークが一般化することが予想されます。リモートワークでは、社員同士のコミュニケーションが希薄になる傾向があります。社内広報を活用することで、社員同士のコミュニケーションを促進し、情報共有をスムーズに行うことができます。

社員のモチベーション向上につながる可能性があるため

アフターコロナ時代には、社員に対し様々な制約を与えるため、従来は無かったストレスや不安感が生じます。社内広報を活用して、社員に企業の取り組みや成果、メッセージ、同じ仕事をしている仲間たちの様子を伝えることで、社員のモチベーション向上につながる可能性があります。また、社内広報を通じて社員の貢献や功績を公表することで、社員のやる気を高めることにも繋がります。

情報共有の4つのステップ

従業員への情報共有のやり方を4つのステップで具体的に説明します。

情報の重要度に応じて共有方法を選択する

情報共有は、情報の種類や重要度に応じて共有方法を選択する必要があります。例えば、社外への情報はeメール、社内への情報は気軽に使えるチャットツール、社内外に関わらず緊急の情報は電話にするなど、自社の仕事や顧客とのかかわり方に応じた適切な共有方法を決めて行きます。

情報共有のルールを従業員に啓もうする

情報共有のルールは、社員がリモートワークをする上での基本となります。従業員がしっかり守れるように啓もうし、守れて無い人がいればリマインドやレクチャーをすることで、メンバー全員がルールを守れるように継続的な社内広報を実施して行きます。

共有する情報とフォーマットを統一する

情報とフォーマットが不揃いだと、社員が情報を共有する際に混乱を招く原因となります。社員が情報を共有する際には、統一されたフォーマットを使用することで、情報共有の効率を高めることができます。

フィードバックを受け付ける仕組みを作る

情報共有は、単方向のものではありません。人の入れ替わりや仕事の変化により、今までのルールが合わなくなることもあり、そういった場合には実態に合わせ速やかに改定し、それを社内広報により共有して行くことが重要です。そのため、社員からのフィードバックを受け付ける仕組みを作り、業務環境にルールの合っているかを継続的に把握できるようにすることが重要です。

コミュニケーション活性化の3つのステップ

企業がリモートワークによるコミュニケーションの希薄化を解消するための取組を3つのステップで具体的に説明します。

コミュニケーションツールを導入する

リモートワークにおいては、なるべく会話に近い形で、社員同士のコミュニケーションが柔軟かつリアルタイムで行えるツールが必要です。例えば、SlackやMicrosoft Teamsなどのチャットツールやビデオ会議ツールを導入することで、社員同士のコミュニケーションをスムーズに行えるようにします。

定期的なオンラインミーティングの実施

リモートワークにおいては、社員同士の情報共有が滞ることがあります。そのため、オンラインであっても会話の機会を絶やさないように定期的にオンラインミーティングを実施し、社員同士の情報共有の場を作ることが重要です。

社員同士の交流の機会の提供

リモートワークにおいては、社員同士が顔を合わせる機会が減少するため、社員同士の交流が希薄になる傾向があります。上記のように、チャットツールやオンライン会議ツールを導入することで一定の活性化には繋がりますが、経営会議や営業会議など、共有する情報や共有の仕方が予め決まっているような報告系の会議であれば効率化・活性化が可能でも、「何となく気になった」といった不定形な情報を気軽に共有したことから製品やサービスの改善点を見付けたり、全く関係無い雑談の中から新商品のヒントを見付けたりといった創造的なコミュニケーションの充実は、やはり非対面では困難でしょう。そのため、会社側から社員同士の交流の機会を提供して行くことが重要です。

モチベーション向上のための3つのステップ

リモートワーク環境下で、社員のモチベーション向上を上げるための取り組みを3つのステップで具体的に説明します。

目標設定と進捗確認の徹底

リモートワーク環境下では、社員が仕事に対する目標や意義を感じにくく、モチベーションが低下することがあります。そのため、目標設定と進捗確認を徹底することが重要です。実際、上記で紹介したパーソル総合研究所の2020年の調査結果でも、部下の不安の第2位は「仕事をさぼっていると思われないか不安(38.4%)」、上司の不安の第1位は「業務の進捗が分かりにくい(46.3%)」となっており、多くの企業でリモートワーク下の評価に不安を感じていることが分かります。
目標設定は、社員が仕事に取り組む上での目標を明確にし、自ら設定した目標に対し工夫しながら達成することは、自己実現感の向上に繋がります。また、上司の立場では目標の達成手段や進捗確認の方法を部下としっかり話し合い、必要な権限を与え、リモートワーク環境下でも部下が目標を達成できるようにサポートして行くことが重要です。

適時適切で具体的な会話の継続

リモートワーク環境下では、対面に比べてどうしても進捗が見えにくいです。例えば、どんなにツールを充実させても対面の時のような「業務指示に対し、何となく気もそぞろ」といった感覚的な情報まで把握するのは困難であり、進捗が問題無いと思って安心していたらある日突然退職を申し出られて驚いた、といった声を聞くこともあります。
重要なのは信頼関係であり、信頼関係を構築するためには、目標の達成度合いだけで無く、従業員の取組を細かく確認し、良いことでも改善が必要なことでも、気付いた点を具体的にフィードバックして行くことです。「注意をしたから」と言って、それだけで信頼関係が崩れることはありません。従業員の仕事をちゃんと見て、従業員の成長につながるフィードバックをすることは、ポジティブな内容でもネガティブな内容でも、従業員の信頼関係の構築に繋がります。

従業員の取組を細かく確認するためには、以下の3点が有効です。

  • 業務の進捗確認など内容が決まっている会話に関しては、オンライン会議を活用して、短時間で良いのである程度高頻度で実施する。
  • 直接顔を合わせる機会も定期的に設け、ある程度フリートークもできる場を用意する。部下が多くなかなか時間が取れない場合は、チーム全体の報告会の後に多少フリータイムを設ける、といった対応も有効。
  • 従業員との面談のやり方を個々の上司に任せきりにせず、継続的に検討・検証しながら、ある程度標準化を図る。標準化した手順や項目で定点観測することで、従業員の変化や会社の傾向などが見えやすくなる効果もある。
    ※この場合には、他社の取組や社外からの客観的な意見を参考にするのも有効です。

報酬と評価の明確化

リモートワーク環境下では、社員の働き方や貢献度が見えにくいため、上司・部下の双方で評価に対し不安を抱えていることは、前述した通りです。そのため、目標、取組、会社の支援、成果と評価基準、報酬の明確化が重要です。特に、評価基準と報酬については、不明確だとそもそも取組のモチベーションが高まりませんし、従業員の想定と会社の定めと違っていたら(「達成した(つもり)なのに期待していた評価(または報酬)に繋がらなかった」)、会社や会社の定める目標そのものが信頼されなくなるなど、信頼関係に深刻な影響が生じます。
ですから、目標、取組、会社の支援、成果と評価基準、報酬を明確化することは極めて重要です。ポイントは、目標、取組、会社の支援など、会社全体の事業計画や育成制度と密接に結び付く情報は、従業員間の理解に落差が生じないように、社内広報により統一した情報を発信したうえで、必要に応じ個別に説明することです。

まとめ

コロナによる仕事スタイルや生活スタイルの変化により、企業はより会社の内外ともにコミュニケーションの取り方を変え、広報活動を強化することに迫られています。例えば、従来は紹介中心の顧客開拓でWEBサイトやオンラインでの取引の仕組みが不要だった企業でも、非接触でビジネスを行うための仕組みや、非接触のコミュニケーションに対応した適切な広報活動をしなければ、紹介に対応できなくなっています。
また、ソーシャルディスタンスの広がりや健康と安全に対する関心が高まったこともあり、自社の健康・安全対策を積極的に広報する必要も生じています。店舗ビジネスなど事業内容にコロナ対策が直接結び付く事業で無くても、従業員に対ししっかりコロナ対策を行い、それを対外的にも認識させるために広報PR活動を行っている企業は、そうでは無い企業に比べ、社会的なイメージが大きく違ってくるのではないでしょうか。
さらに、アフターコロナにおける様々な社会問題が浮き彫りになったため、企業が、それらに対応したソーシャルイノベーションに取り組むことで社会的貢献をアピールすることの重要性が高まっています。

アフターコロナ下における企業は、今後さらに拡大するこれらの変化に対応するために、自社の広報戦略を見直し、新しい取り組みに積極的に取り組むことが求められます。
花村広報戦略では、個々の企業の実態を細やかに把握し、オーダーメイドで支援しています。
代表は中小企業診断士(経済産業省登録)であり、スモール・ミドルのビジネスの専門家でもあるため、経営から広報までワンストップで支援することが強みです。
アフターコロナ下での社内広報の見直しについて、社外に専門のパートナーが必要とお考えの方は、当社にお気軽にご相談ください。

著者のイメージ画像

花村広報戦略合同会社
花村 憲太郎(Kentaro Hanamura)

15以上の仕事を経験後、サービス業のカスタマーケア部門のマネージャーとして、従業員教育や顧客満足度の向上に関わる各種施策を担当。平行して、中小企業診断士としてスモール・ミドルへのコンサルティングを経験。その後、自社と社外の任意団体で広報を担当し、プレスリリース、記者会見、メディア対応などを実施。 社内外での広報PRと経営の支援を通じ、広報戦略と経営戦略との一体的な対応により、自社の魅力を継続的に社内外に伝えることが重要であるとの想いを強くし、起業に至る。