広報部門の立ち上げにおける6つのポイント

広報部門を最初から設けている企業というのは多くはなく、広報の難しさを感じたり、知名度に課題を感じて途中で広報部門を設けるということもあると思います。

ここでは、新たに広報部門を立ち上げる際に考えるべきことを、とある小児科に特化した病院の事例を交えながらご紹介します。

広報部門の立ち上げにおける6つのポイント

「広報」とは?

広報は「組織内外の関係者と強い信頼を築く」というのが定義ですが、この記事では、組織内外のうちの外、社会との信頼関係を築くところに課題を感じて広報部門を立ち上げるときのポイントについてご紹介します。

広報部門立ち上げの際に「押さえるべきポイント」

新しく広報部門を立ち上げるとなると、何から手をつければよいのか悩むと思います。インターネットで調べると専門的な内容が並び、何をしてよいかわからないという方も少なくありません。

ここではまず最初に押さえるべきポイントを5点ご紹介します。

広報の目的を定める

先述のように、広報は組織の内外に向けられるものであり、目的は様々です。広報部門を立ち上げる際、そのことを把握の上、どこに目的を定めるのか検討する必要があります。

とある小児科専門の病院が、コロナ禍の影響で患者数が激減し、広報部門を立ち上げるということがありました。その場合、目的は「患者数を増やす」というところにあると言えます。

広報を届けたい「ターゲット層」を明確にする

ターゲット層を明確にします。小児科であれば、メインターゲットは子供を病院に連れてくる人、主に母親になります。年齢層は地域によっても変わりますが、20~35歳くらいでしょうか。また病院の場合は、わざわざ遠くから足を運ぶような大病院でない限りは広報を届けるべきエリアも限られます。

このように、ターゲットを明確にすることがとても大事です。

目的達成に効果的な手法を吟味する

広報にはプレスリリース、広報誌、ホームページ、SNS、メディア出演、イベント開催など様々な手法があり、手法によって得られる効果が異なります。

どの手法を選ぶかは、届けたい情報の種類と、ターゲット層によって選ぶのが良いと言えます。

例えばコロナ禍で患者数が減った小児科が広報で注力するメディアとして、ホームページを選ぶのは得策とは言えません。ホームページを閲覧するタイミングというのは、その人が見たいと思ったタイミングとなります。病院であれば、病院に行こうと思ったタイミングであることが多いからです。にもかかわらずその小児科では、しばらくホームページに注力してしまい、効果を得ることができませんでした。

ホームページによる集客に力を入れる場合は、検索結果の上位に表示する対策を行うことが多いと言えます。病院は「地域名 小児科」のような検索キーワードで探す人が多いため、一般的には上位に表示されると来院に繋がるケースが多いはずです。ただこの事例の場合、感染リスクを減らしたいという母親の気持ちや、新型コロナ対策でそもそも病気になる子供が減ったということが患者数減少の要因としてあったため、その病院に限らず、小児科のホームページを探そうとする人自体が減っている状況でした。

このケースでは、ホームページとSNSで比較すれば、SNSを選択した方が得策と言えます。SNSを利用する人は、普段からSNSを見る機会というのが多く、SNSの場合はサジェストされるので自然と発信内容が目に入る人が生じるからです。また、ターゲット層である子供を持つ母親世代はSNSの利用率が高いと言えます。コロナ禍においても病院に行くメリット、病院に関するアピールポイントをSNSで発信することは、ホームページに力を入れるよりは有効であると言えるでしょう。ホームページには、SNSからリンクを張るという手段を講じるのが良いと言えます。

ホームページに力を入れるのであれば、症例のコラムを多く掲載するという手段はあり得たと思います。気になる症状が子供に表れた場合に、それがどういう病気の可能性があるのか気になって調べる人が多いはずだからです。

発信内容のチェック体制の構築

発信内容を客観的な視点でチェックできる人を設けるようにしましょう。広報立ち上げ時にはひとりで推進する体制になりがちですが、その人の独断で発信内容を決める形にしてしまうと、読みづらさに気付かないままになってしまったり、場合によっては発信してはまずい情報に気付かないままになってしまうリスクもあると言えます。

広報の効果を測定する「指標」を決める

広報の効果測定は難しいので、そのことを知ったうえで、広報活動を続けていくためにも、効果測定ができるように前もって考えておくことが望まれます。

小児科の病院の事例で考えると、目的は患者数を増やすということにあるので、患者数の増加数というのは1つの指標にはもちろんなりますが、患者数の増減と広報の結果との関係性を示すこともまた難しい話となってしまいます。

SNSの運用を行うのであれば、SNSのシェア数を指標とするなど、はっきりと広報活動との因果関係が述べられる指標も設けておくことが望ましいです。

経営者の意向を踏まえる

広報部門を立ち上げてからある程度時間が経過すると、広報活動にも慣れ、一部の業務がルーティン化し一定のリズムで業務ができるようになります。この「リズムが出来始めたタイミング」で、今一度、経営者の経営方針をヒアリングすることをおすすめします。

広報部門立ち上げフェーズでは、正解の無い中で少しずつ形にしていくため、担当者の進めやすい方向に流れてしまい、いつの間にか経営方針からずれた広報内容となってしまうことがあります。そうなると、広報だけが独り歩きしてしまい、経営方針と連動しない現象が起きてしまいかねません。

そうならないために、立ち上げのタイミングで、あらかじめ「経営者ヒアリング」の約束を決めておくことをおすすめします。そうすることで、例えば新規立ち上げから半年後に、その時点の広報の内容と経営方針に大きなずれが無いかを確認することができ、経営と連動した広報活動を展開することができます。

まとめ

今回は、広報事業の新規立ち上げの際に押さえるべきポイントをご紹介しました。

広報部門の立ち上げは非常に大変ですが、押さえるべきポイントを間違えなければ、成果を感じやすい魅力的な仕事です。本記事が少しでもご参考になれば幸いです。

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花村広報戦略合同会社
花村 憲太郎(Kentaro Hanamura)

15以上の仕事を経験後、サービス業のカスタマーケア部門のマネージャーとして、従業員教育や顧客満足度の向上に関わる各種施策を担当。平行して、中小企業診断士としてスモール・ミドルへのコンサルティングを経験。その後、自社と社外の任意団体で広報を担当し、プレスリリース、記者会見、メディア対応などを実施。 社内外での広報PRと経営の支援を通じ、広報戦略と経営戦略との一体的な対応により、自社の魅力を継続的に社内外に伝えることが重要であるとの想いを強くし、起業に至る。