【CS向上】顧客満足度を上げる具体例:新任マネージャーの4ステップ

顧客満足、ブランド体験

『顧客満足度』とは、お客様が企業の製品やサービスに対してどれほど満足しているかを表す指標です。顧客満足度を高めることは、企業にとって、売上の増加、顧客獲得コストの低減、リピート率の向上にもつながる重要な活動です。
また、ブランド体験を通じて高い顧客満足を実現できれば、お客様のブランドに対する満足度を高めることになり、ブランディングにも大きく貢献します。

筆者は勤務時代、15年以上コールセンターの品質管理を行っていました。通販のセンターではリピーター作りのため様々な施策を講じ、住宅設備のセンターでは実際に客先に訪問し、センターと連携しながら顧客満足を評価・向上させる仕組み作りをしてきました。また、そういった経験を踏まえて、独立開業後はサービス業を中心に顧客満足度向上・ブランド体験向上の支援をしております。

本記事では、上記のような体験を踏まえて、新任マネージャーが顧客満足度向上に効果的に取り組むための羅針盤となるように、顧客満足度の評価方法、顧客満足度向上のための具体例、特にサービス業の顧客満足において重要なインターナルマーケティングについて網羅的に紹介します。

【CS向上】顧客満足度を上げる具体例:新任マネージャーの4ステップ

ブランドの顧客満足度を測る:羅針盤を正しくセットする

顧客満足度を向上させるためには、まず現状を把握することが重要です。ここでは、顧客満足度を測るための代表的な調査方法と、運用上の留意点について解説します。

CS調査、NPS、モニタリングスコア

顧客満足度を向上させるためには、まず、感覚ではなく具体的な数値として自社の満足度がどの程度なのかを評価することが必要です。顧客満足度を数値化する主な指標としては、以下のようなものがあります。

CS調査(Customer Satisfaction:CSAT調査と呼ばれることもあり)

いわゆる顧客満足度調査のことです。
これといった定式はなく、企業によって様々な調査方法があります。カスタマーセンターへの問い合わせ後にランダムに送られるアンケートメールもそうですし、タクシーの客席に設置されている「お客様の声ハガキ」のようなアナログな方法で計測されているケースもあります。その企業の特性を反映した柔軟な運用が可能ですが、反面、他社との比較が難しいため、有効な意味を抽出するには一定の工夫が必要です。

NPS(Net Promoter Score)

お客様の、企業や商品・サービスに対するロイヤルティを図る指標です。
定式は決まっており、「商品やサービスを親しい人にどの程度おすすめしますか」という質問に対し0~10の11段階で回答してもらい、『9~10の割合 - 0~6の割合 = NPS』として算出します。ちなみに、9~10と評価した人は、一般的に強い責任感の伴う近親者へのおすすめを91%以上の確率で“する”と回答していることから「推奨者」、7~8は決定的に満足していないことから状況次第でどちらにも傾く「中立者」、それを下回る0~6は「批判者」と定義されています。
NPSの長所は、定義が共通なので、横並びの比較ができるという点です。ベンチマークとする企業のNPSを入手すれば自社と比較できます。例えば、NTTコム オンラインが公表している『NPS業界別ランキングトップ企業 2023』によると、ネット専業型旅行会社部門の第一位は一休.comでNPS-1.5、総合型旅行会社部門の第一位はジャルパックでNPSは3.7でした。また、ベンチマークのNPSが公表されていない場合も、その企業の利用者に対しアンケートを実施することでNPSを取得できます。

モニタリング調査

ブランドに対す顧客満足度調査では、ブランドの在るべき姿の実現度とそれに対する満足度を把握するため、『モニタリング調査』を実施することがあります。

CS調査やNPSがお客様に対するアンケートを基に取得した、いわばマーケットインのスコアなら、『モニタリング調査』はプロダクトアウトのスコアであり、自社で設定した評価基準に基づき自社で商品やサービスを評価したスコアです。

特徴は、CS調査やNPSに比べて企業理念やブランドアイデンティティが反映しやすいことです。
具体例を挙げると、コールセンターであれば、名乗り、謝辞・謝罪・気遣い、言葉遣い、ニーズの引き出し、商品知識など評価項目と評価基準を設定し、お客様との会話をサンプル視聴して評価します。対面接客の場合は、身だしなみや表情、動作なども重要になります。しかし、同じ対面接客であっても、老舗温泉旅館の女将さんと、テーマパークのキャストさんでは、サービスはもちろん立ち居振る舞いから言葉遣いまで全て異なります。

上記のように、求められるものが違えば、当然、モニタリング時の評価基準も変わります。
例えば、アパレル通販のZOZOTOWNカスタマーサポートセンターの理念は『お客様と友達になる』なので、評価基準に対応時間の長短は無く、お客様への気遣いや興味・関心、共感といった要素の重要度が高くなります。これが、保険やロードサービスの事故受け付けなど、緊急性の高いサービスなら、評価項目も評価基準も全く異なるはずです。

一般論で語るのではなく、自社の接客の在るべき姿はどのようなもので、どのような言動で構成されるのか、企業理念やブランドアイデンティティに基づいて組み立てましょう。
むしろ、明確で一貫した企業理念やブランドアイデンティティが無ければ、単に口うるさいだけのマナーチェックになってしまい、顧客満足にはほとんど寄与しません。反対に、明確で一貫した企業理念やブランドアイデンティティを踏まえた制度設計や、継続的に実施するスコアリング、それに基づいたスタッフの教育など、多くの手間がかかります。そのため、評価項目を絞り込むなどし、手間と効果のバランスを取る工夫が重要になります。

また、モニタリング調査のもう一つの大きな目的として、業務フローをチェックして改善点を探す事が挙げられます。
モニタリング調査は、言動の一部だけを切り取って評価するのではなく、その従業員の接客の開始から終了まで通してモニタリングし、起承転結の全てを確認する、極めて貴重な機会でもあります。なので、接客時の言動・表情・所作などのヒューマンスキルのチェックだけでなく、定められた業務フロー・業務ルールに沿って対応しているか、その業務フロー自体に無理・無駄・ムラが無いか、より良いやり方はないか、もっと顧客満足度を高める余地はないか、といったことを確認する視点を持ちましょう。

購入履歴、Google、SNS、口コミサイトなどの情報

顧客満足度向上を継続的な経営活動と位置付けるのであれば、上記のようなスコアリングに基づいたKPI管理は不可欠です。
しかし、いずれもある程度の手間暇がかかるので、そういった手間をかけられない、あるいは、まずは簡易的にお客様のコメントのサンプルが把握できれば良い、といった程度なら、以下のような方法が考えられます。

各種口コミやSNSなどのインターネット上の情報を参照する

口コミの例としては、飲食店の場合は食べログやRetty、美容関連ならホットペッパービューティー、通販ならアマゾンや楽天など、大手プラットフォームのレビューが挙げられます。また、そういった広告や出店をしていない場合は、SNSのアカウント作成やGoogleビジネスプロフィールへの登録など、無料で行える方法もあります。

スタッフ・従業員からヒアリングをする

普段実際にお客様と対応しているスタッフ・従業員も、顧客満足度を把握するうえでの貴重な情報源です。
具体的なヒアリング方法としては、趣旨を説明し、初期調査として傾向を把握するためごく簡単なアンケートを取ったうえで、複数のスタッフ・従業員から同じ項目でヒアリングしていきます。また、スタッフ・従業員との距離が遠い管理職がヒアリングをかけると、防衛的な受け答えをされ核心に迫れない場合があります。そのため、必要に応じて距離の近い管理者に同席してもらったり、不利に扱うことはしないとする会社からの説明文を渡したり、といった配慮があると良いでしょう。

お客様からのヒアリングする

これも、しっかりと調査をする場合には専門的な知識が必要ですが、ここでは、その場でお客様に尋ねてみるなどで簡易的にコメントを把握する場合を想定しています。ただし、その場合はスタッフ・従業員が“尋ねやすい”お客様、つまり高評価の可能性の高いお客様に偏る可能性があるため、飽くまでも参考程度にしておくなどの注意が必要です。

運用上の留意点

顧客満足度の調査や評価においては、以下のようなことに留意しましょう。

評価対象を明確にする

会社や組織そのものなのか、ブランドなのか、スタッフ・従業員の接客なのか、対象を明確にしてから評価しましょう。評価の対象が漠然とした状態では、改善の対象も漠然となり、顧客満足度の向上に結び付けられなくなります。

極力数値化する

お客様やスタッフ・従業員の直感的な評価は重要ですが、程度が把握できなければ改善は困難です。なぜ、どのような方法で、どのような対象から評価データを得るのかを設計し、評価を数値化しましょう。

大項目から順に評価させる

評価項目を設計する際、導線や時系列に沿って項目を配置すると、重要度の低い項目が先に来てしまう場合があります。例えばそこでいくつか続けて×と評価したら、全体としては〇でも、辻褄が合わない気がして〇と付け辛くなったりします。そのため、他の回答の影響を受ける前に重要な項目に回答してもらえるように、回答の順番に工夫しましょう。
また、極力回答項目を減らすことでお客様の回答負荷を減らし、評価項目間の相互干渉を減らすことも重要です。

数値とともに理由を把握する

せっかく数値化しても、その数値の理由が分からなければ、改善活動が手探りになり時間がかかります。CS調査、NPS、モニタリングスコアなど、いずれの評価方法にも共通して言えることですが、お客様から評価を得る際は、必ず、その理由もセットで得るようにしましょう。
可能であればフリーコメント欄を設けると良いですが、確認する余裕が無い場合などは、一定の候補を提示して選択させる方法もあります。

計測のタイミングを考慮する

例えばスタッフ・従業員の接客に対する評価なら、接客の終了直後に評価してもらいましょう。また、企業に対する評価なら毎年一定時期に行う同条件の定点評価だと傾向変化が見やすくなります。ブランドに対する評価なら、購入時点の評価なのか利用時点の評価なのか、時点によって捉え方が変わってくる可能性もあります。このように、調査目的や調査対象の特性を踏まえて、計測のタイミングを検討しましょう。

顧客満足度向上の失敗から学ぶ:羅針盤の針を修正する

顧客満足度向上を目指す上で、失敗はつきものです。
ここでは、筆者が実際に遭遇した失敗例とその対策について解説します。

グッドニュースだけで、バッドニュース(悪い事)が集まらなかった

ある個室型の飲食店では、各個室に『お客様の声カード(アンケート)』が設置されていました。最初、回収したカードを見せてもらった時、悪くない評価のものばかりだったのですが、初見から違和感でした。と言うのも、元々経営者からは、従業員の不満が多い、顧客満足が低い気がする、実際にクレームもちょこちょこある、といった声を聞いていたので、そのイメージとズレているように感じたからです。それで、お客様が来店してから退店し、片付けや掃除をやっているところまでモニタリングしていたところ、カードはお客様がテーブル上に置いて帰っていたので、片付けをしていた店員が都合の悪いことが書かれているカードを捨てたり、中には都合の良いコメントを捏造したりしているものまでありました。
幸いその店は駅前で大学にも近かったこともあり、いつも混み合っていましたが、不正発覚以降に全てのカードを確認したところ、案の定、顧客満足度は極めて低いことが判明しました。

ちなみにこの件は、被害者的な言い方をすれば店員の不正ですが、結果から見れば、要は不正を蔓延らせるよう杜撰なカードの回収フローだったというだけの話しです。そこでこの店の経営者は、反省の薄い一部店員には一定の制裁人事を行いながら、結果の責任は自分にあると明確に表明し、店舗改革に取り組みました。

経営のコミットメントが無かった

顧客満足度向上に向けて取り組むと、一般的に、そのための業務が増えることになります。しかし、筆者が支援したあるコールセンターのクライアント(筆者からするとB to B to B)は、こういった業務ボリュームの変化を加味した発注が無かったため、予想以上の工数を取られた結果、多くのお客様をお待たせするなどサービスレベルが悪化し、顧客満足度も著しく低下していました。

ですが筆者は、このクライアントの顧客満足度が低下した真の原因を、単に業務ボリュームの変化を考慮していなかったことではなく、前の例のように経営がリーダーシップを発揮していなかったことだと考えています。と言うのも、筆者はこの業務ボリュームを算出し直したうえでサンプル調査や調査項目の絞り込みなど様々な提案しましたが、クライアントは目標KPI(顧客満足度調査の実施率100%)にこだわり、経営層にエスカレーションされることもありませんでした。そしてその結果、CS調査を行うという作業を、肝心の顧客満足を疎かにしてでも無理矢理続けることになり、多くのお客様の離反を招くこととなりました。

大前提として、顧客満足度向上に取り組む時には、経営の強いコミットメントを確認することは不可欠ですが、本件のように経営と距離が遠い場合や途中から参加する場合には、最低限、目的や優先順位を明確にすることと、事態の変化に応じて将来のシミュレーションやシナリオを提示することは不可欠だと、否応なく学ぶ機会となりました。

顧客満足度向上の成功事例から学ぶ:羅針盤を活用して進む

筆者が実際に経験した、顧客満足度向上を実現した企業の例から、成功のポイントを伝えます。

経営によるコミットメントの下、明確な対応方針を策定する

顧客満足度向上に取り組むためには、何を置いてもまず、経営による強いコミットメントが不可欠です。顧客満足度向上のための取組みとは、これまで会社の理論・自社の都合でやって来た仕事、構築して来た業務フロー、価値観などを全て『カスタマーファースト』に基づいて作り直すことです。様々な抵抗や衝突を乗り越えるためには、経営によるリーダーシップが発揮するとともに、全ての従業員が迷いなく行動できるように、明確で具体的な対応方針の策定が必要です。

顧客満足度向上のためのチームを結成する

経営者のリーダーシップの下で、実際に手足を動かして行くチームを作ります。

なお、顧客満足度向上は、企業の価値観自体に『カスタマーファースト』を植え付ける、に全社的な取り組みです。そのため、十分にその価値観が浸透するまでの間は、特定の独立したチームではなく、各部からメンバーが兼任型で参加するプロジェクト型のチームがお勧めです。業務に精通したプロジェクトメンバーが各部のハブとなることで、各部を動かし、全社的な取り組みとして推進します。

カスタマージャーニーマップを最適化する

カスタマージャーニーマップとは、お客様が自社を始めて知ってから実際に購入・利用するまでの全てのタッチポイントを俯瞰し、自社からのアプローチやお客様の反応・感情などを記したマップを作ることです。
代表的なペルソナに対しマップを作ることで、お客様対応がスムーズでは無いポイントや顧客満足度が低下するポイントを探し、ブランド全体としての最適化を目指します。お客様が「面倒」と感じるポイントを解消し、先回りして期待に応えましょう。

ノウハウを共有できる仕組みを作る

取り組みや改善点は、全員が共有でき、いつでもそこに立ち返れるように、規程類やマニュアルなどの業務文書に反映させましょう。「マニュアル対応」とネガティブな使われ方をすることもありますが、最低限のことがマニュアル化されていないと、人により場面により店舗により顧客満足度に大きな差が出る原因となります。

なお、多店舗展開やシフト勤務の場合は集合研修ができないし、作業系業務の場合はそもそもマニュアル化自体が難しい、といった相談を受けることがあります。そういった場合には、研修内容を動画マニュアルにして共有する事がお勧めです。動画であれば、作業系業務でもやり方を理解しやすいですし、経営からの決意表明の様な、エモーショナルなメッセージも伝えやすいです。またオンライン上で共有しておけば、いつでもどこからでも参照できます。最近は使いやすいツールもあり、筆者も作業系業務と事務系業務の両方で使ったことがあり、どちらも効果は絶大でした。

成功体験を共有する

顧客満足度向上のための大きな壁の一つに、スタッフ・従業員に対して、どうやってやる気を出させ、当事者意識を持たせるか、という問題があります。

筆者が以前勤務していたコールセンターでは、経営が『カスタマーファースト』を強く打ち出し、システム投資や能力開発を行い、顧客満足への貢献度に応じて時給設定まで変えるなど、大規模な改革を行っていました。しかし、一部のベテランオペレーターは、「時給下がってもそんなにガツガツやりたくない」「気の合う仲間と緩くやっている方が良い」と拒絶し、センター全体に悪影響を与えていました。筆者は、脅したりすかしたりと様々なことをしたのですが、どうしても意識を変えることはできませんでした。そこで、困り果てて尊敬する先輩マネージャーに相談したところ、そのマネージャーが筆者に代わって面談するようになって1ヶ月もしないうちに、ベテランオペレーターたちが積極的にお客様に提案をするなど、姿勢に変化が表れ始めました。

不思議に思った筆者が何を話したのか尋ねたら、その先輩マネージャーは、「何も話して無いよ。ただ、良い対応にお客様から“ありがとう”と言ってもらっている録音音声を毎週一緒に聴いていただけだよ」と教えてくれました。そう、ベテランオペレーター達はただ、成功体験が無いから、お客様に喜ばれることがどれほど嬉しいか分からなかっただけで、それを実際に聴かせたことで、ごく素直に「せっかく働くなら自分もこんな風に喜ばれる仕事をしたい」と思うようになったのでした。半年後、そのベテランオペレーターの一人にお客様から手書きのお礼状が届いたと朝礼で発表したら、喜びの余り感涙していた姿は今でも覚えています。

仕事で、相手に心から「ありがとう」と言われることがどれほど嬉しいのかは、実際に体験してみないとなかなか想像できない場合があります。なので、もしスタッフ・従業員にお客様からお礼の声が届いたら、ぜひ、会社全体にそれを共有して行きましょう。また、そういった素晴らしい事例については経営からもコメントを発表すると、より印象に残り深く浸透します。

インターナルマーケティング:社内からブランドへの満足度を高める

サービス業において顧客満足度を高めるためには、まず、最前線でお客様と対応している従業員の満足度を高めることが重要です。ここでは、従業員満足度を高めることで顧客満足度を高める『インターナルマーケティング』の重要性と、主な取り組みについて解説します。

従業員を顧客と捉える

企業は従業員を通じてブランドをお客様に提供し、お客様は従業員を通じてブランドに接します。そのため、最前線でお客様と対応する従業員は、顧客満足度向上に向けた取り組みにおいて重要な役割を果たします。インターナルマーケティングでは、企業が従業員もお客様と捉え、ニーズやモチベーションを理解し、商品やサービスの良さをしっかり伝えていくことが重要です。

従業員満足度の向上を図る

従業員の満足度が低い状態では、お客様に満足度の高いサービスを提供することはできません。反対に、従業員が会社に大切に扱われていると信じていて、十分な能力開発と権限移譲が行われ、そのブランドに対して誇りを持って働いているとき、お客様に対してもそれにふさわしいサービスを提供しようと自ら努力します。

なお、従業員満足度についても顧客満足度と同様に数値で把握するのが望ましく、例えばお客様に対するNPSを応用したeNPSなど様々なKPIがあるので、自社の状況に応じて調査していきましょう。

能力開発と権限委譲を行う

顧客満足度を向上させるためには、実際に顧客対応を行うスタッフ・従業員に、真にお客様のことを考えるマインドと、そのマインドに基づき実際に行動できるスキルが求められます。そのため、マインドとスキルの両面からしっかりと能力開発を行いましょう。

また、実際のお客様対応では、予想外の様々なことが起こるので、いちいち責任者に判断を仰いでいたら、お客様をお待たせしてばかりになり、顧客満足度が低下します。そのため、スキルのあるスタッフ・従業員には臨機応変なお客様対応ができるように、十分な権限移譲を行いましょう。

評価や報酬の制度を整備する

顧客満足度向上への貢献度に応じて、それをしっかりと評価し報酬に還元する仕組みを作りましょう。ポイントは、下記の3点です。

ブランドの理念や在るべき姿を反映させる

顧客満足度向上の取組みは、お客様が喜んでくれることなら何でも良いという訳ではありません。一貫したブランドアイデンティティに基づき、どのようなお客様にどのような価値を提供することで喜んでもらうのかを具体的に示し、その達成に貢献したスタッフ・従業員を評価するようにしましょう。

評価できるチャンスを増やす

良い取り組みや高い貢献度のスタッフ・従業員にはタイムリーに評価する仕組みを作りましょう。具体例としては、以下のような要素に対し、全体朝礼、社内報、チームミーティング、個別面談など、内容に応じて様々なシチュエーションで評価して行くと良いです。

  • お客様からお褒めのお言葉をいただいた場合
  • 自社モニタリングでとても良い対応が確認できた場合
  • 顧客満足度向上に有効で実効性の高いアイディアを提案した場合

金銭以外の報酬のバリエーションを増やす

人は、必ずしも金銭的な報酬だけがモチベーションではありません。何でも給与に結び付けることで、「お客様に喜んでもらうため」というモチベーションが薄れますし、中には、給与に反映させることで「カネのためにやっている訳じゃ無い」とモチベーションが低下する人もいます。以下の例ような金銭以外の報酬をできるだけ沢山用意し、場面に応じて使い分けていくのが良いでしょう。

  • 特別有給休暇(閑散期で会社指定日の中から選ぶ)
  • 自社サービスの特別利用(感想をFBすることで無料になるなど)
  • 経営からの感謝(朝礼で感謝状を手渡しするなど形に残るように)
  • 希望業務の担当や希望チームへの配属
  • 社内研修への参加

まとめ

顧客満足度向上は、一朝一夕で達成できるものではありません。経営の強いリーダーシップの下、会社全体で継続的に取り組むことで、時間をかけて達成して行く以外に方法はありません。

しかし、それを達成することは、自社ブランドに対するお客様のタッチポイント全体で満足してもらえるようになるので、競合に対し大きな差別化となります。筆者の勤務時代も、毎週のようにお客様からお礼状が届き、正月には“お客様から”沢山のお歳暮が届くほど高い顧客満足度を実現し、お客様との関係を築けていた通販コールセンターは、競合各社の中でも圧倒的に高い売上高を誇っていました。何より、ブランド体験に対する顧客満足度が高まることは、お客様が自分の対応に喜んでくれ、笑顔になってくれているということであり、やりがいの大きな仕事です。

もし、自社にノウハウが無い、何から始めたら良いか分からない、といった場合には、専門家に相談しながら進めて行くと良いでしょう。
本記事を参考に、貴社の顧客満足度を向上し、ブランド体験の改善に繋がれば幸いです。

著者のイメージ画像

花村広報戦略合同会社
花村 憲太郎(Kentaro Hanamura)

15以上の仕事を経験後、サービス業のカスタマーケア部門のマネージャーとして、従業員教育や顧客満足度の向上に関わる各種施策を担当。平行して、中小企業診断士としてスモール・ミドルへのコンサルティングを経験。その後、自社と社外の任意団体で広報を担当し、プレスリリース、記者会見、メディア対応などを実施。 社内外での広報PRと経営の支援を通じ、広報戦略と経営戦略との一体的な対応により、自社の魅力を継続的に社内外に伝えることが重要であるとの想いを強くし、起業に至る。