【ものづくり補助金】埼玉県で申請・相談するなら

ものづくり補助金の第13回公募の採択が終了し、応募のあった3,322件のうち1,927件が採択され、内容が公開されました。
前回の事業再構築補助金に続いて、今後申請を検討されている事業者様向けにものづくり補助金についても採択結果を講評するとともに、埼玉県内にある自己負担分の一部補助事業など、有意義な情報をお知らせします。

なお、ものづくり補助金の採択結果データは、申請数は合計のみしか無く、申請枠や支援機関に関するデータは全く無いため、事業再構築補助金の講評時のように、どの枠を選び誰に支援を依頼すれば良いかといった詳細な分析ができませんでした。
その分、分析は簡素になりますが、最近の傾向などを踏まえてポイントをお伝えするので、申請検討時のご参考にしていただければと思います。

【ものづくり補助金】埼玉県で申請・相談するなら

これまでの傾向の俯瞰

事業再構築補助金とは異なり、ものづくり補助金の件数は第9次公募以降非常に安定しており、2023/2/25時点の最新公募である13次でも、その傾向は変わりませんでした。

回数採択発表日合計一般型グローバル展開型
申請採択採択率申請採択採択率申請採択採択率
1次令和2年4月28日2,2871,42962%000000
2次令和2年6月30日5,7213,26757%000000
3次令和2年9月25日6,9232,63738%000000
4次令和3年2月18日10,3123,17831%10,0413,13231%2714617%
5次令和3年3月31日5,2992,33744%5,1392,29145%1604629%
6次令和3年6月29日4,9802,36247%4,8752,32648%1053634%
7次令和3年9月27日5,5072,76850%5,4142,72950%933942%
8次令和4年1月12日4,6532,78060%4,5842,75360%692739%
9次令和4年3月25日3,6132,24762%3,5522,22363%612439%
10次令和4年7月15日4,2942,61261%4,2242,58461%702840%
11次令和4年10月20日4,7442,81759%4,6682,78660%763141%
12次令和4年12月16日3,2561,90759%3,2001,88559%562239%
13次令和5年2月20日3,3221,92758%3,2611,90358%612439%

表内の数字を見て行くと、第1次公募を除き第8次までは申請数5~6,000件以上でしたが、9次以降は3~4,000件に落ち着いています。採択率は、第8次までは30~60%と公募回数によって大きくバラついている一方、第9次以降は概ね60%前後で落ち着いています。端的に言えば、以前は同じ応募内容でも公募回数によって採択の難易度が全く違っていた一方、最近は、公募回数に関わらず採択率は一定するようになりました。

第9次(令和4年3月)から傾向が変わった?

グラフにすると、数字のままでは見えにくかった2つの大きな特徴が分かります。

1つ目は、第一回を除き、採択数は第2回~13回までほとんど同水準で推移しているということです。
2つ目は、事業再構築補助金の登場を境に申請件数が緩やかに減少し、それに伴い採択率は緩やかに上昇し、第9次公募以降は安定傾向が続いているということです。

採択率は高位安定中

事業再構築補助金の登場前は、類似用途でものづくり補助金と同規模以上の補助金はありませんでした。そのため、例えばWEBサイトやECサイト、建物費など、補助金の事業目的や対象費用とは少し違っていても、無理やり辻褄を合わせたように見せて申請する、といったケースがありました。金額ベースで他に選択肢が無かったため、止むを得なかったという面もありますが、それは事業者側の都合であり、採択されることはほとんどありませんでした。

しかし現在は、補助事業の内容や費用に応じて、ものづくり補助金と事業再構築補助金を柔軟に選択できるようになりましたし、事業再構築補助金の補助額はものづくり補助金以上に充実しています。その結果、実際の補助事業内容と申請する補助金のマッチングが改善し、ものづくり補助金の採択率が上昇したと言えます。

だけど、審査基準が緩くなった訳では無い

ご注意いただきたいのは、最近の採択率上昇は、審査基準が緩くなった訳では無い、ということです。
以前は玉石混合の申請の中から絞り込まれていたのが、最近は合致した案件に元々絞られるようになったことで採択率は上がりましたが、絞られた申請者の中での競争評価になったに過ぎません。むしろ、競合案件のレベルが上がったことにしっかり対応し、質の高い事業計画書を作ることができなければ、悪目立ちして落ちる可能性が高まった、と言えるでしょう。

埼玉県の採択率と、他の都道府県の状況

次に、全国の都道府県別の数字に基づき、上位15位までを見て行きます。

順位都道府県件数シェア
1東京都32216%
2大阪府1367%
3愛知県1256%
4北海道1056%
5埼玉県814%
6静岡県774%
7兵庫県714%
7千葉県704%
9神奈川県693%
10福岡県653%
11長野県533%
12岐阜県472%
12広島県472%
14茨城県422%
15群馬県382%

事業再構築補助金の時とは違い、当社事業所在地である埼玉県のものづくり補助金採択数は、全国47都道府県の中で上から5位の採択数となっていました(都道府県別の応募件数が公開されていないため、採択率は不明です)。こちらは、京都府が上位15位以内に入っていなかったことが少し意外だった以外、モノづくり企業の分布に概ね比例しており、順当な順位だったという印象です。

支援機関の支援状況

順位カテゴリ件数シェア
1金融機関北海道353%
2民間コンサル会社東京都302%
3民間コンサル会社兵庫県262%
4民間コンサル会社東京都161%
5民間コンサル会社東京都141%
6民間コンサル会社神奈川県131%
7金融機関静岡県111%
7民間コンサル会社東京都111%
7民間コンサル会社北海道111%
10商工会/商工連合兵庫県101%
10民間コンサル会社大阪府101%
10民間コンサル会社東京都101%
13行政書士東京都91%
14金融機関長野県81%
14民間コンサル会社大阪府81%

第1位は北海道の金融機関です。
北海道は全体105件なので、この金融機関は1社で北海道全体の1/3近くを対応していることになり、地域のモノづくり企業の中で絶大な信頼を得ていることが分かります。

しかし、第2位以降を見ると、目立っているのは『民間コンサルティング会社』です。
この理由としては、大きくは下記の3点が挙げられます。

  • 2023/3/5現在、事業再構築補助金とは異なり、一つ一つの支援機関の採択率が公表されていないので、「数うちゃ当たる作戦」がいまだに有効である。
  • 「数うちゃ当たる作戦」を実行するためには、一定の広告費を負担でき、案件数をこなせるキャパシティーが必要である。
  • 「数うちゃ当たる作戦」の一環として、受付段階で見込みがほとんど無いと評価した案件は着手金だけもらってコピペの事業計画書を提出するだけでも(当然、採択される可能性は極めて低い)、一定の数が集まればビジネスになる。

いずれも、支援機関側のビジネスモデルに起因した事情であり、申請事業者が支援機関を選ぶ理由とは全く関係ありません。このように書くと、民間コンサルティング会社に申請の支援を依頼することを否定しているように聞こえるかもしれませんが、そういう訳ではありません。ものづくり補助金に強く信頼できる民間コンサルティング会社に心当たりがあるなら、申し込めば良いでしょう。

問題は、心当たりが無い場合です。
補助金は、採択されるのも大変ですが、採択後の実績報告も同じくらい大変です。通りやすいように作文された申請書類で採択されても、その後5年間も、真に実施したい事業では無く作文された事業計画書に沿って事業を実施し、その結果を報告し続けるのは、事業を停滞させるだけで無く、経営者としても大きなストレスになるはずです。
ですから、小手先の文章作成能力だけで無く、自社にとって最適な補助金とその類型の提案があるか、必要に応じてビジネスそのものにも助言があるか、といった点をしっかり確認してから支援を依頼することが重要です。

埼玉県内の補助制度

埼玉県内では、国におけるものづくり補助金の獲得を目指す事業者に対し、上乗せ補助や相談などの支援を行っています。ここでは、主なものを紹介いたします。

ものづくり補助金獲得支援補助金

さいたま市では、国の「ものづくり補助金」の獲得のため、「認定経営革新等支援機関」の支援を受け有償で事業計画書を作成する中小企業者に対し、国の補助金の採択・不採択に関わらず、費用の一部を補助していました。
残念ながら、2023/3/5現在では終了していますが、ご参考までに主要情報を掲載します。

項目グリーン枠その他枠
補助上限額75万円50万円
補助率補助対象経費の 2/3補助対象経費の 1/2

ポイントは、「不採択に関わらず、費用の一部を補助」となることで、申請もメールでできるなど、全体的に簡単で使い勝手が良いため、申請時に再開されている場合は、ぜひご利用ください。
※再開の場合、補助要件その他も変わる可能性があるため、さいたま市のWEBサイトなどで最新情報を確認ください。

生産性革命推進事業効果促進補助金

こちらもさいたま市の補助金であり、国の(1)「ものづくり補助金」、(2)「IT導入補助金」、(3)「小規模事業者持続化補助金」の交付決定を受け、事業完了した中小企業者に対し、自己負担額の一部を補助します。

項目グリーン枠その他枠
補助上限額400万円200万円
補助率自己負担額の 1/2
(国の補助対象経費-国の補助額-本補助金以外の補助金額※)
 ×
補助率( 1/2 )

こちらの最大のポイントは、補助上限額が大きいことです。
採択案件のみが対象ですが、上記の『ものづくり補助金獲得支援補助金』と同様にメールでも申請でき、手続き自体もそれほど複雑ではないので、下記の補助要件に該当する方は、ぜひご利用ください。

補助要件(以下のすべての要件を満たす必要があります)
1.令和4年4月1日及び補助金交付申請日時点において、ア、イのいずれかに該当すること
(ア)さいたま市内に本社・本店を有する法人
(イ)さいたま市内に住民登録があり市内に事業所等を有している個人
 
2.令和元年度、令和2年度及び令和3年度補正予算にかかる「ものづくり補助金」、「IT導入補助金」、「小規模事業者持続化補助金」のいずれかの採択を受け、令和5年3月15日までの交付額確定通知をうけているもの
 
3.法人市民税(法人)、個人市民税(個人)を滞納していないこと
 
4.過去に同一事業で生産性革命推進事業効果促進補助金の交付を受けていないこと

※申請手続きがよく分からない場合や、申請書類を作る時間が取れない場合は、当社でご支援することも可能なので、お気軽にご相談くださいませ。
※こちらも、利用前にはさいたま市のWEBサイトで必ず最新情報の確認をお願いします。

まとめ

色々と書いて来ましたが、ものづくり補助金について最も重要なことは、事業再構築補助金のまとめと同様に、申請事業者自身の当事者意識であり主体性です。

ものづくり補助金は、令和2年4月の第一次公募以来3年が経過しましたが、いまだに「物作り=有体物の製造」だけが対象との誤解からサービス業や無形資産への投資を申請しない事業者がいるなど、まだ活用の伸びしろの大きな補助金です。
しかし、実際は無形資産やサービスへの投資であっても、一定の条件を満たせば対象になります。具体的には、例えば無形資産なら、補助事業専用の投資が対象であり、単純なWEBサイトやECサイト、ワードやエクセルのような汎用ソフトは対象外となります。
ですから、こういった対象経費や補助金の目的を正しく理解し、それに合わせて補助事業の内容を見直しながら、事業そのものを成功させるための事業計画をしっかり立てて行くことが重要であり、そのためには、支援機関がバックアップすることももちろん重要ですが、申請事業者様自身の当事者意識と主体性が不可欠です。

当社では、上記のような考え方に基づき、ものづくり補助金の申請にも対応しております。事業計画書を作るだけで無く、入念なヒアリングに基づき、事業そのものの成功に向けて伴走型の支援をしておりますので、ものづくり補助金の申請をご検討中の方は、ぜひ、お気軽にご相談ください。

著者のイメージ画像

花村広報戦略合同会社
花村 憲太郎(Kentaro Hanamura)

15以上の仕事を経験後、サービス業のカスタマーケア部門のマネージャーとして、従業員教育や顧客満足度の向上に関わる各種施策を担当。平行して、中小企業診断士としてスモール・ミドルへのコンサルティングを経験。その後、自社と社外の任意団体で広報を担当し、プレスリリース、記者会見、メディア対応などを実施。 社内外での広報PRと経営の支援を通じ、広報戦略と経営戦略との一体的な対応により、自社の魅力を継続的に社内外に伝えることが重要であるとの想いを強くし、起業に至る。